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機動戦士ガンダムシリーズの設定について

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機動戦士ガンダムシリーズの設定について

  • [参考]

 概要

 本Wikiを始め,機動戦士ガンダム(シリーズ)に関する設定や情報をまとめたウェブサイトは非常に多く存在します。同時に,これら設定についてそれぞれの立場で議論を行う場合もまた多々存在しています。

 しかしながら,既に機動戦士ガンダムが誕生してから35年[1]が経過しており,新たなファンが次々と誕生している昨今,新しいファンほどガンダムシリーズにおける設定そのものの成立過程を知らない人が増えてきています。

 特に,機動戦士ガンダムΖΖ以降シリーズ化が始まり,ガンダム作品「宇宙世紀サーガ」としての体裁を整えてから以降にファンとして取り込まれた世代には,最初から「宇宙世紀」という世界観や設定世界が存在していたが故に,それ(宇宙世紀という設定)が存在することそのものへのこだわりが強く,且つ,その成立過程を知らないために的外れな解釈が行われている部分も多々存在しています。

 もちろん,宇宙世紀作品に対するこだわりを持つのは構わないのですが,それが行き過ぎてしまい「他者の排除」へ向いてしまっている人が意外に多い,ということなのです。このような場合,その主張の根幹に「ガンダムはリアルロボットものだから人気が出た」という本末転倒な思い込みも多く,ガンダムの人気が如何にして高まったか,という本質的な部分を知らずに「ガンダムを盲信」してしまうと足下をすくわれかねないわけです。

 そこで,この項では宇宙世紀作品における設定の成立過程に関して簡単にまとめておきます。もちろん,この項目も「全てが正しい」と言い切ることはできませんし,実際の状況と微妙にずれている可能性も否定しません。
 しかしながら,幸いにして,「ガンダム創世」のような(多少パロディ化してはいるものの)当時の空気を巧く伝える作品も登場してきていますので,これらの情報を巧く受け入れていってほしいと思うのです。

機動戦士ガンダムにおける各種設定

 1979年に放映がスタートした『機動戦士ガンダム』は,知っての通り歴史に残るヒット作となりました。その斬新な物語が反響を呼び,比較的高年齢層を中心にじわじわと人気が高まり,再放送をきっかけに空前のブームを巻き起こしたことはここを見に来ているような人たちには周知の事実でしょう。

 ですが,実は設定面に関しては,既存のヒーローロボットアニメに宇宙戦艦ヤマトで加えられたようなSF設定を付け加えたものに過ぎないと極論づけてもいいということは,意外に知られていません。もちろん,ガンダムはヤマトのヒットを研究し,高年齢層にヒットしそうな要素を取り込んだ作品であることは間違いありません。
 しかしながら,こと設定においては,(言葉は悪いのですが)作劇を成立させるための「でっち上げ」の側面が強いのです。

 例えば,ミノフスキー粒子というセリフも劇中で「便利なもの」として使用されていただけであり,事細かな設定があったわけではありません。
 また,メガ粒子砲も実質的に従来のロボットアニメにおける「○○光線」,「○○ビーム」の代替用語でしかなく,明確に「どういったもの」かについては説明されていません。
 同様に,ミノフスキー粒子に関連する各種設定,MSの挙動(AMBACなど),ニュータイプによるオールレンジ攻撃の原理,といった現在では事細かに説明される各種用語は,ガンダムという作品が放映された時点では「それらしい専門用語」でしかなく,場合によっては,劇中に登場していないもの(=存在していない)も多いのです。

 こうした事実をしないで「ガンダムが優れていたのは,リアルな設定があったから」という様な考え方を述べることは,筋違いであるということなのですね[2]

(詳細な)設定の誕生

 では,現在我々が知るような詳細な設定が誕生したのはいつか,ということになるでしょう。明確に言えるのは,これら設定が我々視聴者の前にきちんとした形で現れたのは,ガンダムの放映終了後なのです。

 当時の話題を知るものには有名な話ですが,ガンダムの設定の多くは,みのり書房が発売した「ガンダムセンチュリー」という書籍に掲載されたものが発端です。そして,このガンダムセンチュリーは,元をただせばSFセントラルアートという同人サークルの出版した同人誌「Gun Sight」に行き着くのです[3]

 SFセントラルアートは,河森正治,美樹本晴彦,森田繁といったスタジオぬえに所属していた(あるいは所属することになる)スタッフの結成したサークルで,様々なSF的作品に「SF設定を付加して遊ぶ」ことを行っていたサークルです。
 そして,この中に機動戦士ガンダム本編に参加したスタッフが在籍しており,例えば「ホワイトベースが地球上で低速で飛行したのはどういった理由か」[4]などといった「本編における(実際には起こりえない)謎の部分」に対して,SF的な設定を加えていくという形で遊んでいたのが「Gun Sight」という同人誌なのです。他には,ミノフスキー粒子に関する設定や,ザクのバリエーション,MS開発を行った企業など,様々な設定がオリジナルで創作されていたのです。

 つまり,この時点では単なる同人誌に過ぎないものであり,みのり書房から出版されたとはいえ,ガンダムセンチュリーもあくまで模型誌やアニメ誌が展開しているオリジナルガンダム(例えば,電撃ホビーマガジン誌のソロモンエクスプレスやホビージャパンのタイラント・ソードのようなもの)に過ぎなかったのです。

同人設定の公式化

 ところが,ガンプラが大ブームになっていった頃から,様相が変わってきます。
 商品化するアイテムが無くなったガンプラは,『モビルスーツバリエーション(MSV)』という形で,フィルムに登場しないMSを設定化し,キット化していきます。この際に,数多くのバリエーションの誕生に際して,センチュリーで取り上げられた設定が採り入れられたのです[5]

 つまり,現在のガンダム(宇宙世紀作品)関連の基本的な設定というものは,このMSVの誕生によって初めて明文化されたものでしかなく,実のところフィルムを制作したサンライズにとっては,非公式の状態が長らく続いたのです[6]


 こういった公式化された経緯と時期と公式作品,非公式作品を見誤りやすいのもガンダム関連作品のひとつの問題点ということができるでしょう。本サイトでは,この点を考慮してできるだけ区別しています。
 現在,流通している各種設定類は,製作会社であるサンライズのフィルムや公式資料として考慮される「サンライズ公式」と,これにプラモデルシリーズなどの設定も内包した「バンダイ公式」という考え方に大まかに区分することができます。極端な話,それら以外は『非公式』でしかないのですね[7]

最後に

 ガンダム関連で議論していく際に,「宇宙世紀作品は設定が詳しく,アナザーガンダム作品はそうでない」という論調にお目にかかることが多々あります。特に宇宙世紀作品を強く支持し,俗に言う「アナザーガンダム」を排斥するような立場の人からよく聞く言葉です。

 実のところ,この考え方に関しては間違っています。

 作品単体で見た場合,設定の充実は実のところアナザーガンダム作品の方が上である場合が多いのです。
 宇宙世紀作品の場合「積み重ねられてきた(公式・非公式問わない)設定の量」によって詳細な設定になっているだけで,単品の作品としての設定よりも過去作品の設定に引きずられることの方が多くなっています。(故に,前作を見ないと,作品内容が分かりづらいため,「続編がヒットしない」という定義がなりたつのです。)

 一方,アナザーガンダム作品では,制作された作品では必要ではない部分の設定はそこまで詳しく設定されません。しかしながら,世界観を説明するための設定をはじめとした「舞台装置」としての設定は非常に細かく詳細に設定されています。(実際には,この部分が作中で表に出てくることは少なく,スタッフ間の共通認識としての位置づけが強いものとなっています。このため,放映終了後に発売される設定資料集が意外に分厚いものになったりするわけです。)

 逆に言えば,アナザーガンダム作品の世界観を用いた作品が登場していけば,宇宙世紀作品のように詳細な設定が表に出てきたり,設定が増えていくことで,より詳しくなっていく,ということなのです。

 例えばGガンダムでは,劇中本編では『未来世紀60年』が描かれました。
 しかし,バンダイがプラモデルシリーズを展開しようと企画した結果,『ガンダムファイト7th』という外伝が誕生し,そこでは第7回ガンダムファイトという過去が描かれています。ここで一部設定で明かされていた第7回大会の優勝者とそのときに起こった事件が明確化したわけです。同様に,コミックボンボンでは第14回大会という未来が描かれています。
 また,ガンダムWでは,公式フィルムとして未来(エンドレスワルツ)が描かれ,世界観が広がっていますし,サンライズが公式にバックアップした前史や外伝も存在しています。また,近年では積み重なった設定をベースに,本編のリメイクともいえる企画と,完全な続編も展開されており,放映当時の設定とは比較にならないほど充実したものとなっています。
 展開媒体が少ないガンダムXでも,本編の9年後がやはりサンライズのバックアップのもと漫画という形で描かれました。∀ガンダムは,そのバックボーンに全てのガンダムを含むと設定されたことから,既存の作品の設定が根底にくるため,作品の描写の牧歌的な部分とは逆に,非常に詳細なSF的な世界設定となっています。
 ガンダムSEED,ガンダムOOに関しては言うまでも無く,テレビシリーズや映画,OVAなどで作品世界が広がっただけではなく,公式外伝との連動により,非常に詳細な世界設定が積み上がってきているのです。

 この点は,まだ展開して日が浅い,ガンダムAGEやガンダムビルドファイターズなどもこれから先,ガンダムシリーズが継続する限り,なんらかのフォローによって設定が積み重なっていくことは間違いないでしょう[8]
 つまり,こういった広がりが各ガンダム世界に起きることで,それぞれの世界観が掘り下げられていくのです。そして,ついには(現在の)宇宙世紀作品と並ぶほどの深い設定を獲得することもできるのです。

 宇宙世紀は,最初に放映されたガンダムから長期間経っています。このため,一見すると非常に多くの情報が蓄積されています。ですが,その情報の中には「繰り返し提示」されたものや,「既存のものを再設定(上書き)」したものも存在するのです。
 アナザーガンダム作品では最も古い作品であるGガンダムも既に20年前となっています。展開速度こそ宇宙世紀作品ほど早いわけではないので,ゆったりとしたペースですが,着実に情報・設定は積み重なっているわけです[9]
 もともと情報の継続性や積み重なってきた時間,そしてベースとなる情報の密度が違うのです。単純に『宇宙世紀関連作品とその他』としての比較しかできないような形での意見の提示は,やめた方がいいでしょう。

 編集者


最終更新時間:2014年07月25日 22時12分49秒

 ノート

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脚注

  • [1]改訂当時の年数。第1項を掲載した時には,「30周年」であったため,早くも5年が経過したことになるわけで……。
  • [2]実際の所,ガンダムが受けた理由は,当時のロボットアニメからすれば非常に等身大に近いキャラクタ設定と群像劇としてのストーリーのおもしろさ,そして,既存のロボットアニメとは少しばかりリアリティのあるメカ設定であったという事なのであり,設定面がそのきっかけなどではないのです。単純に設定面だけで言えば,放映当時のガンダムのロボットやその周囲の設定は,マジンガーZと大差ない,と言い切れるほどなのです。
  • [3]この点を指摘した際に「ガンダムに参加したスタッフが作ったものだから公式じゃないか」と反論されたことがあります。残念ながら,公式に発表されたものと,同人誌との違いを区別できず,同一視してしまうようでは,設定考察などを語ることは困難というしかないでしょう。蛇足ながら,この点は多くの設定考察で問題となります。どこまでを考察でもちいる資料として受け入れるか,という点ですりあわせができないと,全く異なった結論が出てしまうこともあるのです。本Wikiでは,スタンスとして明示し,さらにそれから逸脱することがある場合も,その旨触れるように意識しています。(忘れている部分もありますが…^^;)
  • [4]ちなみにこれは本編では解説されていない。
  • [5]実はこの設定の導入は,OUT側にも許可は取られていない。つまりは,無断使用なのです。こうした部分は,現在では既に曖昧となっている部分のひとつです。
  • [6]ちなみに,ΖガンダムにおいてMSV誕生の機体は登場していますが,これによって「MSVの機体は公式化した」というスタンスでしたが,センチュリー発の設定は長らく触れられていませんでした。意外と思われるかもしれませんが,ミノフスキー粒子関連の設定が明文化されたフィルム作品は,0083が初です。(ゼータガンダムなどでは各種設定本などで,様々な形で触れられていますが,公式に明文化されたのは,0083が初めてです。)また,各種企業の名称が明文化されたフィルムは,MS IGLOOが初なのです。
  • [7]角川のガンダムエースに掲載される様な外伝関係も同様です。しかしながら,ガンダムエースはサンライズ,バンダイと連携することも多く,一概に非公式とすることはできません。公式外伝(そのほとんどは「バンダイ公式」に準じますが,ガンダムOO以降は,非常にフィルムとの連動性が高まっています)や,プラモデルで発売される作品もあり,話題として取り扱う場合は注意が必要でしょう。
  • [8]実際,ビルドファイターズは続編企画の放映が発表され,ビルドファイターズトライがスタートすることになりました。
  • [9]連載中の『超級』では,新解釈としてネオアメリカ,ネオフランス,ネオドイツ,ネオチャイナの劇中で仲間となった国々の決勝大会用モビルファイターが設定されました。これもひとつの積み重ねです。