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VG翼

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VG翼

  • [用語]
  • 読み:ぶいじーよく
  • 分類:機材
  • 区分:宇宙世紀
  • 出典:GUNDAM SENTINEL[1]

 説明

 [Variable Geometry Wing]

 VG翼とは,航空機の機構に関する造語で正しくは「可変翼」という。
 その構造上,英語表記では「Swing Wing」と呼ばれる場合もある。

 航空機が飛行する場合,その飛行速度と状況に応じて必要な揚力と空気抵抗のバランスは大きく変化する。例えば,離着陸時は高い揚力が必要であるが,高速巡航時には揚力よりも空気抵抗の低さが優先される。(旅客機の翼が機体からほぼ垂直に伸びているのに対して,戦闘機の翼が先端から後端にかけて広がる三角形が多いのは,こうしたバランスの問題が大きく影響している。)

 可変翼は,この問題は「翼の位置を変える」ことでどのような状況下で適切な揚力と空気抵抗の関係に収めてしまおうというものである。
 このため,離着陸時と高速巡航時(格闘戦闘時)で機体の特性が大きく変わってくるという特徴がある。

 しかし,その反面,機構が複雑で,且つ高価になるという問題を抱えており,実際に実用化された機体は,コスト面から軍用機のみとなった。
 また,機構の複雑化は,整備性の悪化を招くことととなり,稼働率も重視される戦闘機では大きな問題とされている。
 これらの理由以外に,機構の複雑化による重量の増加,デルタ翼の改良などによる飛行性能の向上,ステルス性への悪影響といった様々な理由から可変翼は衰退していくこととなる。結果として,1960年代から1970年代の第3世代から第4世代戦闘機の一部に採用されるのみで姿を消していくこととなったのである[2]

有名なVG翼機

 可変翼の開発は,第二次世界大戦中に既にドイツ軍によって研究が進められていた。
 これらの情報を入手した戦勝国は,第二次大戦後,様々な実験機を開発し,その中から実用機のデータが収集されていったのである。
 実用機として初めて運用されたのは,アメリカ軍のF-111戦闘爆撃機だが,この機体は,様々な問題を抱えていたことも事実で,計画通りの性能を発揮したとは言い難いものであった。
 しかし,その後に開発されたF-14艦上戦闘機は,極めて高い完成度を誇る物であった。
 F-14戦闘機の可変翼が優れていたのは,翼の角度変更がコンピュータ制御されていたことである。多くの可変翼機が失敗だと言われたのは,飛行中の飛行特性の変化にパイロットがついて行けなかったという点が大きい。これをF-14ではコンピュータ制御によってクリアしたのである。
 この結果,F-14は,その巨体の割に軽快な機動性と運動性を確保し,かつ離陸距離の短縮も実現したことで艦上戦闘機として運用可能となったのである。

 しかしながら,先述の様々な問題から,純粋にF-14の後継となる機体は現れなかったのである。

可変翼機の復活

 U.C.0087年,グリプス戦役のさなかにエゥーゴが投入したMSZ-006《Ζガンダム》は,ウェイブライダー形態と呼ばれるモビルアーマー形態に変形することが可能な可変モビルスーツ(T.M.S.)であった。
 この機体は,人型のモビルスーツ形態から,大気圏突入が可能な逆三角形型のシャトル風の形状に変形することができたのである。

 ΖガンダムはT.M.S.として高い完成度を誇っており,(高コストながらも)量産に向いた構造をしていることも一つの特徴であった。
 このことから,エゥーゴの地球上における支援組織「カラバ」は,Ζガンダムの量産に踏み切り,大気圏内運用専用機として低コスト化を図ったのである。この際に,高高度での超音速飛行ではなく,一般的な航空機が飛行する高度での亜音速飛行を前提とした再設計が行われた。
 そして再設計されたMSK-006《Ζプラス》に採用されたのがVG翼なのである。

 ΖプラスがVG翼を採用する利点はいくつかあると言われている。まず,モビルスーツ形態で翼を格納する必要からVG翼を採用することによる機構の複雑化が設計上,大きな影響を与えていない点が挙げられる。しかも,設計された翼は,MSN-00100《百式》が採用したウイング・バインダーと呼ばれるAMBAC作動肢の構造を転用できるというメリットもあった。(逆説的な状況ではあるが,百式の原型機が既にVG翼を採用しようとして実用化できなかった部分が再利用されたとも言える。)
 また,そもそも飛行に適さないモビルスーツを強引に飛行形態に変形させることから,安定した飛行を行うためには,揚力の確保は必須であり,状況に応じて揚力を変化させられるVG翼は都合が良かったという点も大きいだろう。

 こうして採用されたVG翼によるT.M.S.Ζプラスは,その評価から,空間戦闘用に再設計が行われており,ここでもVG翼はそのまま残されている。これは,再突入のみであるならば,Ζガンダムのようなウェイブライダーを構成しなくても大丈夫であったことと,VG翼をAMBAC作動肢として用いることができたというメリットからであった。
 こうして,Ζプラスシリーズは,数多くのT.M.S.の中でも「航空機らしい」飛行形態を有する希有な機体となったのである。

様々な可変翼

 F-14艦上戦闘機や,MSK-006《Ζプラス》に採用されたような形状の可変翼を厳密には「可変後退翼」と呼ばれるものである。
 試案を含めると数多くの可変翼が存在するが,実用化まで至った形態は実はそれほど多くない。

 関連項目


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最終更新時間:2015年09月06日 04時57分54秒

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脚注

  • [1]厳密に言えばMG誌であり,SENTINELではない。
  • [2]もう一つ,第4世代機以降になると,エンジンの出力が向上したことから,「飛行」というよりも「飛翔」に近い特性の機動も可能となった点も大きい。これはベクタードノズルの登場も影響しており,揚力(は当然必要だが)を稼ぐために翼に負担をかける必要性が減ったのである。