!!!SDガンダム *[作品,関連用語] !!説明  (主にモビルスーツを)[[デフォルメ|ディフォルメ]]したキャラクタ,あるいは作品等のこと。  単に「[[SD]]」とした場合,SDガンダム関連では,SDガンダム関連商品,作品全般を指す事が多い。それぞれの作品を指す場合,個別に呼称することがほとんどである。  なお,「SD」とは,スーパーディフォルメの略で,バンダイの商標である。(ただし,アメリカでは「デフォルメ」があまり良い言葉として用いられないため,SDガンダムフォースでは,「Superior Defender」の略として用いている。)  元々こういったキャラクタのデフォルメを行った商品が存在しなかったわけではないが,このようなアレンジキャラクタがひとつの作品として成立し,ブームとなったのは実質的にこのSDガンダムが初である。  デフォルメ商品(結果的にデフォルメされたものではなく,最初からデザインされたもの)が大きくヒットしたのは,タカラのチョロQがおそらく初である。当初豆ダッシュという商品名で販売されたチョロQは,その実車を適度にデフォルメしたデザインと,新たに開発された小型ゼンマイによるプルバック走行が人気となり,1982年頃にひとつのブームを巻き起こし,以後,現在までその系譜は途切れることなく続いている。このチョロQには様々な試行錯誤が存在し,数多くの派生商品が誕生していることは,意外と知られていない。  1981年に放映が始まり,約1年半放映された太陽の牙ダグラムは,続く装甲騎兵ボトムズと共にその雰囲気から大きなヒットとなっていた。特にダグラムは,プラモデルなどの玩具分野でのヒットが大きく,視聴率的にふるわなくとも商材が売れるというある意味スポンサー的には非常にありがたい存在であり,様々な商品が発売されることとなっていた。  ちょうど,装甲機兵ボトムズの放映していた頃,タカラが敢行していたデュアルマガジン及び3Dジャーナルという模型関連の情報誌では,様々な漫画やプラモデルの改造作例などが掲載されており,この中に佐藤元氏が描くデフォルメキャラクターのカットなどが掲載されており,そういったデザインも商品化が進められていたのである。  これが一気に展開するのが,1983年の末頃から1984年頃で,ちょうどボトムズの後番組である機甲界ガリアンと同時期に放映していた巨神ゴーグのキャラクタまで取り込んで展開されることとなったのである。  戦闘メカ ザブングルと太陽の牙ダグラムを再編集した劇場映画が公開されたされた際に,併映で「チョロQダグラム」が公開されたが,この短編は,直前に発売されたチョロQのバリエーションとして,デフォルメしたロボットが簡単に変形することでチョロQのようにプルバック走行ができる,という商品をネタにした商品だったのである。  同時期に発売されたチョロ獣(フリクションによるゴジラなど怪獣のデフォルメ商品)などと共にそこそこのヒットをしたこれらの商品は,1984年の巨神ゴーグにおいては,「Qロボ」というデフォルメ商品が発売されるまでになっていた。(この商品は,あくまで玩具として佐藤元氏のデフォルメキャラクタをフィギュアとして商品化したものだった。)  一方,バンダイでは,刊行する情報誌,「模型情報」に1981年頃からガンダムなどのデフォルメキャラクターを投稿する常連投稿者が存在していた。「鳥山劣」のペンネームで投稿された横井孝二氏のイラストは,当時投稿されていた杉原昌子氏の「MS少女」とともに模型情報誌で人気となり,1982年には横井氏が「MJ劇場」,杉原氏が「み〜は〜ぐらふてぃ」という連載を持つに至っている。  実はこの時点で,模型情報側からは商品化の打診があったのだが,当時はまだデフォルメ商品に関してバンダイ,サンライズ(創通)共に否定的であったことが災いし,商品化には恵まれなかった。(ちなみに,84年にはMS少女がガレージキット化されていることから,商品化の打診があったのは,この前後だと思われる。)  しかし,この頃からバンダイ内部では様々なアプローチが行われており,これらSDデザインの商品化の模索は続いていた。これが加速するのは,1984年に入ってからである。  この頃になると,チョロQダグラムなどデフォルメ商品が登場しており,バンダイ側もそれに負けじとプラキットで「ロボチェンマン」を投入する。名称こそ違えど,実はチョロQダグラムなどと同じフォーマットであったこの商品は,1984年末頃から1985年頃までバイファム,MSV,Zガンダムシリーズなど様々なロボットをデフォルメし商品化している。(また,同時にゲゲゲの鬼太郎などを用いた「パロチェンマン」も商品化されている。)  また,機動戦士Zガンダムの放映が始まると,オリジナルの変形機構を盛り込んだ「カワルドスーツ」がプラキットで発売され,同じような玩具「ひょうきんモビルスーツ」も発売されている。また,その直前にはガシャポンで「重戦機エルガイム」のヘビーメタルをデフォルメしたミニプラキットが展開され,Zガンダムの放映開始後には,これもZガンダムのモビルスーツにシフトしている。  そして,1985年6月に前年に大ブームを巻き起こしたキン肉マンのガシャポン(キン消し)がその商材としての求心力を失ったため,ついに横井氏のデザインをベースにした「SDガンダム」がガシャポンに登場することになるのである。(ちなみに,ここで初めて「SD」という用語が登場する。)  実は,デフォルメされたガンダムのプラキットは今一つ売り上げがパッとしない状態であり,いずれもわずかの展開で終了している。ところが,キン消しに代わる新たな商材を必要としていたベンダーにとっては,このデザインは非常に都合のいいデザインだったのである。  まず,カプセルに納めやすい形状であったことが大きな要因であった。キン消しではほぼ劇中のキャラクタのプロポーション(多少はアレンジされていたが)を再現したため,顔等の細かい部分のディテールの彫り込みの難しさや,キャラがカプセル封入に際して曲がってしまうという問題などが生じていた。しかし,SDデザインの場合,2頭身であるために顔など細部のディテールが再現しやすく,一方ややこしいデザインの多い手足は省略が簡単であった。(すなわち,顔に集中することでキャラが表現しやすい。)また,サイズが小さくまとまることから,1カプセルに2個封入してもベンダー機から出て来た段階でその商品が判るほど消費者に訴えやすいという効果もあったのである。  その試作品を見たバンダイ上層部とサンライズ(創通)が,この商品化にゴーサインを出したのも,それらの理由からすると理解できるだろう。  発売されたガシャポンは,そのコレクション性と,低価格から(当初はキン消し並とは行かなかったが)スマッシュヒットを飛ばすこととなった。こうして,1985年のZガンダムの放映期間中に早くも前作に当たる機動戦士ガンダムのモビルスーツの多くを商品化し,ついにはMSVの商材まで数多く投入されるようになった。そして,翌1986年になると機動戦士ガンダムZZのMSを中心に商品化しながらもMSVの未商品化MSの投入が行われるようになったのである。  そしてひとつの事件が起こる。  ガンダムZZの放映終了に伴い,ついに商品化するMSに困るようになったのである。  これはかつてのMSVでも起こった事例であるが,ガシャポンの場合,そういったレベルの問題ではなく,本当に商品化する対象が無くなったのである。  ここでいくつかの策を出してこれを切り抜けることとなった。  ひとつは,既に行われていたMSVなどの未商品化MSを積極的に商品化していくという手段であり,もう一つが「ガンダム以外の商材のSD化」である。  前者は,文字設定だけであった機体の新規デザインによる商品化や,没MSの投入などである。これによって,ジムキャノン試作型やザクG型といった文字設定だけであった機体や,メタスマリナー,デザートゲルググなど劇中に登場させるためにデザインが進められていながら,実際には没になったMSまで投入されていったのである。また,さらにプラモ狂四郎に登場した「オリジナルΖガンダム」,「パーフェクトジオングMk-2」といったデザインまで投入されるような状態となっていった。(このきっかけは,1987年に投入された武者頑駄無である。これについては,ほぼきっかけはBB戦士に準ずるためそちらも参照して欲しい。)  一方,後者は1987年初めに発売された商品がきっかけとなっている。  「SDガンダムワールド」という商品でありながら,ガンダムZZの後番組であった機甲戦記ドラグナーの主役メカ「ドラグナー1」がSD化され投入されていたのである。このD-1は,レア扱いであり,ベンダーの商品紹介のボードでもシルエットで表示されていた。そのため,その正体を確かめるために購入するアニメ誌などでの情報を知らない子ども達も多く,「このモビルスーツはなんだ?」と話題になったのである。  そして,新番組としてドラグナーが開始されると,ガシャポンではSDドラグナーや,SDダンバイン,SDエルガイムなど,様々な商材が投入され,どれも一定の売り上げを上げることとなった。  発売当初のガシャポンは,「SDガンダムワールド」という名称の商品であり,後に一般化する「ガシャポン戦士」という名称ではなかった。こういったガンダム以外の様々な商材が投入された結果,SDガンダムワールドという名称を含めた総称として「ガシャポン戦士」と名付けられたのである。  一方,一度失敗をしたプラキットでも1987年に再チャレンジと言うことで,あらたなフォーマットの商品として「BB戦士」が誕生する。だが,この商品は鳴かず飛ばずといった状況であり,わずか6アイテムでうち切りが決定する。そう,まだSDの本格的なブームには速かったのである。(このあたりは,BB戦士を参照のこと。)  本格的なSDのブームが訪れるきっかけは,1988年の逆襲のシャアの公開後である。  順調に商品数を増やしていたガシャポン戦士以外のラインを充実させるため,再びBB戦士が発売されることとなった。今度は,オリジナルの商品ではなく,逆襲のシャアに登場したモビルスーツをデフォルメした商品として。このBB戦士の方向転換は成功し,そこそこの売り上げを納める。そしてムシャガンダムの発売によってブームは一気に加速するのである。  まず,キットのインストラクションの漫画から発展したオリジナルの「SD戦国伝」が展開され,これらが一定の評価を得た頃,組み立て式玩具である元祖SDガンダムも本格的な展開を開始していた。また,ベンダーとして新たに開発されたカードダスの発売も1989年に開始され,「元のデザインのデフォルメ」,「和風(武者風)アレンジ」,「洋風(ファンタジー風)アレンジ」,「生物風アレンジ」,「ミリタリー風アレンジ」と様々なラインが一気に投入されることになったのである。  こうして,コミックボンボンと連動した様々な商品,漫画の展開が始まり,プラモ狂四郎の流れを汲んだ,「超戦士ガンダム野郎」では,扱うキットがSD中心になったのである。  こうして,SDガンダムは大きなヒットを飛ばし,1990年代初めは数多くの商品が登場することとなった。しかし,1993年あたりから,その流れに変化が起こる。  つまり,ガンダムという商材の「ターゲットの世代交代」である。  既に1979年の機動戦士ガンダムの主な視聴者が,大学生〜社会人といった当時の概念で言えば,既にそういったマーケットを卒業している世代へとなっていた。つまり,新規のアニメーション作品を投入したとしてもこれがヒットするための新たな視聴者が必要とされていたのである。  その結果,SDガンダム(ガシャポン戦士)などがターゲットとしていた世代を新たな「リアルガンダム」の視聴ターゲットとして取り込むことが決定され,1993年に放映された機動戦士Vガンダムでは,「ノーマル以外のSDデザインの商品化」にとりあえずストップがかかったのである。  この結果,SD戦国伝やSDガンダム外伝では,Vガンダム登場のMSモチーフのキャラクタが登場しない,すなわちオリジナルキャラのみによる作品の展開が行われるようになったのである。一見,これは無難な判断の様に見えるのだが,実際にはいくつかの弊害が存在していた。特にVガンダムに続いて放映された機動武闘伝Gガンダムでは,そのターゲットを意識した「ガンダムらしからぬガンダム」が,「機動戦士ガンダム放映開始15周年記念作品」として放映され,(既存のファンの間での賛否については「ガンプラ雑記」を参照)比較的低年齢層にもヒットを飛ばし,メインの商材である「ガンプラ」もまた売り上げを回復していたのである。これは,すなわち,SDのメインターゲットである「低年齢層」がアニメ作品に回帰し,少ない小遣いでそちらの商材を購入することを意味している。つまり,相対的にSDの売り上げが低下していくということなのである。 そ の結果,多くのSD関連オリジナル作品が1994年までに終了し,SDガンダム外伝は,翌年1995年の新機動戦記ガンダムWの時にうち切りが決定し,1996年に仕切り直しを行ったものの,やはりこれもうち切りという形で終了している。  SDガンダムのブームのきっかけとなったガシャポン戦士も1993年に終了し,SDガンダムRとして仕切り直したが,やはりこれも思ったほどのヒットはなく,4年続いた1997年12月にシリーズ終了という形となった。(ただし,翌1998年から「SDガンダムフルカラーコレクション」として仕切り直され,これは現在でも「フルカラーカスタム」という形で継続はしている。)  結果的にSDガンダムで生き残ったのは,BB戦士(とSDガンダムフルカラーコレクション)だけであると言っていい状況である。BB戦士が生き残った理由は,SD戦国伝を毎年何らかの形でフォローしたということと,ゲーム作品に合わせたリリースを行ったこと,(派生製品としてBB戦士の金型流用とそれに合わせた新規金型のGジェネレーションシリーズが誕生している)などがあげられるだろう。現在では,商品を提供するバンダイ側で世代分けを想定した商品展開,(すなわち,低年齢層にはBB戦士やコレクションキット,小中学生にはHGやMG,それ以上の年齢層にHG,MG,PGといったターゲットの分割)が行われており,(仮に武者シリーズが終了したとしても)BB戦士は簡単には終了しないと考えられる。  なお,2004年放映のSDガンダムフォースの登場キャラや,武者烈伝の様にSD関連作品は,ある程度のスパンで旧作のリメイクを投入することも多く,この点では同じMSを(時代が重なっていない限り)投入することの難しいアニメーション作品(のリアルガンダム)よりも世代に訴えていく力は強いと思われる。未だSDガンダムフォースの再評価が行われない現在(とはいえ,全国ネットでなかったため,視聴していた子ども達があまりにも少なすぎるのが原因なのだが……),様々な映像ソフトによる親子世代への訴求力は大きいと思われる。  すなわち,ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズの様な親子世代へと訴える作品としては,本家のガンダムよりも上である可能性は高いと言えよう。(ただし,前者はウルトラマンメビウスが現在ダイレクトにその方法論で作品を展開しているが,後者は若干無理があるような作品になってきているのが現状ではある。) !!関連項目 *[[BB戦士]] *[[ガンダムシリーズ]] *[[コミックワールド]] !!編集者 *あさぎり ---- {{category 関連用語}} ---- {{lastmodified}} !!ノート ■[[本項目に追加情報を記載する|BBS2]] ※追記できる情報(他愛のないものでかまいません)がある場合,上記リンクから記述専用ページに移動し,情報投入をお願いします。