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民間軍事会社

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民間軍事会社


 説明

 国家あるいはそれに準ずる組織(亡命政府など),武装勢力,組織などを顧客とし,武装した戦闘員(厳密に言えば,武装した「戦闘要員」)を派遣したり,兵站,整備,訓練など人的な指導・助言などを行ったりする民間企業。PMC(Private Military Company)と表記されることも多いが,正式な表記は「PMSCs」である(後述)。
 戦争法(ジュネーブ条約)により,事実上禁止された傭兵に代わる,新たな「傭兵組織」としての位置づけとなるもの。ただし,あくまでも「派遣業」であり,傭兵では無い,というものが表向きの位置づけである。

 民間軍事会社が登場する背景となったのは,西暦1990年代初めのソビエト連邦崩壊に伴う冷戦の終結である。莫大なコストをかけ,拡大の一途を辿ってきた米ソ両国であるが,軍事的コストの加速度的増加と,人類を滅ぼしても滅ぼし足りないまでもの兵器を保有するに至り,軍縮気運が高まりつつあったことと,(いわゆる)東側諸国の経済的崩壊によって,軍事的バランスを考慮する必要がなくなったこと,など,様々な要因から,軍備の縮小へと舵を切ることとなった。
 この結果,米ソ双方とも退役する軍人が増加し,こうした退役軍人達の受け皿の一つとして登場したのが,PMCなのである。

PMCの位置づけ

 PMCとは,その名称が示すとおり,あくまでも民間組織で有り,国家が組織した「軍」ではない。そのため,本来ならば適用される「軍人としての権利」を全て有さない。
 従って,軍服の着用を許されず,あくまでもテロリストや傭兵と同等の扱いである。(ただし,傭兵の場合は国家が正式に編成した軍である場合は,軍人に準じた扱いになるため,単純にひとくくりにするわけにはいかない。)

 建前上,「軍事的サービスを行う企業」であり,「戦闘行為を行う企業」ではないため,「PMC」という呼称を嫌う場合も多く,「PSC(Private Security Company/民間保安会社)」という略称を用いる場合も多い。
 実際,PMCやPMF(Private Military Firms)という略称は,民間による戦争介入をイメージするため,多くの民間軍事会社がこれを嫌い,PSCの使用へと移行してきた,という経緯がある。(逆に言えば,PMCという略語を使っている資料は,主に1990年代のもの,ということになってくる。)
 対して,こうした民間の軍事への参入を嫌う人々からは,現在でも積極的にPMC,PMFが用いられることが多い。

 こうした状況から,公的な用語としての位置づけが模索され,2008年にモントルー文書で規定されたPMSCs(Private Military and Security Companies)が英文表記での(どう見ても妥協的であるが)正式なものとなった。

PMCの業務

 PMCが行う業務は,大きく分けて4種類存在する。
 このうち,実際に戦闘行為を行うのは1つのみであるため,PMC側は戦闘行為のみをクローズアップされることを嫌がるのである。(ただし,PMCの収入の多くはこうした戦闘行為であることは否定出来ず,他の業務だけで成り立っているPMCの数は少ない。)

1.戦闘行為(直接戦闘参加型)

 実際に戦闘行為を行う場合,あるいは軍の正規部隊を指揮する場合などがこの形態に該当する。多くの場合,テロリストなどがターゲットであるため,それに適した装備を用いることが多い。(なお,「戦争」の場合,PMCを前線に投入することは戦争法上不可能である。そのため,軍の兵士とともに行動する場合がほとんどだえる。)

2.補助業務

 物資輸送,中継基地での設備設営,兵器の整備などといった後方業務である。
 特に,戦線と本拠が遠くなると,補給線が延びるため,この区間を輸送するためにPMCが利用されることが多い。

3.アドバイザー型

 将官や佐官といった士官教育を受けた退役軍人が運営するPMCに多い形態で,小国の軍の練度を高めるための教育などが該当する。
 時には,軍事訓練だけでは無く,兵器開発のアドバイスなどを行う場合もある。

4.サポート型

 紛争中の国家や地域でのビジネス,取材などをサポートする業務。
 入国手続きや警備などを担当するもので,一般的な警備会社の業務に該当する。

PMCの利点・欠点

 PMCを利用する最大の利点は,「低コスト」であることであろう。
 軍を維持するためには莫大なコストがかかり,戦闘行為によって損失(=戦死者)が生じた場合,その遺族に対する保障問題も大きい。これに対して,PMCは期間,用務などの条件によって雇傭されるため,その際の損失も契約の範囲内での補填で済まされる場合がほとんどである。
 また,ジュネーブ条約上,PMCは戦闘員と見なされないため,仮に損失しても「戦死者」とカウントされない,というメリットも軍にとっては存在する。(イラクやアフガンで「米兵」の戦死者と「米人」の死者数が違う場合など,PMCがらみである場合がほとんどである。)

 一方,こうしたメリットは欠点としても挙げられる。
 すなわち,高い戦闘力を持つ戦闘要員はPMCであることが多く,結果的に軍の練度が低いままで有り,突発的な事態で大きな損失を出してしまう場合がある。(PMCに頼り切ってしまった場合などに特に起こりやすい。)
 また,契約によって成り立っているため,契約条項のツメが甘ければ,結果的に高コストになったり,重要情報などが丸ごと敵側に流れてしまう場合もある。(実際に,契約期間満了後に敵側にすぐに雇われた,という事例も存在する。)
 特に,PMCに対する規制が不完全な状況であるため,民間人を殺傷するなどの不法行為を行われる場合も多い。
 こうした不法行為は,戦争法上も縛られていないPMCだからこそ起こる問題で有り,逆に言えばPMCの要員は,捕虜として扱われずに殺害されても戦争法上は問題ない(テロリスト扱いのため)のである。

 備考

 PMCがシリーズに初めて登場したのはガンダムOOであるが,これに準ずる形で表現されていたのは,ガンダムXのバルチャーが近い。(漫画で言えば,新谷かおる氏のデザートローズなどが該当するか。)

 PMCの話題が最も大きく取り上げられたのは,1993年のアンゴラ内戦に介入した事件である。このPMCの介入によって,20年余に渡って続いた内戦がわずか1年で決着[1]したため,一躍PMCの存在がクローズアップされたのである。
 その後,イラク,アフガニスタン,とPMCによる戦局打破が大きくクローズアップされた結果,参入する企業が多発し,混乱を招くこととなった。
 特に,イラクでは独自の規定でのみ動いていたPMCが様々なトラブルを引き起こしたため,これらに対する規制を前提に2009年,モントルー文書として,国際規制が行われる事となった。(ただし,国際条約ではないため,現在もその規制については論議中である。)

 関連項目


 編集者


[用語]
[用語・ガンダムOO]


最終更新時間:2011年12月10日 18時15分56秒

 ノート

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脚注

  • [1]ただし,その後これを引き継いだ国連PKFが話し合いを模索する過程で妥協点を見出せずに内戦が再度勃発している。