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復刻の変更点

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!!!復刻と復刊
*[関連用語]
!!説明
 いずれも一度途絶えたもの([[絶版]]したもの)を再び世に送り出すという点では同じであるが,用いる状況によって意味合いが異なってくる。
 一般的に「復刊」は,本(雑誌)に用いられるが,「復刻」は,様々な商品に対して用いられる事が多い。ここでは,それぞれについて簡単に解説する。

 なお,用語的には,「絶版」,「再版」に強く関係するため,「[[絶版]]」も参照して頂きたい。

!復刻
 正しくは,「覆刻」と表記する。
 一般的には,既に入手困難となった古書を原本に(できるだけ)忠実に複製し,刊行することをいう。元々手彫りの版木で出版していた時代の名残の用語であり,この際に版木に対して原本を覆い被せ,その上から版を彫っていくことからこう呼ばれるようになった。

 活版印刷が普及してからは,原本と同様に版組を行い,原本の再現を目指したものを復刻と呼ぶようになった。(この場合,誤字脱字なども忠実に再現することを求められるのが,一般的であった。)
 その後,活字を用いた印刷から,フィルムやアルミ板などを用いた版下作成へと移行した。写真製版の時代には,版がCMYK別の4種が作成され,これを印刷用の印刷板に焼き付けていた。このため,一部の版が失われると全ての版が作成し直しとなり,再版時には事実上,復刻と同等の状態であった。

 現在では,コンピュータで版下を作成するため,データなどが保管されていれば,ほぼ出版当時と同じ状態で再現することができる。しかし,そうした時代よりも前の手作業で作成していた出版物は,原稿が失われていなければ,従来の手法で再現する事も可能であるし,また,これらをデジタル化して,新たに版を作成することで復刻することができる。(実は,後者の方が細かい色合いなどの出力が可能であるため,かつての書籍よりもきれいになる場合も多い。)
 また,原稿が失われている場合などは,旧出版物を写真製版用のカメラで撮影して版を作成したり,出版物をスキャナで読み取ってデジタル化する場合もある。
 いずれにせよ,貴重な文献などの場合,文献にダメージを与えることを避けるために,書籍を分解したりすることが出来ないため,微妙にゆがんだりと言った品質の低下が起こりえる。

 こうした事情から,現在では「できるだけ旧版に忠実に再現した」ものを復刊と呼び,それ以外を「復刊」と呼ぶ場合が多くなっている。

 一方,模型における復刻は,「一番始めに発売された商品形態」を再現したものに用いられる場合が多い。これは,かつて販売された模型の多くが,何らかの形で金型に手が加えられ,異なった商品として発売されたことが(特にオリジナルキャラクタ物に)多く,仮に金型その物が残っていたとしても,何らかの手を加える必要があるためである。また,プラモデルの場合,再生産時に金型の調整などが必要で,純粋なオリジナルが再生産されることが少ないこともある。
 多くの場合,倒産メーカーの金型が第三者に渡ったことから,再生産が行われるわけであるが,一般的にこうした場合,ボックスアートや組立説明書などは,その再生産を行ったメーカーのものとなってしまう。(こうした場合,復刻と銘打つ場合もあるが,再生産,再販などという場合が多い。)
 逆に「復刻」と大々的に銘打つ場合,同一メーカー内で「ほとんど再生産の見込みがなかったもの(あるいは絶版としたもの)」を再生産した場合や,倒産メーカーの金型を引き継いだメーカーが「当時のパッケージ,組立説明書を再現して」販売(多くは,メーカー名部分だけ差し替え,または,復刻パッケージ上にシュリンクやオーバーパッケージを用意し,生産メーカーを記載するなどの手法が採られる)した場合などに用いられる傾向が強い。

!復刊
 刊行が停止していた雑誌を再び刊行すること。
 あるいは,刊行が停止していた書籍類(基本的に何らかのシリーズなど,連続的に出版されるものを指す)を再び刊行すること。これは,作品シリーズに関わらず,文庫などの刊行シリーズでもかまわない。例えば,かつて角川書店から発売されていた「コンプコミックス」レーベルの作品が,メディアワークスの「電撃コミックス」レーベルで再び刊行されたが,こういう場合も「復刊」した,という。

 また,「再刊行」とも言われるが,ただし,この場合多くは同一出版社が再びシリーズを再開した場合に用いられるため,出版社が移った場合などには用いられない場合も多い。

 基本的に,復刊という言葉が用いられる場合,既存の版を用いることは少なく,「同じ名前の別商品」という扱いである。従って,雑誌の場合だと「休刊・廃刊」した後の「続き」であり,「新創刊」・「リニューアル創刊」などといった形で表現される場合が多い。(極めてニッチな分野以外では,一度途絶えたというイメージを払拭しやすいためと考えられる。)
 逆に文庫シリーズや単行本シリーズなどでは,シリーズ内の人気作から刊行(再刊行)される傾向にあるため,「○○シリーズの人気作が○○シリーズから復刊」といった煽りが踊る場合が多い。

 また,コミックや文芸本などの場合,出版社の保有する出版枠(ISBN)の関係で,全く同じ「版」を利用していながら,復刊扱いされてしまう場合もある。
 国内出版社,特に小規模な出版社などは一定数以上の書籍刊行を行えない場合も多く,ISDNの取得が行えない場合もある。こうした場合,他社に発売を依頼し,ISBNを発売元のものを利用させてもらうことも多い。また,逆に大手出版社が,出版枠が足りないために別の出版社を子会社として設立し,ISBNを取得させ,その会社名義で出版を行う場合もある。(ISBNに関しては,備考参照。)
 こうした場合,前者だと発売元が変更になると,実際の中身は同じでもISBNの事業者コードが変更になってしまうため,実質的に復刊扱いとなってしまう。(例として,メディア・ワークスがある。ISBNの事業者コードが,主婦の友社と提携していた時は「07」,その後提携解消に伴い「8402」に変更となった。また,さらにアスキー・メディアワークスに社号を変更し,角川書店に委託する分には「04」が用いられている。)
 後者の様な場合には,刊行するレーベルで事業者コードが異なる場合もある。(例えば,集英社のコミックは,集英社の「08」,ホーム社の「8342」,創美社の「420」などがある。)

!!備考
!雑誌コード・ISBNについて
 一般的に雑誌には雑誌コード,その他の本にはISBNが付属する。
 また,コミック,ムックなどの用に双方を兼ね備えた出版物もある。

 雑誌コードは,出版社に割り当てられた5桁のコードで,一般的には「雑誌XXXXX」または,「雑誌XXXXX-X(X/X)」と表記される。通常,JANコード(国内の商品識別コードで,バーコードで読み取るもの)と同じような位置に記載されている。
 一桁目が「発行種別」で,月刊・週刊などの刊行情報が示され,二桁目〜四桁目までが雑誌名のコード,五桁目が発行状態を示すコードで,通常刊行か臨時刊行かを示すものとなっている。
 つまり,国内で発刊可能な雑誌数は,最大でも10000種(0000〜9999)であることがわかる。実際には,一般的な雑誌に与えられる発行形態コードは,0〜3の4つであるため,0000〜3999の4000種しか存在しないこととなる。
 このため,月刊誌などの定期刊行物には,空き番号を利用した増刊が乱発されることとなる。(月刊誌の場合,5桁目は奇数が通常刊行物,偶数が増刊・別冊を示すため,偶数であれば番号が重ならない限り,増刊を出せる,ということになる。これが雑誌の増刊枠となる。)

 また,国際化に伴いJANコードを取り込んだ定期刊行物コードも用意されており,現在ではこのコードが主流となっている。
 定期刊行物コードは,491で始まる13桁の数値に,オプションの5桁を加えたもので,一般的にオプションの5桁を除いたJANコードがバーコードリーダーで用いられている。
 通常「4910XXXXXAABC 0DDDD」の型式(2段になっている場合もある)で表記され,XXXXXの部分は,雑誌コードがそのまま流用されている。AAは刊行月,Bは年号の下一桁,Cはチェックコードとなっている。DDDDは,定価(税抜き)を示しており,雑誌データベースと照合することで,書名/刊行月/定価などが分かるようになっている。

 一方ISBNは,国際規格の標準図書番号で,世界共通の図書番号として制定されている。
 このため,本来は全ての図書に付与すべきものであるが,出版物の多い国では雑誌などに独自コードを与え,ISBNを付与しない国もある。
 かつては,「4-AAAA-BBBB-C」という10桁表記であったが, 2007年1月1日発売以降の本では,「97X-4-AAAA-BBBB-C」の13桁に変更されている。(いずれもAとBの桁数は決まっておらず,合計で8桁となる。)基本的に,旧来のISBNで刊行が続いている書籍は,新しいISBNを付与しないこととされている{{fn ただし,国際的には通用しないため,見かけ上は絶版,あるいは,ダミーのISBN-13が付与される。}}。

 Xは,8または9が付与される。接頭記号として用意されたもので,既存のISBNで管理しきれないもの(=総量)になった場合には,あたらしい数値が付与される可能性がある。(従って,現在国内で流通している初期は,原則978,一部979である。)

 続く「4」は,原則として言語コードを現す。出版物の多い国の桁数を少なくするように編成されており,4は日本を示している。(実は,JANコードの4も同様。)このため,0〜7は1桁,8〜9はなく,80〜89は2桁,90〜99999の2〜5桁{{fn かなり複雑な分け方だが,90,910〜969,9700〜9989,99900〜99999という区分であった(はず)。※記憶が曖昧なので,詳細な桁数の変化が分かる方にフォローをお願いしたい。}}で国別・言語別を現している。
 つまり,マイナーな言語は出版される冊数が少ないため,割り当てを少なくしても大丈夫だという判断で編成されているのである。

 3ブロック目の「A」は,出版社コード(事業者コード)を意味する。出版社そのものを現すもので,原則としてその言語圏での出版物の点数で桁数が決定する。
 通常「01〜19」は,出版点数の非常に多い出版社に割り振られ,それ以降は桁が増えていく。つまり,20〜99という番号は無く,「200〜599」,「6000〜8499」,「85000〜94999」,「950000〜999999」という桁数の変化をみせる{{fn これも記憶が曖昧なので,詳細な桁数の変化が分かる方にフォローをお願いしたい。}}。
 これも言語同様,マイナーな出版社は出版できる点数そのものが制限されていることになる。(6桁コードの出版社は,100冊出版したところでISBNを使い切ってしまう。)

 4ブロック目の「B」部分は,書名を意味する。従って,この番号は同じ物が無い(ただし,絶版にして再取得する場合が希に存在する)こととなる。
 なお,原則として版が変更(増版)された場合,ISBNも変更することが求められる。このため,現在では原則として重版はあっても増版はないこととなる。(故に,増版時には「新装版」という形が取られることが多い。)
 5ブロック目の「C」部分は,チェック用数値であるため,基本的に無視してかまわない。

 このように,ISBNによって書籍の特定(重版数は分からないが,増版数は特定できる)が可能であるため,ISBNはURNの一種として定義されている。

!!関連項目

!!編集者
*あさぎり
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