!!!地球連邦軍 *[用語] //*読み: *分類:組織 *区分:[[宇宙世紀]] *出典:[[機動戦士ガンダム]],他 !!説明  [Earth Federation Force]  地球連邦の管理下にある軍隊のこと。 !成立から崩壊まで  西暦1999年に成立した地球連邦による地球統合のために各国軍の再編を進めた結果,西暦2009年に正式に発足している。  本来ならば地球国家(統一国家)である地球連邦の成立によって「国家間の戦争」は無くなったはずであり,軍という組織の必要性は考えられないのだが,「連邦軍」という組織は,様々な思惑によって設立されている。  この時代,連邦政府が成立したとはいえ,各国政府の影響力は未だ存在しており,連邦政府に対する影響力を行使する{{fn 非公式作品ではあるが,ムーンクライシスでは,G8の影響力がU.C.0099年に至っても存在している描写がある。そうでなくても,各コロニーに国家や民族の影響の残る状況などからみて,宇宙世紀に入ってしばらくの間は,旧国家間のパワーゲームが存在していたことは想像するに容易い。}}場合があった。むろん,連邦全体の理にかなったことであれば問題はないが,そうで無い場合には,軍はそういった各国に対する示威的象徴であった可能性も高い。  また,この時期は連邦制に反対する反体制組織によるテロなどが頻発していた時期でもあり,これに対抗するための組織としての連邦軍の意義は非常に大きかった。  連邦軍は,当時最大の国家軍であったアメリカ合衆国軍{{fn アメリカ軍がベースであるという明確な設定は存在しない。情勢的に世界最大であった米軍をベースにしたであろう,という想定である。}}に各国軍を編入する形で設立された。このため,軍の編成や役割もNATO型のものとなっており,当初は陸・海・空軍が編成され,宇宙世紀(以下UC)0059年にサイド3の独立宣言に端を発する経済制裁とともに宇宙軍が設立されている。(一説には,このUC0059年が連邦軍の正式発足日ともされている。)  元々は,各国の陸・海・空軍という巨大な組織をそのままスライド移行されたものであることが示すように,テロ対策など一部の任務を除き,実質的には失業対策のための組織と言っても過言ではなく,ほとんどの抵抗勢力が壊滅的打撃を受けたUC0030〜40年代では,眠る巨象というような状況だった。  だが,UC0040年代から浸透していった[[エレズム]]思想がこれを一変させる。  統一政府であるはずの地球連邦から[[サイド3]]がジオン共和国として独立宣言を行ったUC0059年,対ジオンという目的の下,UC0060〜70年代は,連邦軍の軍備および編成が加速度的に充実していった。  こうした双方の軍備拡張路線と,宇宙移民者の地球連邦に対する悪感情(これは,[[ラプラス爆破事件|ラプラス]]によって事実上仕組まれたものではあったのだが)から,開戦の気運が高まっていき,UC0079年1月3日,ついに一年戦争が開戦することとなる。この戦いは,人類という種そのものにも大きな疲弊を与えることとなったが,連邦軍はかろうじて勝利することとなる。  一年戦争の勝利には,複数の要因があったことは事実であるが,この勝利によって連邦軍の体質はさらに悪化してしまったともいえる。  もともとが寄せ集めの軍隊であり,その組織が巨大であるが故に,内部での権力闘争が激しかった連邦軍が,一年戦争で勝利してしまったため,それらの要素が顕在してきたということなのである。また,一年戦争の戦局を好転させた要因の一人である[[レビル]]将軍が公国軍のソーラ・レイで戦死してしまったことも大きい。結局,戦後のリーダーシップを執るべき人材がなく,この立場を得ようとした権力闘争が激化したのである。  また,上層部の多くには連邦軍の潜在的能力を過信したことも大きい。長い間戦乱がない状態で一年戦争に勝利したことで連邦軍という組織の強さを過信してしまい,これが先の権力闘争と絡み,軍全体として機能しにくい状況を生み出してしまったのである。(極論ではあるが,「連邦軍は強い」=「戦乱があっても当事者の部隊だけで何とかなる」という過信と,「権力闘争における敵」に手を貸す必要が無い,という考え方が蔓延してしまったといえるだろう。)  こうした軍部の体質は,連邦政府本体にも影響を与えていくこととなる。  UC0083年に起こったジオン軍残党[[デラーズ・フリート]]による一連の事件は,連邦軍内部の権力闘争に利用され,ジオン軍残党狩り組織として[[ティターンズ]]が設立されるに至った。この際には,権力闘争のために連邦軍内での作戦上の足の引っ張り合いも行われており,結果的に多くの人命を失っただけでは無く,コロニーの一部が地上に落着するなど,さらなる地球環境の悪化をもたらしたのである。  ティターンズもまた,権力基盤の確保の過程で宇宙移民者との衝突を引き起こした結果,反地球連邦勢力と結託した連邦軍内部の反ティターンズ勢力との権力争いを大規模な戦乱という形で引き起こしてしまう。一般的に[[グリプス戦役]]と呼ばれる一連の事件は,ティターンズの反連邦行為(反乱)として歴史上記録されているが,その自体は連邦軍内部における宇宙移民者に対する強硬派(ティターンズ)と穏健派([[エゥーゴ]])による内乱に過ぎない。これは,グリプス戦役後にエゥーゴが事実上瓦解したことからも明かである。  ティターンズの活動は確かに問題が無かったわけでは無いが,一般の兵にとってみれば,エリート部隊であったこともまた事実である。上層部の権力闘争にティターンズという組織そのものも振り回されたといっても過言では無いのである。  一方で,エゥーゴもまたそうした問題を抱えていたことは間違いなく,指導者であった[[ブレックス・フォーラ]]准将の死の後は,これを支えるだけの人材も無く,ただ上層部の思惑に振り回されるだけであった。  このため,グリプス戦役後,勝利したはずのエゥーゴであったが,そのまま連邦軍と一体化していき,支援組織の[[カラバ]]も多くの兵力は連邦軍に帰順した。これを嫌った親ジオン派のエゥーゴメンバーが,反連邦組織のエグムやネオ・ジオンに参画したのは,状況からして当然の流れだったのである。  結果的にエゥーゴ系将官が権力を握ったことで連邦軍内部の権力闘争は一定の結末を見ており,以降内部闘争は(存在してはいたが)武力闘争を引き起こすほどのものではなくなった。  だが,こうした権力闘争こそ失われていったが,エゥーゴに協力していた[[アナハイム・エレクトロニクス]]社の権力が大きくなりすぎ連邦そのものにも影響を与え始めたこと,一年戦争からグリプス戦役にかけて進行した連邦政府と連邦軍の一体化,などがきっかけとなり,連邦軍内部の「事なかれ主義」が加速したともいえるだろう。  結果,こうした体質が[[第1次ネオ・ジオン戦争]]の際に首都[[ダカール]]を[[ネオ・ジオン]]軍に占拠されるという失態を演じさせることとなったのである。また,[[ダブリン]]へのコロニー落としやラサへの隕石落としの際に,高官が我先に逃げ出し,民間人が多数死亡する原因ともなった。  こうした体質は消え去ることはなく,記録に残るUC0120年代〜150年代でも同様であった。ついにはこれを憂いた軍部強硬派によって連邦政府の解体と軍部主導による新政府「[[セツルメント国家議会]]」の樹立を引き起こすこととなる{{fn 軍閥主義の成立には,得てしてこうした「憂国の士」の存在が大きくなる。連邦政府は民主主義の弊害をまさに象徴しているが,これと軍閥独裁主義とを比較するのは,そもそも間違いである。}}。  こうした「組織が設立当初の思惑とは異なった方向に進んでしまう」ことは様々な事柄で起こりうるが,連邦政府の問題は,長く解決を模索されながらもできなかった問題のひとつである。しかしながら,連邦軍の設立目的の一つであった「抑止力」としての効果は,長い間機能していたといって過言では無く,実際に連邦軍が動かなくとも,この影響力は大きかったことが言える。  これは,一年戦争後に起こった様々な戦乱のほとんど全てが連邦軍との総力戦ではなく,一部部隊との局地戦的な戦闘に収まっていることからも明かである。つまり,いくら無気力な軍とはいえ,いわば眠れる獅子である連邦軍全軍を相手にするような行動は自滅を招くことを「連邦軍に仕掛ける側」が理解できていたからに過ぎない。  実際,戦力比はいずれの戦乱(一年戦争を含むが,内乱であるグリプス戦役を除く)も圧倒的に連邦軍側が有利であり,いずれの軍も事実上奇襲によって連邦軍に対して有利な状況を作り出しているのである。  この点で言えば,連邦軍の存在意義は連邦解体まで継続していたとも考えられるだろう。 {{anchor 連邦軍の構成}} !連邦軍の構成  連邦軍の構成は,陸・海・空軍と宇宙軍の四軍が基本となっており,それぞれの軍が独自に部隊編成を行っている。もともと連邦軍が設立された際には,陸・海・空の三軍しか無く,宇宙は各軍の領域によって区分されており明確な基準はなかった。(ただし,各種資料によれば,一般的には空軍中心で,コロニー等が陸軍であった可能性が高い。)  しかしながら,陸・海・空軍の存在意義は,設立後から既に失業対策のためとまで言われていたことから,既存の編成がそのまま流用された可能性が高い。(実際,一年戦争時にアジア方面で確認された極東方面軍の編成は陸軍の機械化兵団の編成に近く,これを裏付けている。)  また,UC0059年に宇宙軍が正式発足してからは,主戦場が宇宙になるとの観測から,宇宙戦力の拡充がはかられ,これによって陸・海・空軍との軋轢も頻発した{{fn 有名なところでは,FF-3/FF-S3 セイバーフィッシュの採用問題などが相当するだろう。}}。特に一年戦争中は,ジオン公国軍の地球侵攻作戦によって本丸とも言える地球上での戦闘が大きな焦点となったが,ルウム戦役で大きな痛手を被った宇宙軍にはこれを阻止するだけの力は無く公国軍の地球降下がなされてしまったことで,宇宙軍に対する不満も大きかった。(これには幾つかの理由があるが,一つは連邦軍の事なかれ主義も影響していると思われる。地球上の三軍にとってみれば,コロニー落としはあったとはいえ,公国軍との戦闘は「宇宙軍が行うもの」という意識があったためである。)  宇宙軍の設立後,それぞれの管轄が定められ陸・海・空軍は地球軍省,宇宙軍は宇宙軍省の管轄に置かれることとなった。実の所,この管轄の違いも互いの不干渉を生み出す原因となっており,後々まで大きく影響することとなってしまうのである。  その後もことあるごとにこの対立は続いたようであるが,一年戦争後からグリプス戦役を経た頃になると連邦軍そのものが宇宙軍の構成を中心とした編成へと変化しており,陸・海・空の三軍は真に失業対策のためだけの軍と極論できるような状況になってしまっていた。(この理由のひとつが,一年戦争に勝利したことであり,皮肉にも地球上の軍備は,ここから長い間停滞していくのである。)  さらに,UC0150年代になると陸・海・空三軍全てを統括した「地球軍」という位置づけに変更されてしまっている。  これは,連邦政府の首都が月の[[フォン・ブラウン・シティ|フォン・ブラウン]]に遷都したことも理由の一つだろう。この時期になると,地球軍は単なる失業対策だけではなく,軍内部でも冷遇される状況であり,こういった軍の編成の問題はUC0218年の連邦政府崩壊のきっかけとなったともいえるだろう。 :参考(軍編成一例): ,"一年戦争中期における連邦軍編成(一部抜粋例){COLS:8}",,,,,,, ,"連邦軍{ROWS:10}","地球軍{ROWS:9}","陸軍省{ROWS:3}","極東方面軍","→","コジマ大隊{ROWS:10}","本部管理中隊", ,,,,"北米方面軍",,,"MS第一中隊{ROWS:4}","第01MS小隊" ,,,,"欧州方面軍",,,,"第02MS小隊" ,,,"海軍省{ROWS:3}","極東方面軍",,,,"第03MS小隊" ,,,,"北米方面軍",,,,"第04MS小隊" ,,,,"欧州方面軍",,,"MS第二中隊{ROWS:4}","第05MS小隊" ,,,"空軍省{ROWS:3}","極東方面軍",,,,"第06MS小隊" ,,,,"北米方面軍",,,,"第07MS小隊" ,,,,"欧州方面軍",,,,"第08MS小隊" ,,"宇宙軍",,,,,"対MS歩兵中隊","第301小隊" ,"ソロモン攻略時の指揮系統と部隊編成(一部抜粋){COLS:8}",,,,,,, ,"連邦軍参謀本部{COLS:8}",,,,,,, ,"│",,,,,,, ,"├→","レビル艦隊",,,,,, ,"├→","ルザル艦隊",,,,,, ,"└→","ティアンム艦隊","┬→","第1艦隊",,,, ,,,"├→","第2艦隊",,,, ,,,"├→","第3艦隊(ワッケイン艦隊)","┬→","第1中隊","┬→","第1小隊(ハンターフィールド隊)" ,,,"├→","…","│",,"├→","第2小隊(ビーチマウンテン隊)" ,,,"└→","第13独立部隊","│",,"└→","第3小隊(ベルウッド隊)" ,,,,,"├→","第2中隊","┬→","第4小隊(リバーマウス隊)" ,,,,,"│",,"└→","第5小隊(ウインプオークス隊)" ,,,,,"└→","…",, {{anchor 連邦陸軍}} !!連邦陸軍( E.F.ARMY / E.F.G.F ) [Earth Federation ARMY] / [Earth Federation Ground Force]  英字表記は,後者が用いられることがほとんど。  地球連邦政府地球軍省管轄下の組織。  地球軍と通称される地球上に配備される各軍の中で中心的な戦力となる軍隊で,陸軍総司令部(陸軍省)のもと,各方面軍によって構成される。  一年戦争以前は,各国の軍隊の戦力をそのまま利用したいわゆる陸戦部隊であったが,60年代軍備拡張に合わせて統一兵装を採用し,統一された軍へと変化していった。  一年戦争時には,ジオン公国軍の地球侵攻作戦に対抗する矢面に立たされた軍であり,ルウム戦役で壊滅的打撃を受けた宇宙軍がその戦力を回復できたのはひとえに陸軍が持ちこたえたからに過ぎない。ただし,モビルスーツという新たな兵器カテゴリーの登場は,陸軍にとっても大きな損失を生じさせるものであり,60年代軍拡で制式採用された61式戦車(M61シリーズ)であっても,そのキルレシオは1:5に収まらないとまで言われていたほどであった。  陸軍は大きく北米方面軍,欧州方面軍,極東方面軍の三方面軍と首都ジャブローの防衛部隊によって成り立っている。  北米方面軍は,公国軍の地球侵攻作戦によって多くの拠点を失い,公国軍地球侵攻軍の司令部との戦いの矢面に立たされることとなった。しかし,背後に本丸ジャブローが控えていることもあり,戦力的には比較的潤沢であったようである。  欧州方面軍は,旧ロシア地域に降下した公国軍の欧州侵攻部隊とアフリカ戦線を構築した部隊の双方から挟まれる形となっており,最も戦力の消耗が激しい地域となった。また,同時に連邦軍最大の反攻作戦である「オデッサ作戦」の主要部隊を構成しており,オデッサ作戦での勝利後は,公国軍に対する掃討作戦へと移行している。  極東方面軍は,ロシア方面から南下する公国地球制圧軍中央アジア方面軍と戦端を開いており,その地域的特徴もあって連邦軍のモビルスーツ部隊の編成試行も兼ねたモビルスーツ運用部隊が早くから(一説には,UC0079年7月)開設されている。極東方面軍では,モビルスーツのデータ収集の意味合いも持たされており,他に運用されたモルモット隊と通称される実験部隊と共に後の連邦軍の大反攻に結びつくモビルスーツ運用データを提供している。  その一方で,極東地域はその土地がらからアフリカ戦線同様,一年戦争後のジオン軍の潜伏先にもなっており,長期間にわたって抵抗運動が繰り広げられた地域である。  一年戦争後は,地球居住者(主に連邦政府関係職員等)の安全維持を中心に運用され,配備された機体群の更新も遅々として進まず,特に辺境地域の基地に配備された機体はUC0100年代に至っても一年戦争時〜グリプス戦役時の機体が中心であるような状況だった。  一方で,一部特殊部隊(政府機関の警護等に従事する部隊など)には,新鋭機が配備されるなど,その格差はかなりのものとなっていた。これは,UC0150年代になると一層顕著となっていた。(ただし,この時期になると,陸軍というくくりではなく,空・海軍とあわせて「地球軍」という組織となっている。) {{anchor 連邦海軍}} !!連邦海軍( E.F.NAVY ) [Earth Federation Navy]  地球連邦政府地球軍省管轄下の組織。  地球軍と通称される地球上に配備される各軍の中で海洋戦力を保持する軍。  一般的には,軍艦を中心に編成される軍であるが,空母艦載機やヘリコプターなど航空機やそれを用いて任務を行う特務部隊なども所属する。  基本的に大洋を中心とした配備艦を基準とした編成となっており,北大西洋や地中海を中心とした欧州方面軍,太平洋を中心とした北米方面軍などの方面軍が存在する。  海軍は,一年戦争序盤のジオン公国軍の地球侵攻作戦によって多大な被害を被っているが,そのほとんどが水陸両用モビルスーツによる被害である。また,キャリフォルニア・ベースが占領されたことで,潜水艦隊の情報および母港を失ったことで,多くの損害が生じやすい状況が揃ったともいわれ,一年戦争終戦後も,その陣容が回復することは無かった。  結果,旧来の装備を使い回すことで,軍の維持がなされており,第2次ネオ・ジオン戦争後には既に海軍そのものの意味が見失われており,失業対策でもなければ陸軍と統合されてもおかしくない状況にまで陥っていた。(このため,第2次ネオ・ジオン戦争時には,一年戦争時の装備でゲリラ戦をしかけるジオン軍残党に振り回される状況であったことが確認されている。また,UC0096年のラプラス戦争時にも一年戦争時の装備でダカール周辺を警備していること{{fn これについては,別の意味もあるとは考えられるが,詳細は別項に譲る。}}が確認されており,海軍の装備更新が考慮されていないことがよく分かる。)  この状況はその後も変化無く,徐々にその陣容が縮小されていき,連邦首都が月面に移転した,UC0150年代には空軍とともに陸軍に吸収される形で,地球軍という陣容に変化していた。 {{anchor 連邦空軍}} !!連邦空軍( E.F.A.F ) [Earth Federation Air Force]  地球連邦政府地球軍省管轄下の組織。  地球軍と通称される地球上に配備される各軍の中で航空戦力を保持する軍。  一般的には,陸上の基地を中心に防空任務に当たる迎撃戦闘機,制空戦闘機,爆撃機といった各種「戦闘機」を中心に編成される軍であるが,航空母艦を保持する場合もある。また,陸戦を担当する空挺部隊が編成される場合もある。  各大陸を中心に方面軍が編成されているが,記録として明らかになっているのは北米方面軍,欧州方面軍,ジャブロー防空隊などである。  その特殊性故に,他軍と戦闘領域が重なることが多く,それ故に軍同士の勢力争いが起きやすい組織でもある。宇宙軍の設立前には,宇宙をもその活動範囲にしていた関係上,宇宙軍との勢力争いも多く,FF-3セイバーフィッシュの開発に関わる宇宙軍との諍いは,記録に残るほど有名になった事例である。  モビルスーツが戦闘の主流になっても,制空任務や爆撃任務といった空軍ならではの任務も多く,一年戦争終戦後も規模は縮小されながらも軍そのものは維持されていた。と,同時に新鋭機の開発も継続しており,海軍が一年戦争前後の兵装を運用し続けていたのに対し,新鋭戦闘機が配備されるなど,恵まれた一面もある。  しかしながら,その装備自体は空域パトロールや邀撃・迎撃といった特定の任務に特化したものへと変化しており,「戦闘の主役」という位置づけからは,大きく後退している。  時代の流れにより地球そのものが辺境と化していくこととなり,連邦首都が月面に移転した,UC0150年代には海軍とともに陸軍に吸収される形で,地球軍という陣容に変化していた。 {{anchor 連邦宇宙軍}} !!連邦宇宙軍( E.F.S.F. / E.F.S.S.) [Earth Federation Space Force] / [Earth Federation Space Service]  英字表記は前者からU.C.0090年代{{fn 少なくともラプラス戦争時(ガンダムUC第3巻にて確認)には確認済み。}}には,後者へと変更されていたようである。  地球連邦政府宇宙軍省管轄下の組織。  地球本土を除く地球圏全体を活動域とする軍。  一般的には,各サイドの治安維持,航路保全(海賊対策),サイドへの脅威(隕石等)の排除,などといった任務に従事する組織である。設立時から,治安維持を念頭に置いているのは,その設立の発端のひとつにエレズムの浸透があったためと考えられるが,その点に関しては明らかになっていない。  その一方で,治安維持やサイドへの脅威を排除するという名目や,当初の陸・海・空軍同様失業者対策の意味合いもあったことから宇宙居住者の比率も高く,この点も地球軍との軋轢の原因の一つではないかと思われる。  陸・海・空軍が,地球軍省下部に各参謀本部が存在するのに対して,宇宙軍は宇宙軍省直結であり,この点も宇宙軍を時代の流れとして特別視していたことが伺える。  ただし,一年戦争以前は「宇宙軍」とはいうものの,その運用思想は海軍のものに近く,いわゆる大艦巨砲主義が蔓延していた。これは,空間戦闘という概念が,それまでのSFじみた戦闘構想から抜け出せていなかったことにも原因があり,宇宙軍の編成は,中心となる「戦艦」とそれを補助する「巡洋艦」で構成されており,宇宙戦闘機を運用するための空母が一年戦争に至るまで配備(ただし,いわゆる仮設空母や補助空母は存在する)されていなかったことからも判る。  こういった編成は,旧世紀の第二次世界大戦以前の編成に近く,本来ならば航空機を用いた戦術に移行すべき筈のものでありながら,宇宙戦闘機の燃料積載量の問題から航空機を用いた戦術が用いにくかった,という点が理由にあるように思われる。  一年戦争時にジオン公国軍が投入したモビルスーツは,第二次世界大戦時に戦術を一変させた航空機に該当する宇宙戦闘向けの新兵器であり,モビルスーツによって一週間戦争,ルウム戦役で壊滅的打撃を受けた宇宙軍は,その戦術思想の転換を迫られる。ここで戦術転換に積極的であったのが,宇宙軍の各提督であったことは想像するに難くなく,地球軍の方面軍に相当するレビル艦隊,ティアンム艦隊などのいずれも艦とモビルスーツの連携運用をある程度想定した部隊編成となっているのが特徴である。  しかしながら,ビンソン計画を始めとする艦艇生産計画では,旧来の大艦巨砲主義から転換しきれない(=モビルスーツの運用能力を持たない)艦が多く建造されていることから,この段階では旧来の思想にとらわれた将官が中心となって編成計画を実施していたことは間違いないだろう。この点は,モビルスーツ中心の戦術に早くから切り替え,戦艦であったチベ級を早々と旧式として追いやり,ムサイ級中心の編成とした公国軍との大きな違いであるといえるだろう。なお,宇宙軍がモビルスーツ中心の編成に移行するのは,実際にはUC0083年のデラーズ・フリートによる事件以降のことである。  宇宙軍は,一年戦争後その位置づけが明確化する。すなわち,従前の位置づけ以上に「連邦の治安維持」という名目が重視されるのである。しかしながら,地球上から支配する連邦政府にたいする宇宙移民者の抵抗は根強く,これは宇宙軍の内部でも同様であり,結果的に連邦軍という組織そのものの問題点からもその活動そのものが鈍っていくことになる。  UC0140年代になると,各コロニー間で勢力争いが勃発するが,連邦軍には既にそれを止めるだけの力は無く,それどころか一部のコロニー駐留軍は自らがコロニー支配にまで乗り出す体たらくとなった。この結果,連邦軍の軍としての陣容は崩壊に向かっていくのである。 {{anchor 配備兵装}} !!各軍の配備兵装  地球連邦軍の各軍に配備された兵装は,陸・海・空軍に関しては当初連邦軍のベースとなった各国家軍の装備がそのまま利用されていた。  そのため,いわゆる西側諸国と東側諸国の兵装が混在することとなり,当初は,その運用思想の違いから,現場では混乱があったと思われる。しかしながら,時間と共に兵装の共通化が図られ統一されており,特にUC0060年代以降の軍備拡充時に,おおよその兵装体系は確立したものと考えられる。  連邦軍の兵装には,大きな変革期が2度存在する。  ひとつ目が先に挙げたUC0060年代の軍拡時である。この時代,「統一軍」としての陣容が整い,宇宙軍の装備についても本格的な開発研究が進められており,旧世紀の兵器体系からの脱却が図られたといえるだろう。  ふたつ目が一年戦争中〜一年戦争後である。モビルスーツを中心とした兵器体系への移行は,ジオン公国軍が進めたものとはいえ,[[ミノフスキー粒子]]の存在によって,無視することができないものとなってしまった。  特に宇宙軍は,モビルスーツという全く新たな兵器に対して対応しなければならず,否が応でもその兵装に対する考え方が変化しなければならなかった。  こうした点に着目して,各軍の基本的な配備兵装の陣容を以下に示す。  なお,各軍に配備された兵器類に関しては,各項目を参照のこと。 !連邦陸軍  陸軍は,各方面軍がひとつの組織として構成され,その麾下に様々な部隊が所属する形を取っている。  方面軍の兵装はビッグ・トレー陸戦艇を中心として,各種陸上戦艦と車両で構成されており,幾つかの短距離小型飛行機を有している。一般的に,陸戦艇は司令塔を兼ねており,前線にでることは少なく,その火力を持って遠距離からの支援砲撃を行う。(多くの陸上戦艦も同様である。)これに対して,61式戦車などを中心とした打撃部隊が前線を構築し,これを歩兵などが補っているという構造は,旧世紀の兵器体系(それも電子情報戦が常態となる状況以前)とあまり変わっていない。  この時期の特徴的な編成が,対モビルスーツ部隊であり,対戦車兵のシステムを対モビルスーツに応用した[[対モビルスーツ特技兵|対MS特技兵]]は,損耗率こそ異常に高かったが,ジオン公国軍にとっては,貴重な戦力であるモビルスーツに打撃を与えており,この時期を象徴する編成であったとも言えるだろう。  モビルスーツの実戦導入後は,モビルスーツを戦術に組み込むために支援車両としてホバートラック(有名な車両の一つがブラッドハウンドだろう)が導入され,1個小隊規模での運用思想が確立している。 !連邦空軍  空軍も陸軍同様,各方面軍がひとつの組織として構成され,その麾下に様々な部隊が所属する形をとっている。ただし,空軍の場合,任務地が基地を中心とした特定防衛圏に限られるため,事実上,一つ一つの基地がその中心的役割を果たすこととなる。  兵装は,制空戦闘機としてのTINコッド,要撃/迎撃戦闘機としてのセイバーフィッシュやフライマンタ,攻撃機としてのフライアロー,爆撃機としてのデプ・ロッグといった形で早くから運用指針が確立しており,一年戦争前後を通して,運用思想は大きく変わっていないのが特徴である。  戦後も,基本的に装備を大きく変えることは無く{{fn 一説には邀撃任務のために可変モビルアーマーであるギャプランを導入する計画があったとも言われる。}},必要に応じた装備更新のみが行われており,軍の戦略的構想に大きな変化は無かった。 !連邦海軍  海軍も陸軍同様,各方面軍がひとつの組織として構成され,その麾下に様々な部隊が所属する形をとっている。  海軍の兵装は,一年戦争を経験したことで大きく変化している。とはいえ,改善の方向では無く,どちらかと言えば縮小である。  一年戦争以前は,旧世紀の第二次世界大戦以降の艦隊運用と大きく変わることはなく,海上艦隊と潜水艦隊を中心に運用されていた。しかし,一年戦争によって大きなダメージを受けた後は,その戦力が回復されることなく,海上戦力そのものが減っていくこととなった。  このため,旧来のイージス艦やヒマラヤ級空母,M級潜水艦,ジュノー級潜水艦などが長期に渡って運用されることとなった。これはモビルスーツに関しても同様で,一年戦争時に開発された数少ない水陸両用モビルスーツであるアクア・ジムがUC0100年頃まで使用されていたほどである。 !連邦宇宙軍  連邦軍の中で,一年戦争前後でもっとも大きな戦術転換が行われたのが宇宙軍である。  一年戦争以前は,マゼラン級戦艦とサラミス級巡洋艦に,トマホークなどの宇宙戦闘機とその運用のための仮設空母という陣容だったが,モビルスーツの登場によって,その戦術体系そのものが変化してしまった。  一年戦争後は,戦艦,巡洋艦といった区分こそ残っているものの,いずれの艦種もモビルスーツの運用能力を持たされており,一年戦争時のジオン公国軍同様,モビルスーツ中心の戦術体系にシフトしている。この戦術転換に関しては,次項を参照のこと。 {{anchor MSの配備}} !連邦軍におけるMSの配備  一年戦争緒戦でモビルスーツによって大きな被害を被ったことから,連邦軍の戦術体系の転換は急務となった。その為に提言された「V作戦」によってモビルスーツの開発が急ピッチで進められ,ロールアウトした3種のRXモビルスーツは,直ちにデータ収集のためにサイド7でテストが行われ,同時にそれらの予備部品を用いた先行量産機が実戦データの収集に投入された。  戦後の公式記録では,連邦軍のモビルスーツの実戦参加はオデッサ作戦が初となっているが,これら先行量産された機体は,UC0079年7月には実戦でのデータ収集を開始しており,後の本格量産のための各種データを提供することとなった。  地上部隊でオデッサ作戦の以前にMS部隊が配備されたのは,ジオン軍の地球降下作戦で侵略された地域の周辺領域だけである。特に支配地域の拡大が,懸念される戦線へ優先的に投入されている。資源供給場所や工業設備など,敵の戦力拡充につながりそうな施設へ先ず対応し,それ以外の,制圧された地域の奪回などは後回しにされた。  逆に,占領の維持そのものが困難だと予想される領域には,通常兵器や歩兵部隊を配置して,補給路の寸断を目的とした作戦を行っていたのだ。(このことからも,連邦軍がモビルスーツを虎の子として考えていたことと,同時に軍内での勢力争いが影響していたことがわかる。)  V作戦は,公国軍がMSの開発に伴って展開した新たな戦略体系の対抗措置として推進されたていたが,これを推進したスタッフはモビルスーツを航宙戦闘機や戦闘車両などに代わる戦闘ユニットとして期待していた。また,宇宙軍のモビルスーツ運用に積極的な勢力は,既成の編成のための概念を適用し,部隊編成や指揮系統を踏襲することで,いち早い戦術への組み込みを行った。  その一方で,従来の宇宙戦闘機や航空戦闘機の運用の概念にあった適性や任官の諸条件,あるいは兵士の練度や着任期間の規定など(例えば「パイロットは尉官以上でなければならない」という慣習など)はかなり是正されることとなった。(これによって,それまでは年功序列や情実がまかり通っていた連邦軍という組織に,初めて風穴が開けられたと言えるのだが,実際には,これまでの度重なる戦闘で多くの正規軍人が喪失したため,士官候補生や予備役などを大量に登用しなければならなかったというのが実情だった。)  同時に,兵器運用の柔軟性も広がり,予想もつかない編成が登場することも多々あった。  こうした編成の柔軟化から,モビルスーツを配備した部隊の編成はモビルスーツだけの編成だけではなく,陸軍が用いたモビルスーツと支援車両であるホバートラックの小隊や支援戦闘機や攻撃ヘリコプターとモビルスーツの組み合わせ(前者は公国軍のドップなどに対応するためのもの,後者はマゼラ・アタックとの戦闘を考慮したもの)など,多種多様な混成部隊が登場することとなった。  逆に宇宙艦隊に所属するモビルスーツ部隊は,基本的にモビルスーツのみの編成となっている。五機単位あるいは三機単位でのモビルスーツ小隊が編成され,小隊内で近接戦闘・支援戦闘の役割が分担されていたのである。これら小隊が複数(三つ程度)で中隊を構成し,さらに三つの中隊で大隊が構成される。 !!備考  なお,各軍を構成する兵器類の項目に関しては,本項目の集約分以外に配備艦艇,モビルスーツなどそれぞれ独立した項目を作成しているため,そちらを参照のこと。  また,軍人の装備に関しては,軍装および武装で集約項目を別に製作している。(本項目が肥大化したため。)集約項目から,各種装備にリンクも存在するので,そちらも参照のこと。 !!関連項目 :歴史事象: *[[一年戦争]] *[[ルウム戦役]] *[[グリプス戦役]] *[[デラーズ紛争]] :国家・勢力・組織: *[[デラーズ・フリート]] *[[ジオン公国]] *[[ティターンズ]] *[[エゥーゴ]] *[[エグム]] *[[ネオ・ジオン]] *[[地球連邦政府]] *[[セツルメント国家議会軍|セツルメント国家議会]] *[[コジマ大隊]] :地名等: *[[ダカール]] :その他: *[[地球連邦軍の英字表記について|余録15]] *[[地球連邦軍の軍装]] *[[V作戦]] !!編集者 *あさぎり ---- {{category 用語}} {{category 用語・UC}} ---- {{lastmodified}} //2015.03.10:各宇宙歴ごとに分割(宇宙世紀の可読性確保のため) !!ノート ■[[本項目に追加情報を記載する|BBS2]] ※追記できる情報(他愛のないものでかまいません)がある場合,上記リンクから記述専用ページに移動し,情報投入をお願いします。