!!!大気圏
*[用語]
//*読み：
*分類：その他
*区分：共通
*出典：共通
!!説明
　天体の表面にある大気の層のこと。多くの場合，単に大気圏といった場合は，地球の大気圏を指す。
　基本的に天体を取り巻く気体のことで，重力によって引きつけられた大気が一定の高度を保持している状況のことを指している。重力と気体の天体から離れようとする力の釣り合いで決まっているともいえ，これがバランスを欠くと徐々に失われていくこととなる。
　なお，通常，天体の重力が強いほど，大気の温度が低いほど保持されやすい状況となる。これに大気成分によっては気化することで物質の離れようとする力が強まるため，結果的に膨張する速度が重力と比して強くなると，失われる量も増加する。
　保持している大気の層は前述した条件で決定されるため，当然組成が異なれば同じ重力の惑星であっても大気の「厚さ」は異なってくることとなる。

　太陽系の場合，地球の大気層が最も印象深いものではあるが，他の惑星（水星を除く）や一部の衛星にも大気が存在することが明らかとなっている。（無論，それぞれ組成は異なる。）
　なお，冥王星の様に普段は固化した物質が，太陽に近づいたときだけ大気層を形成するという事例もあるが，これについては大気圏として見なすべきかについては諸説ある。
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!地球の大気圏
　地球を取り巻く大気層は，地上からの重力，温度変化，その組成や挙動などの様々な要因から，おおむね4から5の区分が行われている。それぞれ，対流圏，成層圏，中間圏，熱圏，外気圏（これを加える場合と除く場合がある）と命名されており，それぞれの領域で異なった特徴を持っている。

　通常，往還船などの「大気圏再突入」に際して，往還船が高温に熱せられる領域は，熱圏の中にあるため，この領域を持って大気圏と宇宙空間を区別する場合が多い。
　しかし，厳密に「大気の存在する領域」という区分で切り取ると，地上10,000kmあたりまでと，おおよそ100倍の距離に跳ね上がるのである。実のところ，地球（大気圏）と宇宙を線引きする方法には様々なものがあり，その距離もバラバラである。
　このため，前出の再突入時の影響がでる範囲を境目とする考え方が最もわかりやすいためか，大気圏といった場合，こうした再突入とセットで語られる場合が多い。
　記録上で宇宙と大気圏との線引きを行う基準も存在している。これが，カーマン・ライン（カルマン・ラインとも）で，海抜高度100kmに設定されている。このラインは，大気圏脱出速度の計算に用いられた高度で，このラインを超えた人工衛星などが，宇宙へと到達したと見なされることとなった。このラインは，衛星軌道としてはほぼ下限であったことや大気による抵抗が急激に増加するラインとほぼ一致しており，再突入による「大気の壁」の位置とも合致している。

　地球の大気圏の各領域については以下の通りである。

:対流圏:
　海抜0km〜17kmほどの領域。
　様々な気象現象が起こる領域で，その厚みこそ狭いが，実質的に大気のほとんどがこの対流圏に存在している。このため，地球の自転による遠心力の影響を受けることから，赤道上が最も厚く約17km，極地方（南極・北極）が最も薄く9km前後となっている。
　特性的に，高度が上がれば気温が下がる。また，これにより水蒸気の層が複数にわたって形成される場合もある。こうした水蒸気などの層の変化が「天気（気象現象）」として現れる。

:成層圏:
　対流圏の直上に位置する領域で，おおむね海抜17km〜50kmあたり。
　対流層とは逆に，高度とともに気温が上昇するという特徴がある。これは，この領域を構成する大気の組成に特徴があるためで，成層圏の領域中にオゾン層などが構成されている。

:中間圏:
　成層圏の直上に位置する領域。海抜50〜80kmほどに位置する。
　高度とともに気温が低下する領域で，ある意味，宇宙と地球の境目に位置する領域である。

:熱圏:
　中間圏の直上に位置する領域で，海抜80km〜800km程度あたり。
　高度とともに気温が上昇し，場合によっては極めて高温な領域が存在する。
　熱圏の下部領域あたりから，大気が急速に濃くなっていくため，この領域よりも下層を「大気圏」と呼ぶ場合も多い。実際，往還船などの再突入で，機体が高温に晒されるのが，おおむね地上120km〜80kmほどであり，この意味で言えば「大気の境目」として機能していると言えるだろう。

:外気圏:
　極めて薄い大気が存在する領域のこと。熱圏の直上（ただし，その境目は曖昧である）から，高度10,000kmあたりの領域となる。
!!関連項目
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*[[衛星軌道]]
!!編集者
*あさぎり
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