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装甲 / アーマー
- [用語]
- 分類:機材
- 区分:共通
- 出典:機動戦士ガンダム,他
説明
砲弾や爆弾などによる攻撃から,自身を守るために装備された鋼鉄板のこと。あるいは,それに類する機能を持った設備のこと,または,それらを取り付ける行為のこと。
軍事目的以外でこうした機能を持った設備を行う場合もあるが,そうした場合には,防衛という用語を用いる事が多く,ここでは一般的な兵器に用いられる装甲のことを指す。
英語では「アーマー」で,鎧などを表す言葉であることから判る様に,身を守る装備という意味合いから用いられるようになったもの。(ただし,鎖帷子のようなチェインメイルやリングメイルといった物体をつなぎ合わせて作り出した鎧は,「メイル」と呼ばれるように,板状の装甲を取り付けるプレートアーマーなどから,アーマーという用語が広まっている。[1])
盾と矛
古くから攻撃するための武器と,防御するための防具というふたつの装備は,互いが互いを凌駕するために発展してきた。しかし,いわゆるフルプレートアーマーが,実際には強固になりすぎて兵士の動きを阻害し,結果的に戦力として役に立たなかった様に,必要以上の過剰な防御もまた兵器としては失格となってしまう。
近代兵器のほとんどは,過剰な装甲が機動兵器の運動性・機動性に制限を課してしまうため,必要最低限の厚みと重量の装甲で,最大限の防御効果を得られる様に配慮されている。
例えば,強力な装甲を機体に施せば施すほど機体は重くなり,その運動性,機動性,加速性などは低下してしまう。そのため,強固かつ軽量な装甲材質を開発することは新型兵器の開発においては重要なファクターを占めている。
陸戦兵器としての主力戦車は,第1次世界大戦に登場した極めて初期の戦車のころから,その装甲を強固なものとする方向で発展してきている。しかし,その装甲も第2次世界大戦に突入し,両陣営が戦車を保有する様になると,単純に「厚くする」という方向性では相手の攻撃手段に対処しきれなくなっていくのである。(ドイツ軍の重戦車マウスなどがその最たる例で,あまりに重くなりすぎて稼働そのものに支障がでてしまったのである。)
このため,単純に装甲の厚さを競うのでは無く,装甲材質の開発と,装甲形状の開発に腐心されるようになっていくのである。
この装甲に対する考え方は,航空機であってもモビルスーツであっても同様である。
一年戦争時の(ジオン公国軍の)主力モビルスーツの装甲は,高張チタン合金にセラミックを挟んだハイブリットアーマー(複合装甲)が主流である。特に,MS-05やMS-06などは超高張力鋼を用いたスペースドアーマー(多重空間装甲)を使用していた。
これに対して,RX-78の装甲はルナチタニウムと呼ばれるレアメタル合金を使用した三重ハニカム構造であり,ザクマシンガンの直撃に耐えることができるほど強固なものであった。
こうした新素材の開発が,大きく兵器の質を変えてしまうこともある。
それだけに,装甲材の開発には各国がしのぎを削っているのである。
装甲材
一般的には,装甲の材質そのものを指す言葉として用いられる。すなわち,スペックワークにおける「超硬スチール合金」,「ルナチタニウム合金」といった合金種別のことである。しかし,実際には複合材が多く,全ての箇所が同じ材質で構成されているわけではない。
装甲に求められるのは,機体そのものの稼働を阻害せず,なおかつ,敵機からの攻撃を防ぐ高い防御力である。従って,用途に応じて同じ材質であっても組みあわせ方,厚さ,形状など様々な形で配慮され,配置されているのである。
以下に装甲材として用いられた材質や,特殊装甲の仕組みなどを列挙[2]する。また,多くは複合素材であり,複数の素材による複合装甲として形成されている。複合装甲の概念に関しては,次項で解説する。
宇宙世紀における装甲材
基本的に西暦時代からの装甲材の発展強化型のものが多い。
- 超硬スチール合金
ジオン公国軍のモビルスーツの装甲として用いられた材質。
鉄の圧延装甲と思われるが,詳細は不明である。(なお,純粋な鉄でないのはその重量からも明らかで,「鉄系の合金」であることは間違いないと思われる。)
モノコック構造である公国軍モビルスーツの構造から考えて,一定の柔軟性を持ち,比較的低温での加工が可能と考えられる。
強度面では,リジーナや対戦車ロケットなどでも「当たり所」がその撃破に影響するということから,通常の主力戦車(MBT)同様の複合装甲化は行われていたと考えられる。
- チタン合金セラミック複合材
地球連邦軍の量産型モビルスーツが採用した装甲材。
RXシリーズがルナチタニウムを使用していたのに対して,RGM-79ジムが採用したのは,低コストであるチタン合金セラミック複合材を選択している。
ルナチタニウム合金は,非常に強固な装甲を形成するが,その精錬に高いコストがかかるとされており,量で圧倒しようとする連邦軍のモビルスーツには不向きとされたのである。
当初は,それほど高い防御力を持っているとは言いがたい装甲材であったが,時間と共に精錬法と材質の改善が進み,U.C.0090年代には,ガンダリウム(β)合金級の強度をもった装甲材へと進化している。
なお,本素材に関しても超硬スチール合金同様,複合装甲化が行われていることは間違いないと考えられる。
- チタン合金ネオセラミック複合材
ザンスカール帝国軍モビルスーツが採用していた装甲材。チタン合金系であること以外の詳細は不明である。
- ルナチタニウム合金(ガンダリウム合金)
一年戦争時,地球連邦軍のRXモビルスーツシリーズが採用した装甲材。
その後,様々な装甲材が開発されるきっかけとなった。
その組成により,ガンダリウムα〜γなどの種類がある。
詳細は,「ガンダリウム合金」を参照のこと。
未来世紀における装甲材
基本的に西暦時代からの装甲材の発展強化型のものが多い。
特殊な金属としてガンダリウム合金が存在するが,これもチタニウム系という点で,宇宙世紀と共通している。
- ガンダリウム合金
未来世紀においてモビルファイターの装甲材として用いられるのは,ガンマ・ユニフィケショナル・ディマリウム合金(略して「ガンダリウム合金」)であり,この合金を用いることがレギュレーションとして指定されている。
なお,多くの場合単一合金のみによる装甲では無く,ハイブリッド型の複合材である。
詳細は,「ガンダリウム合金」を参照のこと。
- Jコロニーチタン合金
ネオジャパンのモビルスーツなどに用いられている装甲材のひとつ。
実際にはセラミックなどで複合材として用いられる。
なお,Jコロニーチタン合金は,その組成によりいくつかの名称が存在するようで,ノブッシ,ブッシ,ファントマいずれもJコロニーチタン合金という表記以外の表記も存在する。
- ジムニウム合金
ネオジャパンの装甲材のひとつ。
ノブッシに使用されている装甲材で,Jコロニーチタン合金の一種だと思われる。
- ザクニウム合金
ネオジャパンの装甲材のひとつ。
ブッシに使用されている装甲材で,Jコロニーチタン合金の一種だと思われる。
- ビグザニウム合金
ネオジャパンの装甲材のひとつ。
ファントマに使用されている装甲材で,Jコロニーチタン合金の一種だと思われる。
- Aコロニーチタン合金
ネオアメリカの用いている装甲材のひとつ。
Jコロニーチタン合金同様,複数の組成があるものと思われる。
- アパタイト合金
ネオアメリカの用いている装甲材のひとつ。
可変モビルスーツ「マーフィ」に用いられているもの。
- チタニウム合金
一般的なモビルスーツ用装甲材。
ネオイングランドやネオフランスの機体での使用が確認出来る。
アフター・コロニーにおける装甲材
基本的に西暦時代からの装甲材の発展強化型のものが多い。
- ガンダニュウム合金
いわゆる「ガンダム」に用いられた特殊な装甲材。
その組成は多岐に渡り,同じガンダニュウムであっても,全く特性が異なる金属が存在すると言われる。
詳細は「ガンダニュウム合金」を参照。
- ネオ・チタニュウム/チタニュウム合金
OZや地球連合が用いるモビルスーツに標準的に採用されている装甲材。
詳細は「ネオ・チタニュウム合金」を参照。
アフター・ウォーにおける装甲材
アフター・ウォーにおける装甲材について詳細な設定は確認出来ない。
ガンダムタイプは「ルナチタニウム」,その他は「チタニウム合金」とする資料も存在するが,現状確定した資料であるとは言いがたい状況である。
正暦における装甲材
この時代のモビルスーツは,発掘兵器としての側面が強く,そのMSが開発された時期の装甲材が復刻して用いられている場合が多い。
そのため,ボルジャーノンなどの旧世紀の機体は,これまで登場した装甲材で構成されていることがほとんどである。
しかしながら,この時代ならではの特徴的な装甲も存在しており,これらについては,それぞれの項目を参照してもらいたい。
- ナノスキン装甲
ムーンレィスの発掘モビルスーツや∀ガンダムなどに用いられていた装甲。
ナノスキンによる自己再生が可能。
詳細は,「ナノスキン装甲」を参照のこと。
- ウージィアーマー
バンデットに採用された特殊な装甲のこと。
ナノスキンの応用で誕生した。
詳細は,「ナノスキン装甲」を参照のこと。
- FE型装甲
ムーンレィスの一般的な兵装に用いられている装甲材のひとつ。
- MFE型ガンディウムFGI複合材
スモーに使用されている装甲材。
FE型の発展型で,学習型の装甲システム。
詳細は,「MFE型ガンディウムFGI複合材」を参照のこと。
コズミック・イラにおける装甲材
基本的に西暦時代からの装甲材の発展強化型のものが多い。
この時代を特徴付けるのが相転移装甲である。また,艦艇に採用されているラミネート装甲も一種独特の装備と言えるだろう。
いずれも「相転移装甲を参照のこと。
- フェイズシフト装甲
地球連合が開発した新技術による装甲材。
相転移装甲とも。
実体弾にはほぼ無敵ともいえる強度をみせる。
- トランスフェイズ装甲
第2期GAT-Xシリーズに採用された装甲材。
フェイズシフト装甲の弱点であるエネルギー消費の激しさなどを改良したもの。
- ヴァリアブルフェイズシフト装甲
フェイズシフト装甲の発展型。トランスフェイズ装甲とは異なった方向で進化したもので装甲強度が変えられるのが特徴。
- 発泡金属装甲
オーブが開発したアストレイシリーズに採用されている装甲材。従来の金属装甲程度の強度しかないが,重量が極端に軽減されているのが特徴である。
詳細は,発泡金属を参照のこと。
西暦における装甲材
基本的に金属装甲の時代は終焉し,カーボン装甲の時代となっている。
一般的な装甲材としてEカーボンが用いられており,これに独自の強化策を施したのが,ガンダムに用いられている装甲である。
詳細は,Eカーボンを参照のこと。
構造や多層材の組みあわせによる装甲
よく知られていることだが,同じ炭素であってもその構造が異なる「黒鉛」と「ダイヤモンド」では,大きく強度が異なる。これは異性体の例ではあるが,こうした構造の変化によって,装甲の強化を図ることは可能である。
例えば,装甲を構造体の一部として構成する「モノコック構造」などはその例のひとつだろう。また,旧世紀の戦車が登場した頃には,装甲を取り付ける角度によって弾を弾く「傾斜装甲(避弾経始制御)」なども用いられていた。
また,同時に装甲そのものに加える加工によって強度を増すなどの手段も様々にとられてきている。
こうした方法論のうち,以下に示す方法は,モビルスーツなどにも用いられているものである。いずれも,単独で用いられるのでは無く,複数が組み合わされて運用されることが多いため,基本的な概念さえ把握しておけばいいだろう。
空間装甲(スペースド・アーマー)
複数の装甲を組みあわせ,それぞれの間に空間を作ることで,装甲の効果を高めるもの。中空装甲とも呼ばれる。
近接信管など爆発することでダメージを与える砲弾などでは,装甲の間の空間でその威力が削がれ,結果的に被害が低減される。こうした仕組みは,様々な分野で用いられており,既存の装甲よりもかなり薄い装甲材の組みあわせでも高い効果が得られることが判っている。
複合装甲
2種類以上の材質を積層させた装甲のこと。コンポジット・アーマー,ハイブリッド・アーマーなど様々な呼称が存在する。世界的に有名になったものが,旧イギリスの軍事シンクタンク,チョバム戦闘車両研究所が開発した「チョバム・アーマー」である。
チョバム・アーマーの場合,セラミックや強化繊維などを積層した装甲を従来の戦車装甲に被せることで砲弾の運動エネルギーを緩和させてダメージを最小限に抑え,また二重の装甲の間の隙間によって成形炸薬弾によるダメージを防ぐ効果もある。
なお,積層される装甲の材質は様々で有り,投入される戦場の状況に適した装甲が開発される傾向にある。
また,装甲材の組みあわせを選択することで用意される場合もあり,これはどちらかと言えば,次にあげる増加装甲に近い概念である。
欠点は,重くかさばること。
増加装甲
その名の通り,装甲を追加して取り付けることをいう。元来は,戦車の予備キャタピラ(履帯)などを装甲の代わりに取り付けたことが発端だが,現在では最初から「交換式の装甲」という方向性で開発されたものを増加装甲という場合がほとんどである。
追加で装着される装甲は,本体の装甲よりも低コストでありながら,効果の高いものが用意される。このため,コストと効果のバランスから様々なアイデアが実際に試され続けてきた。
現在もっとも多く利用されているタイプが,爆発反応装甲(着弾と同時にその部分が爆発し,その爆発力で敵弾の威力を相殺するもの)や自己損壊装甲(着弾と同時にその部分が損壊し,敵弾の威力を逃がしてしまうもの)などが挙げられる。
前者はメンテナンスが大変であるが効果は高く,後者は効果はある程度であるが,低コストで実現出来るメリットがある。
リアクティブ・アーマー(爆発装甲・反応装甲)
装甲の一種。元々は,戦車の装甲として開発されたもの。
強固な装甲は,それと引き替えに重量などの増大を招き結果的に,強力な兵器に対して有効な手段ではなく,それを解決する為のいわば積極的防御である。
直撃があった場合,装甲自体が壊れることで,弾頭の威力を殺すもの。
場合によっては,外向きに装甲が爆発することで弾頭自体を破壊,あるいは,失速させるものもある。
関連項目
編集者
最終更新時間:2011年12月23日 07時41分37秒
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