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重力の変更点

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!!!重力
*[用語]
//*読み:
*分類:その他
*区分:共通
*出典:共通
!!説明
 重力とは,物体がその質量に比例して受ける力のことである。
 簡単に言えば,「重さ」を生み出す力のことである。

 一般的に重力というと,「重力が存在するから」我々が地球上に留まっていることのできる根本となる力という感覚で受け取られるが,実際には,これは「万有引力」という重力の一種である。(万有引力の発見は,ニュートンのリンゴによって有名であろう。)
 実際には,我々が地上で経って歩くことができるのは,万有引力以外に,地球の遠心力や向心力といった様々な力が影響しており,重力とはこうした物体そのものが持つ(あるいは影響を受ける)様々な力の合力で示される。
!「重さ」と「質量」
 一般的に「ものの重さ」を示すために用いられる単位は,g(グラム)やkg(キログラム)である。しかし,実際には,この単位は誤りである。
 これらの単位は,本来「質量」を表すものであって,「重さ(重量)」を表すものではない。

 質量とは物体そのものが持つ概念的な大きさで,どの場所でも基本的に同一である。一方,我々が知る所の「重量」とは任意の場所における重力によって導き出される数値であるため,質量と重量は根源的には違うものである。
 しかしながら,我々が質量の単位として用いる,g,kgは,地球上で導き出される重量の単位であるg重(グラムじゅう),kg重(キログラムじゅう)と概ね等価であるため,一般的には重量の単位に質量の単位を用いるのである。

 よく書籍等で述べられる「月では重力が地球の1/6のため,体重も1/6になる」というフレーズは,同じ物体であっても,重量という単位が異なった重力を持った場所では,変化してしまうことを示している。
 つまり,「重さ」とは重力の強さによって変化する,ということなのである。

 逆に言えば,質量とは,重力の大きさが変わっても不変のものだということになる。
 ところが,質量という数値は,明確に基準となる「もの」が存在しない。
 一般的に我々が知る質量を示す(あるいは質量に類する)最小の数値は「原子量」であり,これが質量として表されたものがモル質量{{fn 厳密に言えば,原子量を産出する際には,自然界で存在する同位体の存在比を元に質量分布を定義しているため,必ず端数が生じる。}}である。(例えば,水素分子1モルの質量は約「2g」と定義される。この際に必要な水素分子の数がアボガドロ定数によって定義される。{{fn 詳細は,高校の化学1の分野になるが,中学生程度の考え方でいえば,元素周期表の原子量≒質量と単純にまとめてもいいだろう。}})

 だが,科学の発展により,「原子」も物質の最小単位では無いことが明らかになった。原子は,原子核(陽子と中性子),電子によって構成されることが明らかとなり,さらに検証が進み,これらも細分化されることが判ったのである。
 こうして理論が成立した「最小の単位」には「素粒子」という名称が与えられ,役割と性質によって大きく2種に分類され,さらにそれぞれが細分化されている。
 ただし,素粒子は原子を構成する陽子と比較しても「点」と表現するほか無いほど小さな構成体であり,現在でもその全てが解明されたわけでは無い。

 これら素粒子の組みあわせによって構成される原子は,その質量数に応じた質量を持つ事となる。すなわち,質量数に応じて重力の影響を受けることとなったと同時に,質量数に応じた重力を持ったのである。
!重力という名の合力
 地球上では,あまりに地球が大きいために全ての物体が上(宇宙方向)から下(地中方向)へと落ちる様に見える。しかし,実際には落ちている物体が地球を引っ張る力も存在する。これが万有引力である。

 一方,地球は西から東に向かって自転している。その速度は赤道上でおよそ1666.7km/h。つまり,音速を超えているのである。我々が気付かないのは,空気を含めた全ての物体が同時に移動しているからであって,実際にはかなりの速度で移動しているのである。

 さて,およそ10mの高さから物体を落下させた結果,地面に到達するまでに1秒かかったとする。一見まっすぐ落下させた様にみえても,赤道上の場合,先の自転速度から算出すると(地球の外から見た場合)西から東におよそ463mずれて落下しているのである。
 つまり,見た目の落下と実際の落下方向が異なるのである。これが重力の特徴で,重力とは地球の持つ万有引力と地球の自転による遠心力の合力なのである。(ただし,ここで断定してしまうと間違いである。実際には地球が公転する際の遠心力,太陽系が自転する際の遠心力……,と厳密に考えると切りが無いため,妥当な所で切り捨てているのである。)
 なお,地球は球形であるため,赤道上と極地では,自転する速度も異なる。故に,緯度によって重力は異なってくるのである。

 これは他の天体(例えば月)でも同様で,最も重力が大きくなるのは,自転軸に直交した緯線上であり,最も重力が小さくなるのは,自転軸上(極)ということになる。
{{anchor 無重量}}
!無重力と無重量
 通常,地球上で「もの」を投げた場合,放物線を描いて最終的に地上に落下する。これは,地球の重力(万有引力)が,その物体に働いているためである。
 では,この「もの」を更に遠くに強く投げた場合はどうだろうか。
 この場合,だんだんと距離が遠くなり,到達点が高くなっていくが,ある一点を超えると,地球の外へ飛び出してしまい,そのまま地球を周回する軌道に定着してしまう。これが第1宇宙速度である。

 この状況では,物体が得た速度がそのまま地球を中心とした回転速度となり,この速度によってもたらされる遠心力と地球が持つ重力が均衡している。つまり,重力と遠心力がうち消し合っているため,見た目には重力が存在しないように見える。
 この状況が「無重量状態」なのである。
 一般に言われる「無重力状態」とは,厳密には重力が存在しない状況を指すため,本来,これが存在する状況というものはあり得ない。(宇宙のどこでも何かしらの重力の影響を受けるためである。)しかし,遠心力と万有引力の合力がゼロである無重量状態は,見かけ上重力がゼロであるのと等価であるため,「見かけの無重力状態」と言うこともできる。
!脱出速度
 脱出速度とは,地球上から地球の重力を振り切って外に飛び出して行くための速度であり,この速度を満たすことで地球上から人工惑星を打ち上げることが可能となる。
 実は,一般的に第2宇宙速度と呼ばれるものである。

 前節で簡単に触れた第1宇宙速度とは,地球上から打ち上げた物体が地球上に「落下しなくなる」速度(約7.9km/s)のことであり,これは「物体の速度を等速円運動と見なした際の遠心力」と重力が釣り合っている状態を示している。
 この速度を超えると,遠心力の方が重力にまさるため,徐々に軌道が楕円形を描く(地上で見ることのできる放物線のような状態)ようになり,ついには,地球を離れ,太陽の周囲を周回する公転軌道に遷移する。この速度(約11.2km/s)を第2宇宙速度といい,地球の重力から逃れることから,脱出速度と定義されるのである。

 無論,その上の速度,すなわち太陽の重力を振り切るために必用な速度も定義されており,これが第3宇宙速度(約16.7km/s)と呼ばれる。

 ただし,これらの数値は,地上から直接打ち上げた場合に適用されるものである。というのも,地球から離れれば離れるほど地球の重力の影響は小さくなっており,実際には,その打ち上げられた物体が到達した地点での重力の影響よりも,物体の持つ速度(遠心力)が勝っていれば地球の重力圏(あるいは太陽の重力圏)の離脱は可能になる。

 これまで打ち上げられてきた人工天体(パイオニア,ボイジャーなど)は,太陽系外縁に近づくにつれ,各惑星の重力を利用したスイングバイによる加速などで速度を上げ,太陽系を離脱しており,当初から第3宇宙速度を持った衛星として打ち上げられたものではない。
{{anchor 人工重力}}
!人工重力
 人工重力とは,人工的に重力を発生させること,発生させたこと,を指す言葉である。すなわち,[[スペースコロニー]]内部に発生させるものなどが該当する。
 一般的に,人工重力のほとんどは,遠心力による万有引力の代替によって実現されるもので,内壁(重力を発生させる面)の回転軸からの距離と,回転速度によってその大きさが決定される。
 一般的な島3号型コロニー(直径6km,シリンダー長30km)の場合,0.5〜0.55rpm(1分50秒〜2分で1回転)で0.9〜1Gの重力を発生させることができる。

 逆に小型のコロニーの場合は,回転速度を上げることで擬似重力を強くすることは可能だが,この場合,人間のバランス気管に与える影響も大きくなってくる。
 このため,宇宙船などに搭載されている重力ブロックは,あくまでも0.2〜0.5G程度の「重さを感じる」程度の重力を発生させられるだけのスペックしか無いが,これでも人間の生理的な不都合を解消するには十分なスペックなのである。
{{anchor 重力コントロール}}
!重力コントロール
 一般的に,物質は質量をもつかぎり,重力の影響を取り除くことはできない。
 無論,重力を発生する物質から距離をとれば,その物体が持つ重力の影響を小さくすることはできるが,あくまでも「影響を小さくする」ことであり,重力そのものを遮断することはできない。
 だが,重力の縛りから抜け出せるということは,膨大な物質を僅かなエネルギーで移動させることが可能になるということであり,古くから重力をコントロールする技術について様々な研究が進められていた。
 しかし,これは,物理学上では理論的に不可能な技術として,多くの研究者からは冷淡に見られていた研究でもある。

 だが,一般相対性理論の登場によって,数学的な側面から考察することで,「重力に反する力」の想定は可能となっている。(無論,現実に存在しえるかはまた別の話である。)

 一方で,重力を遮断する物質や力場としての反重力の研究をすすめている研究者も存在する。これらは,旧世紀のサイエンス・フィクションの中でも数多くが登場しており,(1)任意物質による重力遮断,あるいは,反重力格子の構築,(2)重力そのものをうち消す,あるいは低減する力場,(3)重力そのものを力場としてコントロールする,といった方法が考えられていた。

 U.C.0069年にその存在が実証されたミノフスキー粒子は,不完全ではあるが,(1)の重力遮断物質としても機能する特性を持っている。
 すなわち,ミノフスキー粒子が構成する立体格子場は,特定の波長の電波などの通過を遮断するが,この格子場そのものを一種の踏み台として用いることで,物質を浮かせる(厳密にはその補助だが)ことが可能となったのである。
 これが「[[ミノフスキー・クラフト]]」の概念的原理であり,人類はようやく重力の縛りから抜け出るための足掛かりを得たといえるだろう{{fn ガンダムシリーズにおいて,重力を明らかにコントロールする技術として登場したのは,Gガンダムにおける反重力システムや,超重力システムが(明確には)初めてである。その後,∀ガンダムでいくつかの重力制御技術が登場しているが,逆に言えば,ミノフスキー・クラフトなどを含めても,この程度しか劇中には登場していない,ということになる。}}。
!!関連項目
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!!編集者
*あさぎり
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