トップ 差分 一覧 Farm ソース 検索 ヘルプ ログイン

考察:Laboratory Report/第2章 宇宙世紀の技術(4-5)

お願い

  ■検索等で初めて来訪した方は,注意書き等を必ずご覧になってください。
  ■Wiki項目への直接リンクは避けるようお願いします。→<必読>  頻繁に項目変更が行われる関係上,直リンクはエラーのもととなります。
  ■あまりにマナーの悪い人がいましたので,一部項目にアクセス禁止処理を行いました。
  ■極めて短時間で集中的アクセスを行ってるIPについては,終息の目処が立たなかったためアクセス禁止処理を施しました。解除申請は本家掲示板にて。

第2章 宇宙世紀の技術

 宇宙世紀の概要については,前章で簡単に説明を行った。本章では,これら時代時代に応じた技術的な面を概要と詳細の形でまとめていきたい。また,各陣営ごと,開発メーカーごとのMS開発に関する技術系譜等も本章で扱う。
 特に,宇宙世紀初期と記録の残る終盤である,200年代ではその世界環境が大きく異なるため,これらも含めて技術論という形でまとめておく。

 なお,各モビルスーツの詳細データ等,個別考察については第4章以降にまとめているので,そちらを参照してほしい。

 2-4 モビルスーツの開発メーカー


 本項では,ジオン公国軍及び地球連邦軍におけるMSの開発メーカーについてその概要と詳細をまとめている。また,関連してMSの爆発的な進化が続いたグリプス戦役期頃までのMSの開発に関わった企業や組織等についてもまとめている。(企業ではなく,軍主導で開発が進められた機体群も存在するため,こういった表現になっている。)
 この時代,MSという機動兵器の基礎フォーマットが確立した時期ともいえ,以降のMS開発はこの成熟が続いていった時代と区別することが可能であり,それだけに様々なメーカーがその技術を競った時代だとも言えるのである。また,メーカーの違いはMSのコンセプトの違いとも言える時期であり,こうした時代を経て,MSという兵器は完成度が高められていったのであろう。そのため,この時代のMSは,初期にMSという兵器が登場した時期から,様々な用途別,機種別分類が確立するまで,非常に短期間で成熟しており,(一般的には兵器の成熟には非常に長時間がかかるものであるのだが)わずか20年ほどで第1〜第5世代まで急速に発展している。(ただし,基礎的フォーマットの確立は第2世代でなされており,以後の機種は多くがこの第2世代MSをベースとしているのは注目すべき点である。)

 第1節から第7節までは,これら一年戦争前後から第2次ネオ・ジオン戦争というMSが急速に発展した時代のMS開発メーカー,組織を重点的に解説している。また,宇宙世紀100年以降に登場したMS開発メーカーに関する概要や詳細については,代表的なものを第8節以降にまとめている。

 2-4-(5) 一年戦争後のジオン系MSメーカーの再編


 これまで述べてきたように,一年戦争前〜終戦までは,ジオン公国内のMSメーカーというのは,ジオニック社があまりに強すぎ,他がかすんでいる状態(*1)である。
 本章では,ジオニック社のライバルとしてMS開発に最も積極的であったツィマット社の項目に特に頁を割いたが,これすら実は断片的な記述をつなぎ合わせて導き出しただけに過ぎない。
 他のMS開発に関わった中小メーカーに至っては,先に示したスゥイネン社,ホシオカ重機,そしてアナハイム・エレクトロニクスが広報誌として提供しているアナハイム・ジャーナルに記された企業などといった数える程度しか記述として現れていないのである。逆に言えば,それだけ「MS=(ザク=)ジオニック社」というイメージが強烈すぎるのである。

 だが,そのジオニック社も一年戦争敗戦後は,凋落するしかなかった。
 ジオン公国の一年戦争敗戦により,様々な戦後処理が行われたことは,様々な資料を見るに想像はたやすい。その中で,最もターゲットになるのは一年戦争最大のMS開発メーカーであるジオニック社であることは火を見るよりも明らかである。
 すなわち,真っ先に解体の対象となったであろうことは想像に難くない(*2)。ジオンシンパ(言葉を換えればザビ家シンパ)の社員,特に技術者が,どのくらい戦後のジオニック社に残っていたかは不明だが,そういった技術者の多くは,敗戦とともにアクシズへと逃亡したと思われる。つまり,残っていた社員の多くは,生きていくためには企業活動を何らかの状態で続けなければならない人々だったということになる。

 戦後のジオン系メーカーの再編については,それほど詳しい資料はないのだが,断片的に残る資料から,ある程度の結論を導くことは可能である。
 まずジオニック社であるが,先に記したように,連邦によって解体されたことは間違いない。数多くあった生産設備などは,その多くがアナハイム・エレクトロニクスに吸収された(*3)。また,サイド3に残るジオニック系の工場などは閉鎖される物とツィマット社に吸収された物がほとんどだと思われる。これは,戦後のジオン共和国の整備関連をツィマット社が一手に引き受けていることからも間違いないであろう。
 戦後,ジオン共和国は新たな戦力の保有を認められなかった(*4)ため,旧来の戦力をそのまま移行したことになっている。そうなると,それらジオン系MSの開発生産を担っていたツィマット社が整備関連を引き受けるのは都合がいい(*5)のである。
 同様に,MIP社についての記述ははっきりとしていないが,MAの主たる開発企業であること,後にMSM-07の系譜に連なる水陸両用MSも登場していないことから,おそらく解体されたと考えた方がいいだろう。

 ジオニック社,MIP社が解体され,ツィマット社は整備はともかく新規開発は制限されるという状況であることから,MS技術者の多くは流出したものと思われる。
 そうなってくるとかつてのジオン系MS技術が,如何様に散っていったか,という部分に興味が移る。ならば,その引受先はどこかというと,実際,選択肢はほとんど無いのである。
 連邦系技術開発局(すなわち,各種研究所)か,アナハイム,事実上この二択に近い状況でしかないのである。(ただし,先にも触れたジオンシンパである技術者の多くは,アクシズに逃亡した可能性が高いことはいうまでもない。)そのため,こういった「やむにやまれず」生活の為に移籍した技術者の多くは,アナハイム・エレクトロニクス系の企業に移籍したと考えられるのである。

 次節からは,これらジオン系技術者が最も多く移籍したと考えられるアナハイム・エレクトロニクス社,および戦後にMS開発を行った施設等についてまとめてみよう。

 なお,蛇足ながら,軍需産業以外にその生活の糧を見いだせる企業は,その方向にシフトしたと考えられる。終戦後は,復興特需が起きており,コロニーの再建など,各種の公共事業が行われており,その意味ではサイド3は復興サイドのコロニー建設でかなり持ち直したはずである。

 註釈

 本文中の注釈である。
 記述スタンスは,基本的に「執筆者の視点」ではなく,「(我々)編集者/閲覧者の視点」で行われている。

(*1)

 実際には,メーカー自体が後付であるため,この点にはっきりした設定があるわけではないのだ。
 しかし,ジオニックが開発したMS-06とMS-14のため,他がかすんでしまったというのが実情であろう。そういった意味では,最初にこれらの機体の系譜を導き出して設定したその行為はすばらしい物である。

(*2)

 これは,第2次世界大戦後の三菱/中島解体と理由はほぼ似たようなものだと思われる。

(*3)

 技術者はどれほどアナハイムに流れ込んだか微妙なところではある。
 模型情報に掲載されたF.M.S.にもアクシズへと脱出するサイド3の技術者の話題が掲載されており,こういった技術者のアクシズへの流出は,かなりの数に昇ったものと考えられる。

(*4)

 Ζガンダム劇中で,ハイザックなどを使用しているのが見受けられるが,これは年次更新やティターンズからの提供だと思われる。

(*5)

 このことからもジオニックが戦争責任の一端を担わされたこと,そしてその技術者を連邦が引き抜くことを前提に解体されたことが想像できる。

 ナビゲーション


 編集者


最終更新時間:2011年08月15日 17時30分40秒

脚注