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考察:Laboratory Report/第2章 宇宙世紀の技術(4-11)

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第2章 宇宙世紀の技術

 宇宙世紀の概要については,前章で簡単に説明を行った。本章では,これら時代時代に応じた技術的な面を概要と詳細の形でまとめていきたい。また,各陣営ごと,開発メーカーごとのMS開発に関する技術系譜等も本章で扱う。
 特に,宇宙世紀初期と記録の残る終盤である,200年代ではその世界環境が大きく異なるため,これらも含めて技術論という形でまとめておく。

 なお,各モビルスーツの詳細データ等,個別考察については第4章以降にまとめているので,そちらを参照してほしい。

 2-4 モビルスーツの開発メーカー


 本項では,ジオン公国軍及び地球連邦軍におけるMSの開発メーカーについてその概要と詳細をまとめている。また,関連してMSの爆発的な進化が続いたグリプス戦役期頃までのMSの開発に関わった企業や組織等についてもまとめている。(企業ではなく,軍主導で開発が進められた機体群も存在するため,こういった表現になっている。)
 この時代,MSという機動兵器の基礎フォーマットが確立した時期ともいえ,以降のMS開発はこの成熟が続いていった時代と区別することが可能であり,それだけに様々なメーカーがその技術を競った時代だとも言えるのである。また,メーカーの違いはMSのコンセプトの違いとも言える時期であり,こうした時代を経て,MSという兵器は完成度が高められていったのであろう。そのため,この時代のMSは,初期にMSという兵器が登場した時期から,様々な用途別,機種別分類が確立するまで,非常に短期間で成熟しており,(一般的には兵器の成熟には非常に長時間がかかるものであるのだが)わずか20年ほどで第1〜第5世代まで急速に発展している。(ただし,基礎的フォーマットの確立は第2世代でなされており,以後の機種は多くがこの第2世代MSをベースとしているのは注目すべき点である。)

 第1節から第7節までは,これら一年戦争前後から第2次ネオ・ジオン戦争というMSが急速に発展した時代のMS開発メーカー,組織を重点的に解説している。また,宇宙世紀100年以降に登場したMS開発メーカーに関する概要や詳細については,代表的なものを第8節以降にまとめている。


 2-4-(11) ザンスカール帝国


 ザンスカール帝国は,サイド2のアメリアコロニーをベースとしたコロニー国家である。
 だが,この宇宙戦国時代に特徴的な,コロニー国家間だけの争いだけではなく,地球にも侵攻作戦を展開した点が大きな特徴となっているのである。地球侵攻作戦を行ったのは,ベスパと呼ばれる侵攻部隊ではあるが,事実上ザンスカール軍といっても過言ではなく,開発した機体は全て軍全体に渡って運用されている。
 ザンスカール帝国が開発したMSには大きな特徴がある。外見から判るような「キツネ目」もその一つではあるが,その運用形態が特殊なのである。極めて初期のザンスカール軍MSであるゾロアットは,標準的な宇宙用MSであり,コスモバビロニア建国戦争以後の標準的な機体といえる。だが,地球侵攻作戦以降に開発された地上用MSにはかなり特殊な装備が加えられているのである。

 ビームローターと呼ばれる装備は,ザンスカール軍が開発した地上戦における切り札的装備であった。それまでもミノフスキークラフトによる飛行を実現したMSは存在したが,その機体は30mにも届こうかという巨大な機体であり,また,大量に量産が可能な機体ではなかった。しかし,ビームローターは,宇宙世紀120年代以降標準的な装備として用いられていたビームシールドを発展させたものだったのである。
 この装備により,限定的な飛行を可能としていたミノフスキーフライトなどよりも更に柔軟な運用が可能となったのである。そして,ビームローターを装備した機体としてZM-S08Gゾロが量産ベースに乗り,量産型MSが単機で(飛翔ではなく)飛行可能な時代が到達したのである。
 一見,完全な装備であるビームローターではあるが,飛行可能となった反面,飛行時に腕がローターの基部として固定される関係上,戦術的な面での不利益があり,ザンスカール軍ではこれを解決するために様々な試行錯誤を繰り返すこととなった。ゾロの変形機構もその一つといえないこともないが,メッメドーザの様に肩部にビームローターを固定した機体が登場したのも,そういった流れからである。だが,この試みはいずれもうまくいかず,ビームローター搭載機は徐々にその数を減らしていく。

 代わって登場したのが,「タイヤ」と通称される特殊装備,「アインラッド」と「ツインラッド」である。これらは,ガッダール隊のもたらしたデータを基に建造が進められたモトラッド艦隊のデータのスピンアウトともいえる装備で,一般的にはSFS(サブ・フライト・システム)に分類されるが,実際にはそれを凌駕した複合装備である。

 アインラッド(以下,ツインラッドも含む)では,回転するリニアレールの中にMSを収納し,側面を(MSの腕部に装着した)ビームシールドで防御するというシステムある。リニアレール上部には,攻撃兵装を装備し,また,レール部にはブレードも装備されており,まさに攻防一体の装備なのである。
 アインラッドの完成以後,ザンスカール軍のMSはこれに対応した戦術体系へとシフトし,機体そのものもアインラッドへの対応を前提としたものが登場してきた。

 これらの兵装が一朝一夕で誕生するはずもなく,ザンスカール軍の基礎研究は古くから行われていたと考えられるのだが,ザンスカール帝国そのものの建国は,それほど古くはなく,どちらかといえば宇宙戦国時代の新興国である。
 ではなぜこういった技術が誕生したのか,実は意外な組織と関係があるのである。ザンスカール帝国軍のベスパのベースとなった組織は,かつてサイド2にあったサナリィの支社だったのである。これらベスパの技術は,サナリィの各支社が独自に進めていた次世代MSのための提言に端を発するものであり,この支社を接収したザンスカール帝国が,こういった次世代技術を元に新型MSの開発を命じた結果誕生したのが,これらベスパのMSということなのである。
 一部資料では,ザンスカール帝国に抵抗した組織であるリガ・ミリティアの技術ベースもサナリィ発のものであった,とも言われており,図らずも元々は同一社の開発した機体同士が戦うこととなってしまっていたのである。

 残念ながら,ザンスカール帝国の「その後」については,詳細な記録が存在していない。同様に,ベスパのその後も明かではなく,はっきりとしたことは判っていない。


 註釈

 本文中の注釈である。
 記述スタンスは,基本的に「執筆者の視点」ではなく,「(我々)編集者/閲覧者の視点」で行われている。

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最終更新時間:2011年08月15日 17時26分47秒

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