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考察:Laboratory Report/第2章 宇宙世紀の技術(1)

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第2章 宇宙世紀の技術

 宇宙世紀の概要については,前章で簡単に説明を行った。本章では,これら時代時代に応じた技術的な面を概要と詳細の形でまとめていきたい。また,各陣営ごと,開発メーカーごとのMS開発に関する技術系譜等も本章で扱う。
 特に,宇宙世紀初期と記録の残る終盤である,200年代ではその世界環境が大きく異なるため,これらも含めて技術論という形でまとめておく。

 なお,各モビルスーツの詳細データ等,個別考察については第4章以降にまとめているので,そちらを参照してほしい。

 2-1 コロニー建造によって発展した宇宙開発技術


 西暦2045年に,従来の西暦から宇宙世紀へと暦が変わったことは前章で触れているが,この宇宙世紀における最大の技術トピックは,何といってもやはり「スペースコロニーの建造」そのものであろう。

 宇宙開発に関しては,20世紀から徐々に進められてきたが,21世紀には爆発的に進むこととなった。これは,それだけ地球における人口問題が深刻化したと言うことであり,宇宙への第二の大地の建造は,それだけ重要視されていたのである。(*1)
 21世紀に入ると,スペースコロニー建造のための基礎技術が次々と開発されていった。従前からあるスペースシャトルを基本とした宇宙往還機だけではなく,大型のHLVなどが次々と開発され,月面にはコロニー建造のための前線基地ともいえるマス・ドライバー施設が建造され,宇宙に滞在する人々も増えていったのである。
 こうした各種事業の展開のなかで様々な宇宙関連技術が発展していったのである。

 宇宙空間での施設建造は,旧世紀から様々な手法で行われていた。
 しかし,スペースコロニーのような大規模建造物には従前の方法が通用するわけではなく,それを応用した技法が必要であり,そうした技術が次々と開発されていったのである。
 初期の島3号型コロニーは,資源衛星を周辺宙域に浮かべ,あるいはコロニー本体に接合した状態で,そこで生産した各種資材をコロニー建設に用いる手法をとった。この方法は,資材接合を繰り返していくため,従前の発展的技法に過ぎず,比較的実現しやすかったのである。(*2)
 ある程度シリンダー部が完成すると,圧力隔壁を設置し,内部に空気を充填し,実際に居住可能な状況で移民を開始した。空気の充填でコロニーそのもののフレームが「締まる」ことを利用し,本体を安定化させるためで,その後もシリンダーの延長作業を行い,新たな圧力隔壁を設置し,更に空気を充填し居住可能状態にしてから,古い方の圧力隔壁を取り除く,といった手順で建設されていったのである。
 後には,「コロニービルダー」と呼ばれる大型の建設機器が発明され,その手順は大きく簡略化されたが,基本的な建設手順は変化していない。

 コロニー建設には,人の手だけでは難しい面が多く,これを補助するための様々な機材が開発された。無論,様々な建設機材だけではなく,宇宙空間で作業がたやすくなる様な新たなタイプの宇宙服や,ワークスーツと呼ばれる作業用のマニピュレータ,無重量空間でも稼動可能な大型の建設機器,作業用スペースポッドなどがそれである。
 こういった機材の開発が,人類の宇宙進出を助け,後々,モビルスーツの開発へと繋がっていくのである。(一説には,既に「テンダーギア」と呼ばれる人型兵器が存在し,それがベースになったとも言われているが,現存する資料は少なく,明らかになっていない部分も多い。)(*3)


 註釈

 本文中の注釈である。
 記述スタンスは,基本的に「執筆者の視点」ではなく,「(我々)編集者/閲覧者の視点」で行われている。

(*1)

 ご存じの方も多いかと思うが,現実の宇宙開発では,2009年にようやく国際宇宙ステーションが完成したに過ぎない。(ちなみに,国際宇宙ステーションの想定上の耐用年数は,2015年で終わってしまい,わずか6年しかフル稼動できないという状況である。余談ではあるが,日本の実験棟「希望」は,その能力をフルに発揮する為に現在NASAを始め各組織に国際宇宙ステーションの維持を少なくとも5年,延長することを求めている。)
 実際に島型スペースコロニーの建造が現用技術で実現可能とはいえ,さすがに宇宙世紀のような宇宙開発速度は無理であろう。

(*2)

 この建造方法に関しては,ガンダムSEEDのヘリオポリスを想像してもらうと解りやすいだろう。(実のところ,宇宙世紀作品でもこういったコロニーは登場しているのだが,意外と印象が薄いのだ。ちなみに,一番目立つのは機動戦士ガンダムF91に登場したフロンティアサイドであるが,実は機動戦士ガンダムΖΖでも登場していたりする。)
 解説している建造方法は,極めてオーソドックスなものであり,機動戦士ガンダム本編でのサイド7などもこうした建造方法によって建造されている。
 機動戦士ガンダムUCで登場したコロニービルダーは,コロニービルダーそのものが圧力隔壁を兼ねたシステムであり,全く新しい建造方法である。(しかし,現実面から言うと,実は実現は厳しいと思われる。)
 ガンダム・ジ・オリジンでは,この建造方法を利用して,旧圧力隔壁と新圧力隔壁の間の空間を利用してRX-78の開発・試験が行われていた。

 なお,余談となるが機動戦士ガンダム〜機動戦士Ζガンダムの頃に想定されていたスペースコロニーと1990年代になって新たに提出されたスペースコロニーの開発プランで,最も異なる部分が「鏡(ミラー)」の扱いである。
 機動戦士ガンダム放映当時に想定されていたスペースコロニーでは,昼夜を生み出す為にコロニーのミラーを開閉するというプランだったのだが,後にこの開閉部分のヒンジにかかる高い負荷と,開閉時のモーメントによるコロニーの自転への影響から,ミラーは「開閉せずに太陽光の反射率を変えて」昼夜を生み出すという形に変わっている。
 それ以外にも自転モーメントの相殺など,理論が成熟したことで変更された部分も多い。

(*3)

 テンダーギアは,富野由悠季監督が上梓した小説「アベニールを探して」に登場する機動兵器である。この作品は,ミノフスキー粒子や地球連邦といったガンダム世界と共通するキーワードが存在するのが特徴である。
 実際には,ガンダム世界のキーワードを利用した別作品と考えるのが妥当ではあるが,これもまたパラレルの一つとして遊んでみたのが上記文章である。
 この点は一種のお遊びと言うことでご了承いただきたい。

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最終更新時間:2011年08月15日 17時23分37秒

脚注