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考察:Laboratory Report/第1章 宇宙世紀概要(7)

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第1章 宇宙世紀概要


 1979年に放映が始まったテレビアニメーション「機動戦士ガンダム(以下,ファーストガンダム)」は,日本におけるアニメーション史上に画期的な作品の一つとなった。それには様々な理由があるが,いずれの理由も「ガンダムがヒットした理由」にはなり得るであろう。

 逆に言えば,こういった様々な理由が複合的に重なった結果,「ガンダム」という作品は今日まで続く長期シリーズとなったと言えるだろう。本章では,最初に放映されたファーストガンダムが用いていた架空の暦「宇宙世紀」に関して時代ごとの概要をまとめている。

 なお,以降の本文と註釈で執筆のスタンスが違うので注意していただきたい。(本文は,宇宙世紀の遙か未来に生きる人間として,注釈は我々「ガンダムという作品を見ている者」としてのスタンスでまとめている。)

概要は,PDF版では章頭にのみ記載されるが,Wiki項目では説明の為に各小節ごとに掲載している。

 1-7 グリプス戦役〜軍閥による内戦


 宇宙世紀0085年7月に起こった「30バンチ事件」は,ティターンズと宇宙移民者の間に決定的な亀裂をもたらした。
 ティターンズという組織の強権的な活動は,ただでさえ反感を買いやすかった上に,30バンチ事件は「反政府デモ」を「虐殺」という手段で処理し,なおかつこれを「伝染病という名目で」封殺したことから,反連邦政府活動家だけではなく,一般の宇宙移民者の思想活動すら制限しようという思惑が浮かび上がってくる。この点から言えば,ティターンズだけではなく,地球連邦軍全てをティターンズ上層部で牛耳ろうという意識がこの時点で既にあったということであろう。

 それを表す具体的な事例が,この事件の概要を対外的には「伝染病」と発表しながらも,ティターンズ内部では「テロ活動があったため」という形での説明を行っていることがあげられる。(*1)
 つまり,軍内部でもその情報レベルに差があり,なおかつその時点でも「真実を知る」部隊は極めて少なかったということである。これは,ティターンズの設立者であるジャミトフ・ハイマンに近い部隊以外では,作戦行動の事実すら伝えられないことを意味し,結果的にティターンズの暴走に対する歯止めが存在していないことを意味している。

 こういった点に憂慮した高官や将兵が連邦軍内部にも存在してはいた。また,一般兵だけではなく,ティターンズ内部にもそういった兵士が存在しており,この30バンチ事件をきっかけとして,反ティターンズを標榜する部隊や兵士が次々と現れたのである。(*2)
 こうした人材の集まりが,いつしか「反地球連邦組織A.E.U.G(Anti Earth Uniterd Goverment/以下,エゥーゴ)」として,組織的活動を行うようになっていった。つまり,反地球連邦組織といいながらも,実際には連邦兵によって構成されているのがエゥーゴの実情であったのだ。
 ではなぜ反地球連邦を標榜したのか,これには幾つかの理由がある。この時代,地球連邦政府の活動というのは,事実上ティターンズと同一であった。逆に言えば,それだけティターンズによる連邦軍のコントロールが進んでいたということである。(実質的に連邦政府を掌握したのは,宇宙世紀87年に至ってからではあるが。)
 こうした状況であるため宇宙移民者の賛同を得るためには,「反連邦」を明確化する必要があったのである。
 また,もう一つの理由として,エゥーゴの経済面がある。エゥーゴは極秘裏に活動する組織として元々活動が始まったため,各種装備類に関してはどうしても後手に回ってしまうという事情があった。そのため,エゥーゴの実質的な指導者であったブレックス・フォーラ准将は,アナハイム・エレクトロニクス社の会長メラニー・ヒュー・カーバインをそのスポンサーとして資金調達を行った。(*3)そして,アナハイム側の意向として,やはり宇宙移民者を無視した形では協力は難しかったのである。
 この結果エゥーゴには,「アナハイムの協力による新型MS」が提供され,「ティターンズに反感を持つ旧ジオン系の兵士」という人材まで加わり,ティターンズに対抗しうるだけの組織として整備されていったのである。

 こうして両陣営は様々な場面で小競り合いを続けていたが,決定的な衝突は行われていなかった。

 しかし,宇宙世紀0087年3月2日,ティターンズの本拠地であるサイド2の2バンチ,「グリーンノア2(ティターンズ側の通称はグリプス)」にエゥーゴの機動艦隊所属艦であるアーガマ所属のMS部隊が侵入,開発中であった新型MS,RX-178ガンダムMk-兇魘奪したことから,両陣営の戦闘が決定的になり,以後,表だった戦闘行動が行われるようになった。
 この事件をきっかけに,両陣営の戦闘は激しさを増していき,以後およそ1年間にわたる一連の戦いを発端となったコロニーから名を取って「グリプス戦役」と呼ぶようになったのである。

 グリプス戦役は,ティターンズとエゥーゴという二つの組織が争った戦いではあるが,先に示したように事実上軍内部の内乱としての側面を持っている。初期の頃は「反連邦組織」としてのイメージを先行させられたエゥーゴは,ティターンズだけではなく,他の連邦軍とも刃を交えなければならなかった。(これは,ティターンズが宇宙世紀87年8月に連邦政府の実権を握ってしまったことも理由のひとつではあった。)
 しかし,同年11月16日に事態は一変する。エゥーゴの指導者であったブレックス准将の遺志を継いだクワトロ・バジーナ大尉が連邦議会を占拠し,ここで演説。自らがジオン・ダイクンの遺児であり,かつてシャア・アズナブルと呼ばれるパイロットであることを宣言したのである。また,同時にティターンズの悪行を語った結果,連邦議会におけるティターンズの影響力が低下,エゥーゴを正規軍と認め,ティターンズを反乱軍として扱うこととなったのである。
 この結果,グリプス戦役は「エゥーゴの反乱」という扱いから「ティターンズの反乱」へとその立場が180度入れ替わってしまうのである。だが,このことがこの後,加速度的にエゥーゴという組織を崩壊へと向かわせてしまうのである。

 これには幾つかの理由がある。
 最大の理由は,反連邦組織であったはずのエゥーゴが連邦正規軍となってしまったことである。これにより,旧ジオン系の兵士などがこれに難色を示し離脱し始めた。
 さらに,エゥーゴは,元々がティターンズに対抗するための組織であったため,ティターンズの瓦解が進むことで内部対立が表層化したこともあげられる。(つまり,反ティターンズという一点で共闘していた各陣営が,自らの思惑で動きはじめたのが,ダカール宣言以後ともいえるのである。)これは,地球圏に帰還した旧ジオン系組織であるアクシズへの対応などに見て取れる。

 また,アナハイムはエゥーゴを積極的に支援することで連邦に大きなシェアを取れるだけではなく,旧ジオン系にエゥーゴを近寄らせることで,さらなる利益を狙うなど一層の暗躍が見られるようになった。
 そして,連邦軍,連邦政府の高官は,エゥーゴに取り入ること(*4)で自らの保身を謀った。こうしてエゥーゴは組織そのものが弱体化の道を辿り始めた。さらに,アステロイドベルトから帰還したアクシズが第3勢力として加わった結果,グリプス戦役は混乱のままなし崩し的に終結するのである。(*5)

 だが,ティターンズは内部的な要因もあったことから,事実上自壊に近い形で崩壊し,エゥーゴもまた,先に示したような要因で地球連邦に取り込まれ,徐々に崩壊していくのである。この戦乱で唯一利を得たのは,実は旧ジオン系残党のアクシズだったというのは,皮肉でしかないだろう。(*6)


 註釈

 本文中の注釈である。
 記述スタンスは,基本的に「執筆者の視点」ではなく,「(我々)編集者/閲覧者の視点」で行われている。

(*1)

 Advance of Ζでは,そういった形で主人公エリアルド等には説明がなされていたという形になっている。そのため,エイプリルがゴシックで30バンチ事件の真相を掴んでも,これを彼らは信じられなかったのである。

 この点から,二つの事柄が推測される。
 一つは,ティターンズ内部でも階層構造が実質的に存在していたと言うこと。すなわち,ジャミトフに近い人材を除いて,同じティターンズの部隊であっても基本的には使い捨てであったということなのであろう。
 二つ目として,ティターンズ内部でも情報統制が行われていた,ということも言えるだろう。

 ほとんどのティターンズ兵は,理念として「悪質な」ジオン残党に対抗することを想定していた。しかし,上層部にとっては,あくまでそれは「自らが連邦内部での発言権を確保するための方便」でしか無かったのである。

(*2)

 もちろん表だって行動することは難しかったはずであり,逆に言えば,そうした行動をとった人材はティターンズによって冷遇されたであろう。それ故に,極秘裏での活動となり,結果的にグリプス戦役後に連邦軍の腐敗が加速する土壌を生み出した,ともいえるのである。

(*3)

 結果的に,このことが後のエゥーゴの崩壊に大きく影響し,また連邦政府・連邦軍の腐敗を決定づけてしまうのである。

(*4)

 これが実質的にアナハイムに取り入ることになっていったのが当時の状況である。

(*5)

 一般的にグリプス戦役の終結は,ジュピトリスの破壊およびその指導者だったパプテマス・シロッコの死をもって表現されることが多い。
 しかし,連邦の特務部隊によるニューディサイズの叛乱鎮圧など,ティターンズとそれに類する兵による混乱はしばらく続いていたのである。この点からもグリプス戦役は,開戦無き戦乱であり,終戦無き戦乱であると言える。
 であるからして,「宣戦の布告」が,有り得ないため,この一連の戦乱を「グリプス戦争」と表現するのは本来誤りである。

(*6)

 実は,内部的にはもっと皮肉な事柄が起きている。つまり,旧ジオン系の兵士であってもエゥーゴの正規軍化に伴って連邦軍へと編入された者もあれば,ティターンズの兵士の多くは投降あるいは正規軍へと復帰したものの,アクシズへと加わった者もかなりの数いたとされている。
 本来自分たちが掃討すべき相手に下った兵士の思いはいかなるものであっただろうか。

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最終更新時間:2011年08月15日 17時22分01秒

脚注