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考察:Laboratory Report/第1章 宇宙世紀概要(5)

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第1章 宇宙世紀概要


 1979年に放映が始まったテレビアニメーション「機動戦士ガンダム(以下,ファーストガンダム)」は,日本におけるアニメーション史上に画期的な作品の一つとなった。それには様々な理由があるが,いずれの理由も「ガンダムがヒットした理由」にはなり得るであろう。

 逆に言えば,こういった様々な理由が複合的に重なった結果,「ガンダム」という作品は今日まで続く長期シリーズとなったと言えるだろう。本章では,最初に放映されたファーストガンダムが用いていた架空の暦「宇宙世紀」に関して時代ごとの概要をまとめている。

 なお,以降の本文と註釈で執筆のスタンスが違うので注意していただきたい。(本文は,宇宙世紀の遙か未来に生きる人間として,注釈は我々「ガンダムという作品を見ている者」としてのスタンスでまとめている。)

概要は,PDF版では章頭にのみ記載されるが,Wiki項目では説明の為に各小節ごとに掲載している。

 1-5 一年戦争(ジオン独立戦争)


 宇宙世紀69年に成立したジオン公国は,従前から拡大の一途を辿っていた宇宙居住者と地球居住者(厳密に言えば移民推進の方針を採っていた連邦政府と言うことになるのだが)の対立を明確にしたかたちで国の施策に取り込んでいった。

 宇宙世紀62年に成立した国軍(ジオン共和国軍)は,その装備の拡大を続け,特に69〜73年には後の戦略・戦術体系に大きな変革をもたらす技術が次々と開発されていった。これらの技術のほとんどは,ジオン共和国で開発され,ジオン国軍の装備に反映されていった。

 そして,宇宙世紀73年。以後の歴史を大きく塗り替える新型兵器「モビルスーツ(以下,MSとする)」が登場するのである。(*1)(*2)

 MSは,従前の兵器体系に支配されていた地球連邦軍に対して,ジオン国軍が唯一アドバンテージを持つことのできる部分だった。もちろん連邦の技術者の中にも,ミノフスキー粒子とこれを元にしたミノフスキー物理学が持つ意味を理解していた者が存在していたことは間違いない。しかし,これを兵器体系の刷新にまで持って行く発想を軍全体では持つに至らなかったのである。
 逆に言えば,MSはジオン公国が1対30とも言われる圧倒的な国力の差を考慮しても開戦に踏み切れるだけの圧倒的技術だったのであり,これをジオン公国の技術者が発想できたことこそが,一年戦争勃発のターニングポイントの一つであったと言えるだろう。

 これはそれまでの宇宙移民者と連邦政府との軋轢がその原因の一つであることは言うまでもない。しかし,一年戦争に至るまでは,公国成立後のザビ家による公国統制の方向性が「対地球連邦」を明確化していたことも理由として上げられるのである。(*3)

 宇宙世紀76年までにジオン公国は,その軍備を着実に充実させてきた。そして,翌77年にサイド6の政変に介入し,遂にMSを軍事運用してみせる。ここに至り,ようやく地球連邦軍もMSについての認識を改め始めるのである。
 宇宙世紀78年には,連邦軍のMS開発プロジェクトが極秘裏に開始する。しかし,基礎技術の開発で大きく遅れをとった連邦軍は,既存の新兵器開発プロジェクトの一環としてでしか計画を進めることができず,事実上MSの開発計画は頓挫したに等しい状況であったのである。
 逆に,この78年にはジオン公国では国家総動員例が発令されるなど,いよいよ戦時体制となっていた。つまり,この温度差もジオン公国と地球連邦軍の違いでもあったのである。
 こうして,宇宙居住者と地球居住者(あえてこのように纏める)の間の史上初めての宇宙戦争は,時間の問題ともいえる状況になっていった。

 宇宙世紀79年1月3日,ついにジオン公国は,地球連邦政府に対して宣戦を布告,初撃は,宣戦布告からわずか3秒後のことであった。電撃的な作戦で,各サイドに攻撃をかけた公国軍は,そのままブリティッシュ作戦を実施,連邦軍の本拠地であるジャブローを叩いてしまおうとした。

 実はこの点にもジオン公国軍の抱えていた問題点を見ることができる。
 つまり,公国軍としては,初撃で連邦軍に対して致命的な打撃を与え,短期決戦でこの戦争を終わらそうと考えていたわけである。これは,公国の国力が先に述べたように,連邦に対して30分の1というきわめて小さなものであったことが原因である。
 一般的に,戦争行為が長引けば長引くほど国力の差が影響しやすい。長期間にわたる戦争行為は,国力を疲弊させていくため,国を維持していくのが難しくなってくるのである。さらに,公国はサイド国家であった点も短期決戦を挑んだ理由として挙げられるだろう。経済面だけではなく,資源,そして何よりも人材が不足していたのである。

 後に一年戦争と名付けられるこの戦争では,最も激しかった戦闘は,実は序盤の一週間と一月中旬に集中している。(開戦からの一週間を「一週間戦争」と別名で呼ぶほどである。)
 もちろん,後に大きな作戦はいくつか展開はされている。また,最終的な戦局となったア・バオア・クー攻防戦も大規模な戦闘ではあった。これらを考慮しても序盤の戦闘の激しさは,また別の次元なのである。

 この序盤戦で,公国軍はもてるリソースのほとんどを各サイドへの攻撃に割り振っている。この時点で,ブリティッシュ作戦が実質的に連動した形でスタートしており,各サイドへの攻撃は,サイドに駐留している連邦軍のリソースを削ることと,ブリティッシュ作戦への目くらましの意味もあったのだ。(*4)
 しかし,連邦軍もこれに対して宇宙軍が用意できるリソースを全て投入しており,コロニーの落着は防げなかったものの,ブリティッシュ作戦の目的であったジャブローへの攻撃は回避できた。このため公国軍は,再びコロニー落としを実施するため,作戦行動を起こし,これに連邦軍が対抗したため,大規模な戦闘になったのがルウム戦役なのである。

 ルウム戦役では,連邦軍艦隊と公国軍艦隊の大規模な艦隊戦が行われており,この戦闘で,双方とも甚大な被害を被っている。特に連邦軍のダメージは深刻で,宇宙艦隊の多くを損失し,その後しばらくの間,宇宙における公国軍の作戦行動を事実上放置せざるを得ないような状況だったのである。
 一方,公国軍はこの戦闘で受けた被害は,連邦軍に比べると軽微なものではあった。しかし,MSのベテランパイロットの多くをこの戦闘で損失しており,公国軍の人的資源の乏しさを露呈することとなってしまったのである。
 このため,公国軍は連邦への和平交渉へと動き,実際に成功するかに思われた。だが,この交渉も公国軍に捕虜となっていたレビル将軍が公国から脱出に成功し,演説したことから「和平協定」が「戦時条約締結」になってしまったのである。(*5)
 これ以降,リソースを消耗した双方とも大規模戦闘を継続する余力はなく,事実上の膠着状態に陥る。

 しかし,公国にとってこの膠着状態は好ましくなかった。連邦軍に戦力回復の時間を与えることとなり,また同時に自軍の戦力を回復しようにも資源等の根本的なリソースを持ち得ないコロニー国家ではどうしようもなかったのである。
 このため,公国軍は地球侵攻部隊を編成し,資源リソース確保のための地球侵攻作戦を計画したのである。
 この地球侵攻作戦に対して,連邦軍は対処する術を持たず,また,電撃的に行われたこともあり,地球上の公国軍拠点の確保をあっさりと許してしまう。(このときにMSの陸上における運用ノウハウが次々と蓄積されていった。この陸上におけるMSの運用ノウハウと陸戦MSの開発状況に関しては,後述の技術開発の項で解説する。)

 これ以降,地球上各地で散発的な戦闘行為は継続されるが,基本的には膠着した状態がしばらくの間続くこととなる。この期間に両陣営とも戦力の回復を図っているが,実際の所,この期間が存在したことで,事実上連邦軍の勝利の下地ができあがったといっても過言ではないのである。
 公国軍上層部は,この問題を認識していたと考えられ,地球上の占領施設で戦力回復を図ると共に,連邦軍の本部であるジャブローへと度々攻撃を加えているのである。(ただし,ジャブローの堅固な防御に目的を達することはできなかったが。)

 宇宙世紀79年9月。
 歴史のターニングポイントとなる戦闘が起こる。サイド7の1バンチで極秘裏に行われていた連邦軍のMS開発試験をかぎつけた公国軍ムサイ級ファルメルのMS部隊が,コロニー内の連邦軍施設を強襲,開発途上の連邦軍MSに対して攻撃を加えたのである。
 この攻撃に対して,サイド7の民間人が起動中の連邦軍MS,RX-78-2ガンダムに搭乗,強襲したMS-06Fザク兇魴眷砲靴燭里任△襦0文紂い海RX-78-2は運用艦であるペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースとともに多くの戦果を積み重ねていった。
 RX-78-2の活躍は,記録フィルム(*6)によって確認することができるが,偶然にもRX-78-2に搭乗してしまったパイロット「アムロ・レイ」によって運用され,多くの戦場で活躍が確認できる。また,RX-78-2の量産型であるRGM-79ジムの実戦投入によって,徐々に戦場におけるパワーバランスが連邦軍側に傾いていったのである。

 この時期になると,様々な戦線で連邦軍の反攻作戦が展開され,11月上旬のオデッサ作戦では,公国軍の資源採掘基地があるオデッサが連邦軍に奪回され,また,下旬に公国軍が行ったジャブロー攻略作戦は,地球侵攻部隊のリソースの多くを消耗する作戦であったが,これが(連邦軍が投入したMSによって)失敗したことにより,その反攻作戦により拠点基地であるキャリフォルニア・ベースを失っている。これらの敗北により公国軍は地球上における戦力基盤を失ったため,地球上からの撤退を余儀なくされた。(*7)

 こうして地球上での公国軍排除に成功した連邦軍は大反攻作戦を立案する。これこそが,「星一号作戦」である。
 立案された星一号作戦は,既に大きな戦果をあげていた第13独立部隊(事実上ホワイトベース単艦である)を公国軍の目を向ける囮とし,その間にルウム戦役で失われ,膠着期間に復興した各艦隊を編成,公国軍の宇宙要塞ソロモンへ向けて侵攻を開始した。(星一号作戦における時事詳細は,別項にまとめる。)
 こうして,ソロモン,ア・バオア・クーを陥落させられた公国では,共和国派によるクーデターが勃発,連邦政府に対して和平交渉を打診,その後,グラナダで終戦協定が結ばれるのである。

 こうして一年戦争(ジオン独立戦争)は終戦を迎えた。だが,これはこれから人類が続ける宇宙居住者と地球居住者の対立の最初の1ページにしか過ぎなかったのである。

 註釈

 本文中の注釈である。
 記述スタンスは,基本的に「執筆者の視点」ではなく,「(我々)編集者/閲覧者の視点」で行われている。

(*1)

 厳密に言えば,戦術体系(および戦略)を大きく変えるきっかけとなったのはミノフスキー粒子であることは言うまでもないだろう。しかし,戦術を大きく変えたのは,やはりモビルスーツの登場があったからこそである。
 この点は,後の歴史から見ても間違いはないといえるだろう。

(*2)

 MS開発に至る技術開発やMSの技術体系に関しては,第2章でまとめている。

(*3)

 例えば,宇宙世紀71年にギレン・ザビが発表した「優性人類生存説」などは,見方を変えれば,連邦政府よりも更に厳しい選民思想を打ち出しただけに過ぎない。
 しかし,これが「宇宙移民者側の視点」で語られたことから,全ての宇宙移民者が地球居住者より優れている,といった誤った解釈をされていたのである。この点は,後に他のサイドに対するジオン公国の攻撃により,実際には宇宙移民者に対する説ではなく,限られた人間に向けられた説であることは立証されている。
 ところが,この時点では既にジオン国民の洗脳(あえてこう表現する)は完了しており,一部の人々を除いて,これを疑問視する流れは排除されていたのである。

 蛇足ながら,ジオン公国の反体制思想家への弾圧は,凄まじいものがあった。この辺については,ギレン・ザビの暗殺計画などの存在と,それらの計画犯が即日死刑になっている点などからもわかるだろう。一般的な犯罪論から考えれば「殺人未遂」の範疇で処理されるはずだが,それすらも上回った形で処罰されているのである。

(*4)

 ここで注視して貰いたいのが,ジオン公国軍は他のコロニーに対しても攻撃を行っている,という点である。
 ジオン公国が「宇宙移民者の立場」に立って「対地球連邦」を打ち出していたのならば,他のコロニーを襲撃する必要性は全くない。だが,この初撃では,多くのコロニーが毒ガスによって壊滅しており,結果的に人類の総人口の5割を失うまでになっている。つまり,ジオン公国としては,自らに近い思想のサイド(具体的に言えば,この時点ではサイド6のみである)以外は,必要なかったのである。
 こういった点にも実はギレンの選民思想が影響していた,とも言えるだろう。

(*5)

 なお,このレビル将軍の救出作戦は,現時点では「ガンダム・ジ・オリジン」のみがその詳細を描いている。
 これはオリジン独自の解釈とはいえ,ここにシャアが介在していたという解釈は筆者的には非常に面白い。

(*6)

 アニメ版の「機動戦士ガンダム」のこと。
 補足しておくが,本書において記録フィルムと述べた場合,基本的にはアニメーション作品そのものを示すことになる。

(*7)

 この時に宇宙へと撤退するシャトルやHLVが確保できなかった部隊などは,地下に潜伏しゲリラ化した。こうした部隊が,「機動戦士ガンダムΖΖ」に登場したロンメル隊や「機動戦士ガンダム0083」に登場したキンバライト部隊などである。

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最終更新時間:2011年08月15日 17時17分08秒

脚注