!!!空母 *[用語] //*読み: *分類:軍事 *区分:宇宙世紀 *出典:機動戦士ガンダムほか !!説明  航空機を運用するための艦艇のことで,正式名称は「航空母艦」という。  かつて,海上艦艇の花形が戦艦などの様な火力が艦隊戦の中心であった時代,これらを中心とした艦隊編成が海戦における雌雄を決するための中心的役割を担っていたが,第2次世界大戦以降,その主力が航空機による対艦攻撃に移行したため,艦隊戦の主力も必然的に航空母艦のような航空機運用能力を重視した艦隊編成にシフトしていくこととなった。  このような空母を中心に編成された艦隊(部隊)のことを,機動艦隊(機動部隊),航空艦隊などという。このため大型の正規空母となると,海上基地としての役割が強く求められるようになり,運用に関わる機体,人員双方の数も膨大なものとなる。  実のところ「空母」という用語そのものは曖昧なものであり,運用する軍によって呼称が異なる場合が多い。(特に第二次世界大戦前後までは,まだ空母という艦種が曖昧であったため,現在で言う空母とは異なった艦種も空母の一種として見受けられる事もある。)  一般的な定義としては,(1)航空機の発着のための全通飛行甲板を備え,(2)航空機の運用能力(整備,補給を含む)を持つ艦船のことである。このため,飛行甲板を設置していても航空機の整備・補給能力が無い場合,正式な空母としては認められない場合が多い。航空機の離発着ができても,収納や整備など運用をできる能力がなければ空母とは言えないのである。 {{anchor 分類}} !空母の分類  一般的に「空母」という言葉で表される艦艇は数多くの種類が存在する。  通常,軍事的な定義として「空母」とされる「正規空母」に至っても,その要件はそれを運用する軍によって異なったり,時代と共に変化しているためである。以下に示す概念も時代の変遷と共に変化しているため,あくまでも「大まかな区分」というものでしかないことを先に断っておく。 :正規空母:  分類上で一般的に空母と呼ばれる艦艇は,この正規空母を指すことが多い。中でも特に敵の艦隊との決戦能力を持ち,艦隊の中心として活動する大型の艦を「主力空母」という場合もある。  正規空母とは,大まかには「航空機の運用(補給・整備を含む)を前提に建造された艦艇」のことで,各軍,時代によってその定義は変化しているものの,おおむねこの要件を満たす艦艇のことを示す。  時代的に区分が曖昧であるため,後述する区分の艦艇を正規空母としてカウントしている軍もあり分かりづらいが,近代戦では,ジェット(あるいはそれに類する)戦闘機の運用を前提に(1)航空機の発着のための全通飛行甲板を備え,(2)航空機の運用能力(整備,補給を含む)を持つ艦船という基準が適用されることが多く,特に(1)は,STOL機やVTOL機のみの運用である場合,これを正規空母としては認めない場合が多い。(後述する軽空母として扱われる場合がほとんどである。)  また,全通甲板であってもカタパルト(あるいはスキージャンプ甲板)によって航空機を発進させ,さらにこれらを「着艦させる」能力がある艦艇である必要がある。  なお,前出の軍による区分が影響している部分として,その排水量を基準としている場合がある。20世紀に登場した原子力空母に対して,通常動力の空母はそのサイズが小さくなるため,原子力空母を正規空母(主力空母)と見なし,通常動力の空母を軽空母とする分類が行われた場合があるためである。 :原子力空母:  20世紀に登場した核分裂炉を搭載した大型の空母。  通常の空母の分類コードが「CV」であるのに対して,「CVN(核動力を意味する)」が与えられて区別されていたが,艦種の扱いとしては正規空母である。  後に核動力が常態化すると,この区分は曖昧になっていった{{fn この一文は宇宙世紀を前提とした文章。ヒマラヤ級などは原子力空母であるし,宇宙艦艇のほとんどが核融合炉を用いてるため,核動力を区別する意味が無いのである。}}。 :攻撃型空母:  対艦隊戦を中心とした艦隊編成の中心的位置づけとなる正規空母のなかでも艦隊戦のみならず敵陣営への攻撃能力の強化も含めた攻撃目的任務を有する艦艇が攻撃型空母である。分類コードは,一般的に「CVA」が与えられる。  海上艦艇では,原子力空母の登場によってほぼ全ての空母が同様の能力を有することとなったため,名称と分類コードが消えていった種別だが,宇宙艦艇の中にはこの分類で区分される艦艇が存在する{{fn 例えばペガサス級サラブレッドはSCVA-72であるが,これは攻撃型宇宙空母を意味する。この登録ナンバーは機動戦士ガンダム放映当時に入手可能な軍事資料等に掲載されていた1950年代のアメリカ海軍の登録コードを引きずっている。実際には1975年にアメリカ海軍の登録コードはCVとCVNに再編されているが,MSVの文芸設定が行われた際には,これらが一般化していなかった可能性が存在する。(もしくは,文芸担当が再編を知らなかった,または知っていてもあえて古い記述を参考にした,のいずれかであろう。)いずれにせよ,第2次世界大戦〜ベトナム戦争あたりの戦場の様子が反映されている「機動戦士ガンダム」にとっては,この分類がしっくりくる。}}。 :対潜空母:  潜水艦に対する攻撃能力を特化させた空母を対潜空母という。(搭載機に対潜能力を持った機体が多くなる。)分類コードは「CVS」。  この艦種も攻撃型空母と同じく,再編によって消えた艦種である。 :軽空母:  特に曖昧な部分が多いのがこの区分である。分類コードは「CVL」。  名称から,小型の艦艇という印象を持たれやすいがあくまでも正規空母よりも相対的に小型と「見なされる」艦でしか無く,運用する国や軍によっては一般的な正規空母よりも巨大な軽空母が存在している。  海上艦艇の場合,機動艦隊に所属する空母で正規空母に相当しないものをほぼ全て軽空母と見なして間違いでは無い。(多くの場合,VTOL/STOL機の運用を前提とした艦である。ヘリコプターのみの運用になるとまた区分が変わってくる。) :補助空母:  正規空母では無い空母の一種。軽空母とは異なり,明確に航空機運用艦として建造されたのではなく,改装艦(改装空母)なども含む場合がある{{fn 補助空母という概念は現在存在しない。MSVでアンティータム級が該当するが,本来これも改装空母として誕生した艦が,運用事情から当初から同じ仕様で量産配備されたというものである。登録コードとして示される「CVU」も現在では雑役空母に用いられるため,補助空母の区分については曖昧なままとしておく。蛇足ながらトラファルガー級は,同じく改装艦でありながら「全通甲板型支援巡洋艦」というややこしい艦種となっている。}}。 {{anchor 各部}} !空母の各部名称  ここでは主に海上艦艇としての空母の各部名称について簡単に説明する。 :全通甲板 / フラッシュ・デッキ:  空母を空母たらしめている要素のひとつ。  船体の前から後ろまで通して甲板があること。 :飛行甲板:  航空機運用のために用いられる甲板のこと。  これが艦の前から後ろまで通して,設置されている場合に「全通甲板」という。 :アングルド・デッキ:  艦の進行方向に対して角度をつけて配置された飛行甲板のこと。  多くは着艦専用となる。(STOL/VTOL運用艦の場合,発艦に用いる場合もある。)  大型の空母の場合,設置されることで発艦と着艦を同時に行えるため,効率的に航空機を運用できる。 :カタパルト:  空母の発艦用の設備。  強制的に加速するための設備が無い場合,スキージャンプ勾配と呼ばれる角度を付けた甲板が設置される場合もある。  →[[カタパルト]] :アイランド:  空母の艦橋のこと。  アイランドを備える空母をアイランド型空母という。 {{anchor 種別}} !空母の種別名称  ここでは主に海上艦艇の形状による分類を簡単に説明する。  多くは,20世紀頃までの艦艇についての説明である。 :全通甲板型空母 / フラッシュ・デッキ型空母:  船体の前から後ろまで通して飛行甲板(全通甲板)があるタイプの空母のこと。  フラッシュ・デッキ型空母とも。  なお,全通甲板を備えた艦であっても空母として認められない場合もあるが,形状のみで空母的なイメージを最も持たれるのがこの全通甲板型空母である。このタイプの艦艇はさらに複数の種別に分けられる。 :アイランド型空母:  飛行甲板の横にアイランドと呼ばれる艦橋が存在する空母のこと。  艦としての索敵能力の向上などが見込めるが,その反面ステルス性には欠けており,ステルス性の獲得のために様々な手段が執られている。 :非アイランド型空母:  フルカバード型空母とも。  従来の海上戦闘艦艇に目立つ「艦橋」を無くした空母のこと。必要最低限の設備を甲板横に設置するのみで,指揮所等は全て艦内に格納されている。 !宇宙世紀の空母  宇宙世紀の時代に建造された空母は,海上艦艇と宇宙艦艇において,その概念に若干の違いがあるもののモビルスーツが歴史上に登場するまでは,大きな違いは存在していない。  海上艦艇における空母の概念は,おおむね中世における「冷戦期」とほぼ同様であるが,航空機の運用のみならず,ヒマラヤ級戦闘空母のように対艦戦能力をもたされた艦艇が多くなっている。(なお,分類上は「正規空母」になると思われる。)  一方,宇宙艦艇については,運用する航宙機が長いカタパルトを必要としない関係上,全通甲板を設置しない艦艇でも運用が可能となっており,久しく正規空母は登場しない状況であった。後にFF-3S《セイバーフィッシュ》などの航宙機を運用するために建造された艦艇もマゼラン級宇宙戦艦を改装し,全通甲板を設置したトラファルガー級,コロンブス輸送艦を改装したアンティータム級が登場するが,これも補助空母としての扱いでしか無く,「真の意味での正規空母」は,ペガサス級の登場まで待たなければならなかったのである。  なお,ペガサス級も当初こそ「宇宙空母」として建造されているが,実際の艦種登録は「強襲揚陸艦」となっており,空母としての定義が曖昧なまま継続していることが分かるだろう。(ちなみに,登録ナンバーは「宇宙空母」を意味するSCVナンバーのままである。)後に,「宇宙空母」と呼ばれる艦艇もいくつか登場するが,その概念はモビルスーツを搭載した空母的運用艦であり,大枠としてはペガサス級の概念から外れることはなかったのである。 !!備考 !1  ここで説明した「空母」という用語の意味合いについては,実際に運用されている(現実の)空母について説明した部分と,ガンダム関連の世界観に合わせて説明を行っている部分が混在している。  このため,全てが正しく空母という言葉を説明している訳では無い点に注して頂きたい。特に,宇宙世紀作品における空母の定義は,1970年代はじめのアメリカ軍の考え方がベースになっている部分があり,これらが「宇宙世紀的な」方向性で導入されているため,本Wikiページ編集段階の空母の概念とは異なっている部分が幾分存在している。  また,関連して艦籍番号の分類コードについても説明しているコードは本来アメリカのものであるが,宇宙世紀の艦艇がこれに準じた分類を行っているため,このように説明している。  これら空母の分類コードが,実際にアメリカ軍に準じたものとなっているかについては明らかになっていない。 !!関連項目 :宇宙世紀: *[[ガウ改大型輸送機]] *[[ガウ攻撃空母]] *[[ガウ攻撃型空母]] *[[ガルダ級大型輸送機]] *[[アンティータム級補助空母]] *[[トラファルガ級全通甲板型支援巡洋艦]] *[[ノースポール級宇宙空母]] *[[バルキリータイプの空母]] *[[ヒマラヤ級戦闘空母]] *[[ペガサス級強襲揚陸艦]] *[[宇宙空母ハイゴッグ]] :アフター・コロニー: *[[OZ双胴戦闘母艦]] :コズミック・イラ: *[[アークエンジェル級強襲機動特装艦]] :西暦: *[[アロウズ海上空母]] :関連: *[[強襲揚陸艦]] *[[着艦フック]] *[[カタパルト]] //本文内の説明でリンク可能なものは,出来るだけ本文内でリンクする。 !!編集者 *あさぎり ---- {{category 用語}} {{category 用語・UC}} ---- {{lastmodified}} !!ノート ■[[本項目に追加情報を記載する|BBS2]] ※追記できる情報(他愛のないものでかまいません)がある場合,上記リンクから記述専用ページに移動し,情報投入をお願いします。