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化学燃料ロケットの変更点

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!!!化学燃料ロケット
*[用語]
//*読み:
*分類:その他
*区分:[[宇宙世紀]]
*出典:[[機動戦士ガンダム]]
!!説明
 熱核推進システムが広まるまで主流となっていた推進システム。
 一般的にロケットというと,人工衛星などを打ち上げる「打ち上げ機」全体を指す言葉として用いられることが多いが,狭義(厳密)には推進装置(ロケットエンジン)を指す。
 燃料を燃焼させる(化学反応させる)際に,外部から酸化剤を取り込むジェットエンジンとは異なり,全ての燃料(や反応物質)を機体内に搭載することを前提とする。

 燃料(厳密には,「質量」)を噴射し,その反作用で推力を得る推進法であるため,原理的には,真空などエネルギーの伝達物質が無い場所でも推力を得ることができるため,宇宙での移動手段として使われている。
 この際,噴射する質量(燃料,あるいは化学反応した物質など)が何かによって,ロケットの種別は分類されるが,最も実現しやすかったのが,燃料を燃焼させ,生じたエネルギーを利用する化学ロケットであった。そして,化学ロケットは,燃費は非常に悪いが,短時間に大きな推力を得やすい点と,構造が単純であるという利点から,20世紀半ばには既に実用化されていた。

 ここでは,代表的な化学ロケットである「酸素と水素」を用いた打ち上げ機とロケットエンジンについてまとめておく。

!液体ロケットと固体ロケット
 化学ロケットには,液体燃料を用いる液体ロケットと,固体燃料を用いる固体ロケットがある。最も多く利用されている化学ロケットは,「酸素と水素」を燃料とするもので,これを液体状態で利用する液体ロケットが,20世紀末の主流であった。
 一般的に,「ロケットエンジン」と言う場合,内燃機関としての機構を持つ液体ロケットのことを指し,「ロケットモーター」という場合は,そうした機能を持たない固体ロケットのことを指す{{fn 従って,MSの姿勢制御用バーニアは,今日では固体燃料ペレットを燃焼させ,姿勢制御を行うという設定に変化しているため,「ロケットモーター」の一種ということになる。このため,熱核エンジンである「スラスター」とは別物という解釈が成り立ち,メインスラスターと姿勢制御バーニアの概念を一部変更しなければならないMSも存在する。}}。

 液体ロケットは,燃料を燃焼室に注入し,そこで燃焼を起こさせるために,推力の調整や燃焼時間のコントロールを行えるなどのメリットがある反面,機体構造が煩雑化し,かつ,求められる建造技術が高くなると言う傾向がある。
 しかし,構造が煩雑化した結果,ブロックごとの建造が可能になり,建造場所やその運搬にとってもメリットが生まれている。

 一方,固形燃料を用いる固体ロケットは,小型化が容易く,構造が単純といった利点があるため,古くから用いられていた方法である。これは,火薬などを用いたミサイルなどがその原型であり,20世紀半ばの宇宙開発競争時には,やはり固体酸素や固体水素を燃料として用いるように変化していた。
 固体ロケットは,燃料その物を燃焼させ推進させる構造のため,燃料タンクを兼ねた燃焼室さえ完全に設計できればすぐにでも建造可能であるが,高い圧力を発生する燃焼室がそのまま燃料タンクであるため,構造が単純で小型化しやすい。その反面,一度点火してしまうと,全ての燃料が燃焼し終えるまで燃焼が続くため,点火後は制御が困難になるという問題点を抱えている。

 こうした長短所から,大型の宇宙機を打ち上げる打ち上げ機では,本体を液体ロケット,補助機を固体ロケットで構成することも多い。例えばスペースシャトルの場合は,オービター(シャトル本体)は,液体燃料を用いるが,打ち上げ時に使用される補助ブースターは固体ロケットである。同様に,日本のH2型も第1弾本体は液体ロケットだが,その周囲に配置されている補助ブースターは,固体ロケットである。
 これらは,まず本体の液体ロケットに点火し,問題が無ければそのまま固体ロケットに点火し,打ち上げるという手順を踏む。これは,先に示した通り,固体ロケットが一度点火してしまうと,制御が困難になるという問題点を抱えているためで,スペースシャトル「チャレンジャー」の事故は,発射時に問題が発見され際に打ち上げを中止しようとしたが固体ロケットの接合部の破損から着火し,爆発的燃焼を起こしてしまったことが原因であった。

!化学ロケットの抱える問題点
 化学ロケットは,その推進法が基本的に燃焼による反動推進であるため,非常に燃費が悪いという問題点を抱えている。
 つまり,「最大の搭載物」=「燃料(推進剤)」という図式が成り立ってしまうのである。
 このため,移動距離が長くなればなるほど非効率になることを示しており,多くの打ち上げ機は,地球の重力を振り切って衛星軌道に到達するまでにほとんどの燃料を消費しきってしまうのである。

 こうした問題のため,早くからこれを解決するための様々な方策が考案されてきた。[[軌道エレベータ]]などもそうした「化学ロケットによる打ち上げ機の代替」のアイデアのひとつとして登場した。

 また,一方で燃料消費そのものを抑える方策も様々な形で考案されている。
 最も効果的であり,広まっていった手法のひとつが「対流圏までジェット機で輸送し,そこからロケットエンジン(ロケットモーター)に点火する」というアイデアである。
 こうした発想は,民間の宇宙開発には多大な影響を与え,初期の宇宙観光では,こうした空中発射式ロケットによる短時間の宇宙観光が行われた。
 この方式は,さらに巨大な設備を打ち上げる際にも用いられるようになり,[[ガルダ級大型輸送機]]のように中型シャトルを空中発射可能なプラットホームも登場するようになっていく。
 また,陸上打ち上げも,従来のような垂直打ち上げではなく,リニアレールを敷設し,それを利用したマスドライバータイプの施設が建造されるようになっていった。
!!備考
 熱核ロケットの概念は,機動戦ガンダム(厳密にはガンダムセンチュリーだが)の当時から,解説としては存在しているが,熱核ロケットと化学ロケットの明確な差異を解説したのは,ガンダムセンチネルであったといっても間違いではない。
 アニメ劇中では,これらロケットの違いは明確に描かれておらず,Ζガンダム劇中でも化学ロケットと見なした方が良さそうな描写も存在する。(キリマンジャロ基地など。) このため,ここでは衛星などの打ち上げに利用される一般的な化学ロケットについて解説している。
!!関連項目
*[[熱核エンジン]]
!!編集者
*あさぎり
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!!ノート
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