!!!ライセンス生産 *[用語] //*読み: *分類:その他 *区分:宇宙世紀 *出典:MSV ほか !!説明  別の企業体の製作物などを,その企業から許可をとって生産すること。  一般的に,ライセンス料を支払うことで,まったく同様の製品を生産することが可能となる。医薬品,自動車などの製品でよく見られる生産形態で,開発した企業の生産キャパシティを超えた需要が見込める場合などを始め,双方にメリットがある場合が多い。  一般的に,ライセンスを与えるメーカーは,(1)自ら生産しなくてもロイヤリティの名目で収益を得ることができる,(2)生産を行っている場合でも需要が生産能力を上回っている場合,これをライセンスを与えた企業の製品で充当することができるため,結果として製品認知度が高まる,といったメリットが発生する。  一方,ライセンスを受ける側の企業としては,(1)仕事を確保することができる,(2)自社の開発品ではない製品の技術やノウハウを得ることができる(結果として自社の技術開発能力が高まる),(3)互換製品とはいえ,自社の企業名を認知させることができる,といったメリットが発生する。  一方,デメリットも発生する。  ライセンスを与える側のメーカーとしては,(1)技術流出が発生する,(2)ライセンスしたメーカーの製品に自社の製品が食われてしまう,といったものであるが,国内企業間の場合,(1)の問題は残るものの,価格帯の問題で(2)の問題は発生しづらくなる。とはいえ,小企業が大企業にライセンス生産を認可した場合,(2)の問題が発生する可能性が高く,このような場合は,自社では生産困難な製品のみライセンスを与えるといった状況が発生しやすい。  ライセンスを受ける側の企業としては,(1)ライセンス料を上乗せする必要があるため,コストがどうしても高くなってしまう,(2)どうしてもライセンスを与える側からの指示による制限が多くなりがちで,場合によっては他の製品の生産状況にも影響がでてしまう,といった問題が発生する。  実際,市場の要求を満たすためにライセンスされた製品の生産を優先せざるを得ず,結果として自社の他の製品が市場を失ってしまった,という事例もあり,これが原因で倒産してしまったという例も意外に多い。  国を越えたライセンス生産になると,さらにいくつかのメリット・デメリットが発生する。特に,兵器を他国から輸入する様な場合,様々な弊害が発生する。  この際に,メリット・デメリット双方を考慮して,ライセンス生産に踏み切るかどうかという判断が行われる場合が多い{{fn 例えば,自衛隊が戦闘機をライセンス生産することに拘るのは,技術の維持と非常時の機体確保を考慮したためで,生産国(アメリカ)の事情に左右されず,必要とする数と必要とする部品を(その分だけライセンス料を支払って)生産することができるためである。これが輸入であった場合,生産国の都合により納入がずれ込むことはよくあることで,実際問題としてF35に至っては,未だ納入の目処が立っていない状況である。逆にF15の場合,ライセンス生産によって技術蓄積が行われた上,自国での改良に対する許可も得ていたため,後年F15を導入した国の機体よりも性能面や稼働率で上回っている部分も多く存在している。}}。  この場合,相手国が許可を出す範囲も影響するが,これを守らない場合,様々な国家間の弊害も発生する{{fn 例えば,ロシアと中国の関係がまさにこの問題に当てはまる。ロシアが輸出した戦闘機は,機体の修理用部材や補充品に関するライセンス生産は認められていたものの,エンジンなどのいわゆるブラックボックスが設定されていたが,中国側はこの約束を破りリバースエンジニアリングによって複製してしまった。このため,ロシア側は中国へと高性能機の輸出を渋るようになっており,ライセンス生産はとても望めない状況となっている。同様の問題は日本から輸出した新幹線の車両に関しても言うことができる。結果として中国が生産する製品は完成度としては低いが,価格的メリットがあるため,やっかいなのである。}}。時には,戦争の火種となる場合もある。 !ジオン公国におけるライセンス生産の実例  ジオン公国においては,このライセンス生産を活用した形で後の一年戦争へ向けた準備が進められた。  ジオニック社が開発した新たな概念の機動兵器「モビルスーツ」は,一般的な製品としてのパテントは望めないものであったが,建造当初は,コロニー開発に使用する大型作業機械との触れ込みで発表されている。  このため,各企業に対するライセンス供与の形で生産を拡大し,軍事施設のみならず,各宇宙機開発企業の生産工場においても急速に生産規模が拡大していった。  ところが,こうした宇宙での重機という扱いとその外見があまりにも人間的すぎたことからの地上での運用性に対する疑問から,この生産はサイド3とサイド3寄りの月面都市に留まっている。これは,モビルスーツの優位性を連邦が知るまでのタイムラグとしては極めて大きなものとなっており,結果としてモビルスーツという兵器の開発技術およびその運用ノウハウに関するジオン公国軍と地球連邦軍の差は,一説には10年にも相当するとまで言われる状況となった。  公国軍は,本国や月面都市(グラナダ)の工廠のみならず,接収したコロニーや地球上で制圧した軍需施設もモビルスーツの開発に動員した。  これは,公国軍の戦術が,モビルスーツよりにシフトしていたことも理由のひとつだが,こうした新型の兵器のメンテナンスにおいて,トラブルが発生する度に本国へと送還する時間的余裕がなかったことも大きな理由となっている。  ライセンス生産によって多数の企業が生産しているという状況は,(現地での部材調達による細かい差異は存在するものの)トータルとしての機体の維持・運用に関してはプラスに働いている。すなわち,ジオニック社のザクであろうと,ツィマット社の生産したザクであろうとも基本的には部品のやり取りが可能であり,部品調達が容易になるというメリットは補給線が長くなってしまう公国軍にとっては極めて重要な要件だったのである。  無論,どうしても調達が困難な部材も存在するが,現地での生産が可能であったことは,公国軍が短時間で地球上の制圧地域を広めることができた理由のひとつともいえるだろう。 !!関連項目 //本文内の説明でリンク可能なものは,出来るだけ本文内でリンクする。 !!編集者 *あさぎり ---- {{category 用語}} {{category 用語・UC}} ---- {{lastmodified}} !!ノート ■[[本項目に追加情報を記載する|BBS2]] ※追記できる情報(他愛のないものでかまいません)がある場合,上記リンクから記述専用ページに移動し,情報投入をお願いします。