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マスターグレード

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マスターグレード / MG

  • [模型シリーズ]

 データ

項目データ
発売時期1995/07〜展開中
価格2000円〜

 説明

 バンダイのプラモデルシリーズのカテゴリのひとつで,「究極のガンプラを作る」をコンセプトに開発された。1995年にガンプラ生誕15周年を記念して企画・発売された。
 現在では,パーフェクトグレードやリアルグレードといった新たなシリーズが立ち上げられた結果,本来の「究極のガンプラ」という意味合いは消え,高品位な1/100スケールスタンダード商品としてのカテゴリに変質している。
 価格帯は,2000円程度から15000円程度までと幅広く,特殊な限定品では,これ以上の価格のものも存在する。しかし,スタンダードな商品は,4000円〜6000円(初期の商品は,2500円〜4000円)の枠内にほとんどが収まっており,「ちょっと無理をすれば手に入る高品位の製品」という感覚が強い。(なお,この価格帯でも当初の価格帯の2倍近い状況に陥っているため,内部フレームなどの簡略化を行った新シリーズ「RE/100」が2014年に立ち上がっている。)

 基本的にスケールは1/100スケールに統一されているが,後述する「ガンダムシリーズ以外のマスターグレード」では,それ以外のスケールも存在する。また,ガンダムシリーズでも真・武者ガンダムと真・武者ガンダムマークツーのみノンスケールと表記されている。

商品仕様

 マスターグレードは,その企画がスタートした時点から1/100スケールを前提として様々な検討が行われている。これは,1990年に発売されたハイグレード(現在のHGUCシリーズなどとは異なり,俗に旧HGと呼ばれるラインナップのこと)シリーズが,1/144スケールで旧キットのリニューアルが行われており,再び1/144スケールでのリニューアルを繰り返すのが困難であったことや,このサイズでは細かい商品仕様を煮詰めるには不十分であったことなどを理由としたものである。1/100スケールであれば,関節機構など内部ギミックにも凝った物が可能で,機体バリエーション,武装バリエーションなども(1/60と比較して)展開が可能であり,「作ってもらう」ことを前提としたシリーズとして立ち上げることが可能となった。

 最初期の2点,ガンダムとザクは,そうした仕様が全面にでており,システムインジェクション(多色インサート成型),色プラ,ポリ関節などによって内部構造の再現,コアファイターの変形収納,動力パイプの実現など,それまでユーザーが求めていた構造の再現を実現しただけではなく,ディテールアップパーツを付属するなど,キットの素組から一歩抜け出したい人のための足掛かりも用意されていたのである。それでいて,スナップフィットによる組立を実現(ただし,ディテールアップパーツは接着が必要)しており,間口の広いキットとなっている。
 しかし,こうした「次のステップを目指すユーザーに向けた部分」は実際に商品を手に取るユーザーの大半には受け入れられず,徐々に仕様の変更が行われていくこととなった。
 この結果,現在では「色プラ・多色成型による設定色再現,ポリ関節(またはABS関節),内部構造再現」といった要素で,組み立てるだけで事実上完成するような商品になっている。また,使用されるマテリアルも増えており,これもまたキットを組むことが目的化し,手を入れることを想定していない人に対する配慮が見える。

商品化と開発の方向性

 マスターグレードは,元々はバンダイの外部で行われていたガンプラに対する提言がきっかけで立ち上がったシリーズであるが,ガンプラの15周年という時期による,時代的な要求があったこともその理由のひとつであろう。

 1993年頃からHobbyJapan誌上や模型情報・B-CLUBと言った関連誌などでは,旧来のキットを最新のマテリアルで組み上げるというリニューアルの動きが活発になりつつあった。(例えば,HobbyJapanが1992年に発売したGUNDAM WEAPONS2ではそうした片鱗が伺え,1994年刊行のGUNDAM WEAPONS4は,まるごとそうしたリニューアル作例が取り上げられている。)
 この動きは,各種マテリアルによって旧来のキットを再生するというもので,誌面にはパテやプラ材によって大改造された(見栄えの良くなった)モビルスーツが多数掲載されるようになったのである。
 また,バンダイ内部でもガンダムF90シリーズやHGシリーズなどで用いられた多色インサート成型や異種部材による関節構造など,それまで蓄積された技術であらためて「大人向けホビー」としてのガンプラの企画が持ち上がっていた。この企画は,通称「3万円ガンダム」と呼ばれ,3万円出しても購入したいと思えるような高品位な製品を生み出したいというものであったが,このプランは様々な理由からペンディングとなってしまう。(これが復活したのがパーフェクトグレードである。)

 ところがホビーショーでのトークショーでこれらリニューアル造形の話題が語られ(この際の話題のタイトルとなったのが「究極のガンプラをつくる」であった),急速にその企画が動き出すこととなったのである。「究極のガンプラをつくる」という企画は,HobbyJapan誌上をその話題の展開場所とし,MAX渡辺氏などのガンプラに対するうるさ型のモデラーらとバンダイ側から川口克己氏が参加した雑誌企画として,ユーザー側との意見のキャッチボールによってその仕様に関する意見が集約されていった。
 当初は,商品化の決定もない状況で進められた企画であったが,1994年末頃にはその商品化が決定し,細かいデザインや仕様のツメにいたるまで読者との意見交換が行われるようになった。
 初期の意見集約では,MAX渡辺氏の主催するマックスファクトリースタッフなどの協力によって,デザイン面から内部機構までキットの仕様が詰められ,ほとんど商品仕様が決定する段階の画稿までファクトリースタッフによって描かれ,実際に商品となった際のクリンナップ画稿は大河原邦男氏によって行われた。(この辺りにもスタッフのこだわりがあったようである。)

 1995年7月。遂にRX-78-2ガンダムがマスターグレードという新しいカテゴリで発売されるに至った。このキットは,既存の1/100で発売されたガンダムのキットの不満点をほぼ解消したもので,色プラ,システムインジェクション,ポリキャップによる関節構造,スナップフィットなど,当時のバンダイの持てる技術が投入された高品位のものであった。
 発売されるや,瞬く間に店頭から姿が消え,久方ぶりに「模型店に行列が出来るガンプラ」が登場したのである。続くザクも同様の手法でキット化が進められ,1995年末にはキットとして出そろったのだった。

 ところが,ガンダムおよびザクをキット化した後,マスターグレードのシリーズ化が決定してしまう。(あるいは,当初から,売れ行きによってシリーズ化することが念頭に置かれていたのかもしれないが。)
 発表された,第3弾(キットの発売順で言えば,ガンダム,ザクF/J,ザクS,G3に続く5番目)は,Ζガンダムであった。ここでカトキハジメ氏がコンセプトワークに参加,以後の方針が固まってくることとなった。

 ガンダムやザクの開発時には,HobbyJapan誌上で行われていた読者や識者との意見交換に時間が割かれ,ユーザー側の意見の反映も見ることが出来たが,このΖガンダムでは,これにあてがわれる時間がかなり短くなった。
 その理由は,開発速度が加速し,月刊誌での意見のやりとりを待つ間に開発が進んでしまうといった状況の変化もあるのだが,Ζガンダム開発における最大の目的が「(プロポーションを維持した上での)変形機構の完全再現」にあったためである。
 既存の1/100スケールΖガンダムは,完全変形を実現していながらも,プロポーションに破綻があった[1]。そこで,機構面にも造詣の深いカトキ氏によってデザインと変形機構のリファインが行われ,1996年4月の商品化が進められたのである。
 確かに意見交換の時間が短いことに対する不満はユーザー側からでてきたが,当時は特にカトキ版MSに対する評価が高かったこともあり,デザインその物やキット仕様は比較的スムーズに受け入れられた。この結果,以後のマスターグレードの方向性が決まった部分もあるのである。

 一方,同年6月に発売されたバリエーションキットであるMS-06R-1シン・マツナガ専用ザク,MS-06R-2ジョニー・ライデン専用ザクも,マスターグレードの方向性に大きな影響を与えることとなったキットである。
 パーツ追加でキット化可能なバリエーションキットの発売その物は,マスターグレードの商品化当初から話題に上っていた。実際カラーリングの変更であるG-3ガンダムが商品化されており,ザクでもF/J型とS型は事実上成型色変更によるものであったが,その点をMGではパーツの変更という差異を加えており,これをパーツ単位で広げればバリエーションも可能だろうという希望はあったのである。ところが,既存のMS-06の金型の成型色を変更し追加パーツを加えた設計となったこれら2種の06Rは,その金型構成が徒となり,設定と異なるカラーリングとなってしまった。この為,ユーザーからの強い批判に晒されることとなった。

 マスターグレードにおける成型色の位置づけは,色プラではあったものの「雛型」としての意味合いの強いもので,こうした変更もある意味では許容範囲であると考えられていた。インストでは,設定を新たに起こしてはいたが,古くからのユーザーがこれを許さなかったのである。すなわち,ユーザー側の求めている物は,ハイグレードの上位製品であり,接着剤や塗装を必要とするプラモデルとしての「たたき台」を求めているのではない,という事実であった。実際,HJ誌での作例もそうした過去の設定通りのカラーリングを求めたものであり,新たな設定と商品が発売されたという事実がいつの間にか隅に追いやられたのである。

 もちろん,こうした高品位な商品(だれもがプロモデラーみたいな改修ができるわけではない)が出ることを歓迎する声もあったのだが,否定的な声の方が強く,「手を動かさないで済む」方をユーザー側が求めていることが明確化したといえるのである。[2]
 続くバリエーションキットとなったジムでは,ベースとなったガンダムの金型を大幅委組み替え,設定通りのカラーリングで多色成型可能な形となった。(従って,初期のガンダムとジムの発売後に再生産されたガンダムでは,ランナーやインストが一部異なっている。)

 また,それ以降に開発されるキットは,バリエーション展開の望めるキットは,最初からそれを考慮に入れた金型設計が行われるようになった。
 この恩恵を受けたのがジム・クゥエルやジム・カスタムであり,当時の状況下では,HGでもキット化は望めないような状況であったが,MGアレックスのパーツ替えという方法で,キット化が実現したもので,この商品化がきっかけで,従来商品化されていないキットのMGが発売されることも増えることとなった。

開発における姿勢

 勘違いされがちであるが,マスターグレードという商品は,「統一されたフォーマット」に則って開発されているものではない。特に初期のキットでは,そのキットごとに「開発の目的」が存在しており,それを実現するために様々な技術を投入することが,開発のひとつの指針であった。

 例えばガンダムとザクは,「究極のガンプラをつくる」ことが目的であり,当時の持てる技術を投入して,ガンダムとザクをリニューアルすることが目的であった。
 同様に,Ζガンダム,ガンダム試作1号機,試作2号機という初期のキットはそれぞれに目的が設定されており,「商品構成の方向性によってはデザインの大幅アレンジも辞さない」というスタンスは明確であった。(例えば,Ζガンダムは当時の状況で言えば明らかに「Ver.ka」の商品化である。デザイナーブランドとしてVer.kaが立ち上がったのは,MGが普遍化したからに過ぎないのである。)

 すなわち,マスターグレードシリーズは,その商品開発におけるコンセプトは非常に柔軟なものであり,高品位な商品を提供する為であれば,本来同一シリーズに登場したMSであっても異なった方向でのアレンジが施されることがありえたるである。
 実際,開発時期が異なればアレンジの方向性も異なっており,例えば同じ機動戦士ガンダムという作品に登場したガンダム(いわゆるVer.1.0)と後に登場したガンキャノンやギャンなどとはアレンジの方向性は異なっている。

 近年では,こういった面を開発バージョンという形で再商品化し,好みのアレンジを入手することも可能となっている。例えば,ガンダムだけでも,Ver.1.0,Ver.1.5,Ver.ka,Ver.O.Y.W.,パーフェクトガンダム素体,Ver.2.0,Ver.3.0 etc.といった形で様々存在し,カラーリングまで含めると実に多くの商品がマスターグレードシリーズとして提供されているのである。
 このうち,初期のVer.1.0はAFV的アレンジでディテールアップパーツなどが付属してのに対し,Ver.1.5,Ver.kaは現状ユーザー側の評価が高かった骨太なデザインアレンジ,Ver.ka,Ver.O.Y.Wはゲームやカトキ氏のデザインという特定の方向に振った物,そしてVer.2.0はアニメーション劇中の印象に向けて振ったものと,実にアレンジの方向性がバラバラなのである。(そのため,ガンダム,ガンキャノン,ガンタンク3機を並べたときに違和感が生じる組みあわせも当然ありえるのである。)

 また,コンセプトの柔軟さは,提供される作品世界に合わせたアレンジも許容している。例えば,機動武闘伝Gガンダムの機体は,アクション性を重視し,足首や手首などには通常の商品とはことなった素材である「ゴム」が使用されている。足首にはアクション時の安定のためであり,手首は「表情付け」のためである。
 同様に,機動戦士ガンダムSEED DESTINYシリーズの機体では,設定デザインではなく,アニメーション劇中のような「格好良さ」を目指したデザインとなっている。(つまり,実際に有りそうな機体というデザインよりも,「格好良さ」さのインパクトが重視されている。)
 機構についても同様で,先のGガンダムの機体の様にアクション性を重視して,フレームを構成したり,PGからのフィードバックでフレームを1パーツ化する,関節を仕込みにくい小型の機体ではABS樹脂を使用するなど,さまざまな手法がとられている。また,これらを複合させて可変MS,例えば通常の商品形態では実現不可能と思われていた可変Sガンダムなど,を商品化している。

 こういった「懐の深い」シリーズとなった為,比較的高額な商品であるにも関わらずラインナップが100品を超えるシリーズとなった。(実はBB戦士に次ぐ長期ラインナップ商品である。)

 なお,当初はシリーズナンバーは振られていなかったが,100番目の商品として登場した∀ガンダムに合わせてシリーズナンバーが改めて振られている。ただし,パッケージ等にはこれらは記されず,カタログ上での表記のみである。カタログ上のシリーズナンバーが無い商品は,一般流通品であっても基本的には限定品,あるいはスポット品扱いである。しかしながら,パッケージ等に明確に「限定品」と記されていない限り,再生産が行われることがあり,実際,クリスタルモデルやコーティングモデルは何度か再販されている。

派生商品

 マスターグレードは,当初ガンプラの15周年記念でスタートしたものだが,その後の数年間は,様々な媒体へこれを波及させようという動きが見られた。まず,「機動警察パトレイバー」から主役メカであるイングラムとそのライバルであるグリフォンがキット化され,一定のバリエーション展開を行っている。その後,「聖戦士ダンバイン」シリーズのキットリニューアルに伴い展開されたHGオーラバトラーシリーズの上位版として,MGダンバインが企画・発売されたが,シリーズその物が尻すぼみとなり,事実上の打ち切りとなった。
 遅れて展開の始まった「重戦機エルガイム」シリーズも同様で,こちらはHGがわずかに3種発売されただけで,シリーズそのものが打ち切りとなり,マスターグレードは企画段階で頓挫してしまっている。

 結果的に「ガンプラ」以外で,こういったフォーマットが成立するのが困難であることを証明した形となり,その後はマスターグレードとしてガンダムシリーズ以外からのキット化は行われていない。(後述するが,MGのブランドを掲げたラインナップは,後にフィギュア方面に展開している。しかし,こちらも展開そのものは事実上失速している。)
 これは,前述した「ユーザー側の変化」が大きな要因のひとつと言える[3]
 ガンプラでは,こうした状況が起こってもシリーズ全体でこれをフォローすることが可能なのだが,それ以外のシリーズでは挽回は事実上不可能であり,それ故に,ガンダムシリーズ以外のマスターグレードは事実上失敗に終わったのである。

 なお,バンダイは同様の展開を後にシリーズ名を変更して行っている。
 こういった旧来のロボットアニメの機体をマスターグレード的リニューアルを行って展開しようとしたシリーズが「R3(リアル・ロボット・レボリューション)シリーズ」である。ところが,こちらも第1弾のレイズナーがいわゆるマスターグレード的な現代風デザインアレンジを施した結果不評となり,第2弾のエルガイムMk-2では,最小限のアレンジにとどめられ,第3弾のニューレイズナーを経た,第4弾ウォーカーギャリアでは,アニメーションスタイルを現在の技術で再現する形になっていった。
 ガンダムシリーズで言えば,ガンダムVer.2.0やザクVer.2.0などの様に劇中のイメージを再現する方向性が求められていた,ということなのである。シリーズ名こそ冠していないが,バンダイ製のボトムズシリーズも実は同じような方向性に途中で修正されており,R3的なリニューアルを目指したスコープドッグが,ペールゼンファイルズ版に至ると劇中イメージに即したものとなっていったのである。(ただし,ベースとなるキットは同一のものなので,それだけバンダイ製スコープドッグの完成度は高かったわけだが…。)
 微妙ではあるが,2006〜2008年頃のアレンジの方向性というものは,こういったノスタルジックな方向性が好まれている,という所だったのだろう。

 その後の展開は,テレビ放映作品の高品位版(ガンダムOO)や,これまで人気がありながら商品化が実現しなかった物(ジ・オなど)といったものとなっており,やはり劇中イメージの再現に力が入れられているものが多い[4]

 こうしたロボット系のキット以外に,MGフィギュアライズというブランド名が冠されたシリーズも2009年よりスタートしている。こちらは,1/8スケールでアクションフィギュア的な形でキャラクタを展開しているもので,第1弾の孫悟空(ドラゴンボール改)以降,ONE PIECE,仮面ライダーシリーズなどが展開されており,比較的堅調なシリーズとなった。
 しかし,こちらも「手を動かす層」には好評だが,ぱっとしない部分もあり,企画倒れになった商品も多い[5]

 備考

 マスターグレードは,商品数も膨大なため,商品リストに関しては,別項で用意する。

 関連項目

 編集者


[模型用語]


最終更新時間:2015年06月13日 11時50分17秒

 ノート

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脚注

  • [1]蛇足ながら,真の意味での完全変形を実現しているのは,未だにこの旧1/100キットのみである。マスターグレード,同Ver.2を含め腕部シールドのスライド移動を実現したキットは旧1/100キット以外存在していないのである。
  • [2]と,同時に次作ゲルググで顕在化する,作らずに「批評(もどき)」だけする層の存在が,商品化という面で大きな障害になってくるのである。よく言われるガンプラで「これを出せば売れる」といったユーザー側の主張は昔から有りはしたが,これがさも当然の様に出てくるようになったのは,MGの発売以後なのである。特に,ユーザー側が積極的に意見を発信できるようになった2000〜2001年頃の加速度的インターネットの普及によってこの傾向は顕著になった。ちょうどMGでは,ドムの発売で一息つき,次に何が出てくるか,という点が話題になっていた時期で,2000年にはガンダムVer.1.5,2001年にはGガンダム関連が商品化されており,ユーザーの意見が錯綜しやすい状況にあった。これは,この後,HGダンバイン,MGダンバインで大きくクローズアップされることとなる。
  • [3]実際,HGダンバインではキットに対する批評的な意見は多く,出せ出せと言う割には実売が伴わないという状況で,これを電撃ホビーマガジン誌上で話題にした結果,さらに悪循環におちいってしまったのである。これは,ユーザー側への情報提供が増えたことも要因のひとつで,試作などの写真などからユーザー側の意見をフィードバックすると,今度はそのフィードバックを好まない層は「できが悪い」という理由で商品を購入しないため,結果的に商品その物の売れ行きは悪化する一方となる。こうしたユーザー側のいわば完璧主義は,その後「完成品フィギュア」に流れていくこととなるが,この点はまた別に語る機会を持ちたい。
  • [4]ジ・オなどはその点が顕著にでており,高額商品であったこともあって,批判ばかりが目立ち「商品がでたこと」がかき消されるような勢いであった。確かに「完成度」を求める意見も判るが,開発コストと商品価格に相関性があるかぎり,一定の見極めは必要であり,それを気にしないのであれば,好みの作風のガレージキットを購入するのがもっとも適当であるとしか言えないのである。
  • [5]とはいえ,このシリーズから派生して船外宇宙服に至るなど,技術面では他に与えた影響は大きいのだが…