トップ 差分 一覧 Farm ソース 検索 ヘルプ ログイン

ジオン公国

お願い

  ■検索等で初めて来訪した方は,注意書き等を必ずご覧になってください。
  ■Wiki項目への直接リンクは避けるようお願いします。→<必読>  頻繁に項目変更が行われる関係上,直リンクはエラーのもととなります。
  ■あまりにマナーの悪い人がいましたので,一部項目にアクセス禁止処理を行いました。
  ■極めて短時間で集中的アクセスを行ってるIPについては,終息の目処が立たなかったためアクセス禁止処理を施しました。解除申請は本家掲示板にて。

ジオン公国

 説明

 [U.C.0069/08/15〜0079/12/31]

 サイド3に存在するコロニー国家。一年戦争の当事国のひとつである。
 地球連邦政府に対して独立を宣言し,U.C.0079年1月3日,一年戦争(または,ジオン独立戦争)の宣戦を布告した。
 公国制度を採用し,デギン・ザビを公王とする国家で,形式上は民主主義を採用しているが,実際にはザビ家による独裁が行われていた。
 一年戦争後,公式にはその姿を消した。

ジオン公国の概要

構成コロニー・地理的特徴

 ジオン公国は,地球から一番遠いラグランジュ点L2に建造されたサイド3を拠点とするコロニー国家で,そのほとんどが密閉型コロニーによって構成されている。
 工業用・観光用・軍事用を除いた民間人の居住用コロニーは約40基。
 コロニー1基あたりの平均収容可能人員に関しては,開放型が2500万人程度,密閉型が5000万人程度とする資料が多いことから,平均的な人口は10億人程度だったと考えられる。一説には,20億だったとも言われており,人口についての詳細な資料の発見が待たれる[1]

 U.C.0035年に建設が開始された初期のサイドのひとつだが,サイド1,2が基礎的な技術で建造が進められ,開放型コロニー中心の構成になっているのに対して,密閉型コロニーが中心の構成になっている。
 これには,いくつかの理由が提示されているのだが,「サイド3の存在するL2は,ラグランジュ点の中でも不安定な軌道の1つであり,各コロニーの軌道修正の頻度が高く,構造的に強固な密閉型コロニーが都合が良かった」という説や,「月の裏側の軌道のため日照の問題があるため,コントロールしやすい人工太陽が用いられた密閉型コロニーが採用された」などといった説が存在している。
 いずれにせよ,この密閉型コロニーが採用されたことで,他のサイドに比して,居住人口が多くなったことは事実である。

産業

 地球連邦の方針により,各サイドでは独自の産業が持てなかったのだが,サイド3では軍需産業が発展しているように,国家としての各種産業を興すことが行われている。これは,連邦の統治下で様々な制約があった時代とはことなり,独自の産業を持たなければ,国家として維持されないことも原因の一つである[2]
 この結果,サイド3では工業用コロニーの建造などが行われており,後に実質的に世界の軍事バランスを変えることとなる企業「ジオニック社」などが誕生している。

 多くの産業は,基本的には「ジオン公国」という国家を維持する為の産業であり,飲食料,医療,衣料,各種家電等物資などを生産するためのものがほとんど。それ以外では,コロニー内で用いられるエレカなどの車両,空間機動機などを生産するメーカー,そして,これらを応用した戦闘兵器を生産する軍事メーカーなどとなる。

 公国は,もともと共和国時代から,独立を目指し様々な手を打っていた。こうした産業の育成もそれに含まれるものであり,これはコロニー国家故の危うさを理解していたからこそ行われていたものである。様々な伝手を用いて資源確保のための方策を構築したり,独自に木星ヘリウム船団を組織するなどしたのも,そういった「国家としての基盤作り」が念頭にあったためなのである。
 結果的に,ジオン公国は国家として独立存在することには失敗し,共和国という暫定的な状況となったのち,一度はコロニー国家は消滅する。だが,この時撒かれた芽は宇宙戦国時代を経験したことで一定の権力をコロニー側に与え,ついには連邦そのものを解体し,コロニー側に主導権を与える時代が到達することとなるのである[3]

軍・軍備

 公国に於ける軍は,共和国時代の国防隊に遡ることができる。U.C.0058年の共和国宣言と同時に誕生した国防隊は,外部からの侵略に対する国家防衛を目的とした組織であった。つまり,誕生した時点からその仮想敵国には地球連邦政府があったことは明白である。
 そのため,連邦政府の態度が硬直化したことは間違いなく,翌0059年,(連邦政府にとってみるとあくまで反連邦行為扇動になることから)治安維持名目の連邦宇宙軍が誕生することとなった。また同時に強い経済制裁が行われており,双方に強い不信感が残ることとなった。
 その後,0061年に国軍に昇格,0069年のジオン公国宣言と同時に「ジオン公国軍」とあらためられている。軍編成後も,ドズル・ザビとキシリア・ザビの方針の違いから,軍が再編されるなど,軍としての体裁には問題が残り,結果的に一年戦争終戦までこれを引きずることとなる。(実質的に,敗戦の最大の理由と言っても過言ではない。)
 最大の特徴は,開戦前からMSを中心とした部隊構成となっていた点であり,火力を重視したドズル・ザビ麾下の宇宙攻撃軍であっても,MSは戦略の要であった。
 この構成は,開戦当初連邦軍を圧倒したことは事実であるが,しかしその柔軟性に欠けた視点はまた,一年戦争を敗戦に導いた理由ともいえる。

 なお,詳細はジオン公国軍を参照。

コロニー国家と独立への動き

 「コロニー国家」という概念は,サイド3が「ジオン共和国」として,連邦からの独立宣言を一方的に行ってから始まった概念であり,それまではあくまでも「コロニー」,連邦の支配下としての植民地でしかなかった。
 無論,コロニーの建造には膨大なエネルギーとコストがかかっており,これを一方的にないがしろにする独立宣言を連邦側が認められない,という事情はある。しかし,実質的な棄民政策を採ってきた連邦政府にとってみれば,自らが棄てた人々にかみつかれた訳であり,許し難いことであったことも間違いない。

 もともと,スペースコロニーが登場した背景には,地球における人口の爆発的増加があった[4]。これを解決するために移民先として用意されたのが,スペースコロニーだったという訳である。そのため,当初から棄民政策といった形で受け取られており,連邦政府はこれを払拭する為に様々な宣伝が行われたが,この行為そのものが連邦政府に対する悪感情を生み出したともいえるのだ[5]

 その一方で,宇宙というフロンティアに希望を持って移民した人々も多かった。彼等は,まだ見ぬ世界に自分たちの楽園を構築すべく志を持って宇宙へと旅立った。こういった人々の間には,宇宙を居住地とし,地球を故郷と見なす考え方が広がっていくこととなった。この考え方が,0040年代には「エレズム」として定着することとなる。
 定着したエレズムは,ジオン・ダイクンの提唱するコントリズムの概念と結合し,ついには「ジオニズム」の思想となる。
 この考え方が,サイド3には定着し,ジオン共和国建国の礎となるのである。(これらの詳細は,ジオン共和国を参照。)

 だが,U.C.0068年にジオン・ダイクンが死亡すると,その様相は一変する。
 ジオンの片腕だったデギン・ソド・ザビは,ジオニズムを標榜しながらも,自らを公王とする公国制に共和国を移行する。
 ジオンの後を受けて首相に就任したデギンは,ジオン派を追放,連邦からの脱退を通告し実質的に独立国家となったことを宣言した。同時に自らを公王として独裁体制を施行したのである。この際,ジオンの思想や発言を歪曲して伝え,国民に選民思想を植え付けることで,自らの立場を維持したことから,ジオン公国の思想体系は確立されてしまった。 また,同時に連邦政府との徹底抗戦を掲げたこともあって,一挙に軍事国家としての色彩を強めていくこととなったのである。
 結果的に,この方向性は一年戦争(ジオン独立戦争)を不可避とし,ジオンという国家を崩壊へと向かわせるのである。

政治形態

 ジオン公国の政治は,表向きは民主主義を採用している。
 国会が機能し,首相,副首相を筆頭に,与党と野党の論戦によって,政治方針が決定される。しかし,国民の多くが,ザビを家中心としたピラミッド構造を受け入れている為,国会そのものが一種のセレモニーと化してしまっている。そのため,ダルシア・バハロ首相は,実質的にお飾りとしての位置づけであった。

 ズムシティには議会がおかれ,与野党の論戦で国家の政策が決定され,これが公王たるデギン・ソド・ザビによって許可され実施される形を取っている。
 議員は,選挙で選ばれ公王の任命を受ける。彼等は,議会における身分が保障され,たとえギレン・ザビの提出した法案であっても,反論の機会を認められている。
 しかし,ギレン・ザビによる議会誘導の巧みさと,その根回しによって結果的に野党が反対しても「反対の為の反対」に過ぎず,その法案は可決されてしまうのである。
 表向きは議会制民主主義を採りながらも,国家総動員的な戦争を継続できたのは,こういった点に理由があるのだろう。

公国の崩壊

 一年戦争は,ジオン公国にとって短期決戦以外での勝利の道はなかった。
 本来,ギレン・ザビはその点を理解していたからこそ,コロニー落としという強硬手段をとり,いち早い講和条約締結を目指していたのである。
 だが,レビルの帰還によってそのもくろみは崩れ去ってしまった。
 デギン・ソド・ザビは,短期決着がつかなかったこととガルマの戦死から,徐々に講和を考えるようになっていったとされている。ザビ家も一枚板ではなく,ドズルはガルマを首班とした政権を夢見ており,キシリアは戦後のサイド3におけるザビ家の影響力の維持が目的であったと言われている。だが,ギレンは自らが世界の中心であることを目指していたかのような記録が数多く残っている。(一説には,次男サスロの暗殺すらギレンの手の者であったとも言われており,実際,キシリアを廃除しようとしたり,デギンをソーラ・レイで謀殺したことを考えれば,突飛な説であると切り捨てることはできないだろう。)

 南極による講和会議が南極条約の締結に終わったことで,事実上ジオン公国の勝利は否定されたに等しかった。だが,ギレンは,南極で講和ではなく戦争継続を選択した。(おそらくだが,講和条件が若干ジオン側に不利になることはあっても,独立そのものは認められていた公算は高い。)
 その結果,連邦の圧倒的物量によってジオン公国は敗北することになるのである。

 12月24日のソロモン戦においてドズルが戦死し,30日のソーラ・レイ照射でデギンが死亡した。そして,31日にはア・バオア・クーにおける決戦で,ギレン,キシリアもその命を落とすこととなった。ここにおいて,ザビ家は事実上滅亡し,公国の崩壊は決定づけられた。また,同時にダルシア首相の工作が進められており,ジオン共和国として講和条約が締結され,公国の崩壊と(形ばかりではあるが)共和国の独立が実現され,一年戦争は終結を向かえることとなる。

 備考

注釈<1>

 実は,この人口については,明確な定義がないものが多いのも事実であり,そのため,資料によって差異が大きい。放映当時の資料などから10億としたが,実際にはかなりばらついており,明確な資料が提示されるのを待ちたい。
 科学雑誌等では,平均的な島3号型コロニーの居住可能人員は,1000万人程度としている資料が多いのだが,ガンダムの世界観では110億の人口の90%が宇宙に移民している,という設定があるため,どうしても水増しする必要が生じてしまっているのである。
 本文で記したコロニーの総数は,「ギレン暗殺計画」より抜粋したものであるが,本作ではコロニーの収容人員を1000万人としており,終戦間際の人口を1億5千万とし,開戦時の3分の1以下と定義しているため,開戦時の人口がおよそ4億5千万という数値になってしまう。実のところ,これでは地球圏規模の戦争を起こすには少なすぎるのである。
 「ガンダム事典」では,人口を20億としており,総人口110億をうまくバランス配分しているため,今後はこちらが主流になっていくと考えられる。なお,この場合,サイド3のコロニーは約80基として定着するだろう。(あるいは,1基あたりの平均収容可能人口が1億人とされる可能性もある。)

注釈<2>

 コロニーが産業を興すことを制限していた,というのは厳密に言えば間違いではある。もともと,各コロニーにはシリンダー部分の居住区以外に,農業ブロック,工業ブロックが存在する。(港側の外周部に存在する小さな円柱ブロックがそれである。)しかし,これらは基本的には小規模で,コロニー内の人口を生活させるための各種食料や物品を生産するためのブロックであり,外部との「貿易」に用いられるものではない。
 この点が,「国家としての基盤」たりえるかどうかの問題となる。
 一般的に,国家は「国内部で全てを生産し,消費する」という活動では存在し得ない。(それこそ,旧世紀ならば話は別だが,現代の国家を鑑みるに不可能である。)
 サイド3が連邦から離脱してもかろうじて国家の体裁を保っていられたのは,中立を謳ったサイド6の存在と月面都市群が存在していたためである。もしも,これらがなかったら,資源のない(少ないではなく,無いのである)サイド3では,一年戦争を起こすまでもなく国家として耐えられなかっただろう。
 実際,開戦後ジオン公国軍が地球降下作戦を実施した最大の理由は資源確保である。この点からもコロニー国家の「国家としての危うさ」が理解できるであろう。

 なお,大規模工業コロニーや大規模農業コロニーの建造は許可されなかったようであるが,観光コロニーの建造は認められていた(これは,サイド5に「テキサス」があったことからもわかる)ようであり,こと観光産業に関して言えば,事実上コロニー経済の中心的産業だった可能性は高い。

注釈<3>

 宇宙戦国時代には,コロニー国家の定義が若干異なり,サイドごとの国家ではなく,まさしく各コロニーごとの国家という状況になる。だが,この状況はサイドごとの国家よりもさらに危ういものであり,いずれ破綻することは明かである。
 この結果,ザンスカール戦争後は緩やかにコロニー間の連携が強まり,ふたたびサイドごとのまとまりへと戻っていく。こうして,連携を強めたサイドが,地球連邦政府に対して,サイドの自治権の要求を強めていった結果,連邦政府は解体されるのである。これには,連邦軍の事実上のクーデターという要素もあり,連邦は滅ぶべくして滅んだともいえるだろう。

注釈<4>

 人口増加による各種弊害についてはここでは語らないが,地球が支えられる人口というものは,(各学者間でかなり差はあるが)40〜60億人程度と言われている。この点で言えば,すでに20世紀末から地球は末期的状況であったことは間違いない。
 これを解決するために,様々な手法が提案されたのであるが,ガンダム世界では「コロニーへの入植」という手法が採られた,ということなのである。

注釈<5>

 実は,この棄民政策を実際には(ある程度)否定するのが,機動戦士ガンダムUCにおける「ラプラスの碑文」である。
 つまり,コロニーにある程度の自治権と自由を与えるはずであったのが,ラプラス憲章なのだ。この点で言えば,ラプラスが破壊されたのは,ある意味連邦政府にとって見れば当然の結末だともいえるのだろう。

 関連項目

 編集者


[用語]
[用語・UC]


最終更新時間:2016年06月13日 21時19分34秒

 ノート

本項目に追加情報を記載する
※追記できる情報(他愛のないものでかまいません)がある場合,上記リンクから記述専用ページに移動し,情報投入をお願いします。

脚注

  • [1]備考の注釈<1>参照
  • [2]備考の注釈<2>参照
  • [3]備考の注釈<3>参照
  • [4]備考の注釈<4>参照
  • [5]備考の注釈<5>参照