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ガンダムセンチュリー
- [書籍]
データ
出版データ | |
---|---|
発行日 | 1981/09/22 |
定価 | 1800円 |
発行元 | みのり書房 |
(復刻版)出版データ | |
発行日 | 2000/03/ |
定価 | 4200円 |
発行元 | 銀河出版 |
ISBN | 4-87777-028-3 |
概要
機動戦士ガンダムのブームがピークを迎えていた1981年に刊行された書籍のひとつで,現在ではガンダムを語る上で,はずすことの出来ないもののひとつとなっている。
元々は,かつて月刊OUTを刊行していたみのり書房から,OUTの1981年9月号増刊(従って,刊行その物は,1981年7月末〜8月頃である[1])として刊行されたものである。
当時刊行されていた書籍類のほとんどが,ガンダム劇中のストーリー紹介,キャラクタ紹介,メカニック紹介といった「本編の内容を再提示する」ものであったのに対して,ガンダムセンチュリーが画期的であったのは,実在の科学技術や軍事情報などをベースにこれをガンダムに持ち込んで解説する,という現在では当たり前の様に行われている「設定考察」を行った点にある。
編集に関わったのは,当時実際に本編に関わっていたスタッフを含むメンバーだが,元々はそれらスタッフが活動している同人サークルが刊行していた同人誌がベースとなっている。(このメンバーの多くが,「スタジオぬえ」に所属しており,それらSF的考察が取り込まれた内容となっていた点が従来のムック本との大きな差異となった。なお,その編集に関わった人物は今日でも様々な分野で活躍している。)
これを,OUTの編集長であった大徳哲雄氏らが再構成し,スタッフインタビューなどの記事を加え刊行したのが本書である。
本書の刊行とその後のガンダムシーン
本書が現在でも重要な書籍と位置づけられるのは,彼らスタッフの考案した各種設定などが,現在に至るまでガンダム関連の世界観に大きな影響を与え続けている点にある。単なる「モビルスーツ・ガンダム」であったのに「RX-78」という型式番号を与えたのはアニメックであるが,本書ではこれに「様々な機能的裏付け」を加えたのである。
本書で設定が公開された用語などは多岐に渡り,「ミノフスキー粒子の挙動や派生技術(ミノフスキー物理学関連)」,テレビ本編以前の戦闘である「ブリティッシュ作戦」,単なる単一機種であったザクの各種バリエーションなど,現在まで残る用語や設定などが数多く取り上げられているのである。
無論,これらの設定や考察は,あくまでも一書籍におけるオリジナルの解釈であったが,その間精度の高さから様々な場面に波及していくこととなった。
先述したアニメックが生み出した各種型式や設定画の解釈などは,ガンダムファンに広まっていったのは,アニメックがアニメ誌として(半ばサンライズの広告塔としての機能を持った)広報する力を持っていたからであり,視聴者側もこれを「公式の設定」として受け入れていく土壌ができあがっていた。
本書は,非公式な書籍ではあったが,その完成度の高さから,各種用語等が様々なガンダム関連書籍に利用されるようになっていく。特にバンダイがガンプラの商品展開において新規ラインナップとしてMSVシリーズを立ち上げると,これに関わったストリームベースなどスタッフの意向もあって,次々と作中世界に本書の設定が組み込まれていくこととなった[2][3]。(なお,あくまでもこの時点ではこれらの設定は「非公式」の枠をはみ出ていない点に注意が必要である。)
その後,MSVの展開に伴い様々な用語が定着した結果,続編である機動戦士Ζガンダムでは,これらの設定の延長線上にあるかたちで作成された設定も多く,機動戦士ガンダム0083では,明確に劇中に用語として登場するに至っている。(以後は,さらにそれが顕著化している。)
なお,年表や戦史などでは,現在正史とされる設定との不整合が目立つ部分も数多く存在する。もちろん,そうした詳細が決まる前の時代の本であるため当然と言えば当然のことであるが,本書が提示した用語や考察内容については,現在でも高いレベルで「設定遊び」を楽しむ人々には利用されている[4]。
内容
本書は,数多くの設定考察が掲載されていると思われがちであるが,実際には機動戦士ガンダムという作品の総括的ムック本という意味合いも持たされている。
このため,作品が終了したことを受けてのスタッフのエッセイ,インタビュー,座談会などに数多くのページが割かれている。
また,脚本家の一人であった松崎健一氏の短編小説や,宇宙開発技術やロボット技術のイラスト解説などのページも存在する。
復刻版
本書は,元々刊行当時思った様に売れなかったこともあり,当初からどちらかと言えば希少本という状況であった。これに輪をかけたのが,Ζガンダム以降の続編の製作で,複数のガンダム作品が製作された後の1990年代には古書店でのプレミアは相当なものとなっていた。
もちろん,再版の話題はあったのだが様々な理由[5]からできなかった上に,そうこうしているうちにOUTが休刊し,みのり書房が倒産してしまったため,原稿が散逸,再版が困難となってしまっていた。
しかし,復刻を望む声も強く,2000年に大徳氏が設立した樹想社(銀河出版)から,復刻版として刊行されることとなった。原稿が散逸していたため,原本からの複写という手法が採られたため,オリジナルと比較して精度面では劣っている部分も多い。しかし,高額化していたオリジナルは入手困難であったため,この復刻版の発売は歓迎されることとなった。
なお,復刻版の刊行では,誤植などは修正されているが,内容その物は変更されていない。
関連項目
編集者
[書籍・雑誌]
最終更新時間:2013年02月08日 21時04分38秒
ノート
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脚注